![スペイン フェリペ二世の生涯―慎重王とヨーロッパ王家の王女たち](https://ecx.images-amazon.com/images/I/51EBFJDQGKL._AA240_.jpg)
文字どおり、「慎重王」フェリペ二世(1527-98)の生涯を扱っています。二世の生い立ち、そして十年ごとのくぎりで、10代、20代、30代・・・70代と描いていきます。
16世紀のヨーロッパではフランス、ネーデルランド、イタリア、イングランド、ポルトガル、オーストリアを舞台に、支配的だったカトリックに抗してプロテスタントが勢力を伸ばしてくる時代でした。そして、イスラムは虎視眈々と領土拡大をねらっていました。
サン・カンタンの戦い、レパントの海戦、ネーデルランドの反スペイン運動、そしてアルマダの闘い。二世は休む暇はなかったのです。
この間、4人の妃と結婚しました。マリア・マヌエラ(ポルトガル)、メアリー・チューダー(イングランド)、イサヴェル・バロア(フランス)、アナ・デ・アウストリア(オーストリア)。4カ国の女性が相手なのですから、この時期の「国際関係=縁戚関係」がわかろうというものです。
この時代は、縁戚関係が複雑で飲み込みにくいです。そのあたりの事情を察してか、著者は「この人は誰だったかというと・・・」という調子で復習を繰り返していて、それは助かります。
いたしかたないとはいえスペイン帝国から情勢をみすぎているきらいがあります。プロテスタントが台頭してくる背景に、階級としてのブルジョアジーの勃興があることの認識がやや希薄だと思いました。
おしまい。