【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

大宮八幡宮(杉並区大宮2-3-1)【東京散歩⑳】

2017-12-28 22:45:04 | 旅行/温泉


        
 久しぶりの【東京散歩】の記事です。

 初冬の快晴の青空にさそわれて大宮八幡宮(杉並区)に出かけました。東京にはいたるところに大きな寺、神社があります。長く札幌に育ったので、これはちょっとした驚きです。


 大宮八幡宮は井の頭線西永福をおりて徒歩で10分ほどのところにあります。源頼義 の創建です。現在大宮八幡宮がある一帯は大宮遺跡でもあり、都内で初めて方形周溝墓が発掘されました。

 前九年の役のおり、この乱の鎮定の勅命をうけた将軍・頼義は、奥州に向かう途中、武蔵国で空に八条の白雲がたなびいているのを見、これを源氏の白旗が翻ったかのように見て「これは八幡大神の御守護のしるしである」と喜びこれを吉兆とし、乱を鎮めた暁には必ずこの地に神社を構えることを誓い、出陣しました。頼義は、乱の平定後、康平6年(1603年)に、石清水八幡宮の分霊を祀り、神社を創建しました。

 大きな境内、聞くところによると東京では3番目の広さをほこるとか。今の時期は、年末・年始の催し物の準備で忙しそうにみなさんが働いていました。参道にはお店・屋台の準備が急ピッチで進んでいます。


みかづき酒房(武蔵野市吉祥寺本町1-31-2 たまりビル1F;tel0422-20-5252)

2017-12-27 20:24:06 | 居酒屋&BAR/お酒

    
 吉祥寺では隠れ家的存在の居酒屋、あるいは「知る人ぞ知る」居酒屋がここ「三日月酒房」です。吉祥寺駅北口を出て中央道沿いに3分ほど歩くと、左手の小径にあります。


 開店から9年目に入ったところで、二号店を三鷹でも始めたとのことです。「みかづき」の屋号はマスターの顔がそのようにみえたからとか。

 しつらえがなかな古風で、土瓶などがつるさがっています。基本的にカウンターにすわることになります。20席ほどでしょうか? 料理と日本酒がおいしいところです。この日は、忘年会で、刺身の盛り合わせ、白子のあぶり焼き、ローストビーフ、五郎兵衛米土鍋などを注文しました。

 日本酒は愛知県の「菊鷹」、和歌山県の「紀土」に決めました。

 カウンターの角の席に座っていたのですが、途中から30代後半(?)のサラリーマン風の方が隣に一人で入ってきて、歓談しました。


村松友視「時代屋の女房」角川書店、1982年

2017-12-22 20:32:47 | 小説

       

 昨日、紹介した映画「時代屋の女房」の原作を読む。村松友視の作品である。それほど長い小説ではない。短編といってもいいほどである。


 小説をもとにした映画はよく原作に忠実かどうかがひとつの見方の基準になるが、その観点からみると骨董品屋の「時代屋」の様子は見事に再現されている。場所の設定はほぼ小説に書かれているとおりで、その記述の映像化に感心した。時代屋の一階の雑然と並んだ商品の様子、二階が主人である安さんの寝床であり、住処であるが、その周りにも商品が並んでいる様子もそのまま映像化されている。

 主人公の真弓が並んだ骨董品のなかから「涙壺」をとりあげている様子もそのままで、夏目雅子の演技を彷彿させる。真弓が連れ込んだノラ猫のアブサンのことは丁寧に書き込まれてる。映像ではネコは演技をしないので印象が薄いが、小説では文字の力で描写は細かい。

 安さんがなぜこの骨董屋を始めたのか、またどのように大井町のその場所で店を開いたのかは、映画ではよくわからなかったが、小説では詳しく説明されている。父との葛藤もあって、安さん子どもの頃から好きだったその商売を始めたということである。最初は消極的姿勢でいわば食べていくために始めた骨董屋なのだが、真弓があらわれて姿勢が変わることも小説ではわかりやすい。ついで言えば、映画では真弓が安さんと結婚しているのか、単に同棲しているのかは不明で、タイトルが「時代屋の女房」なので結婚しているらしいと判断したのだが、小説では結婚しているときちんと書かれてる。


 安さんの周囲の人間関係も、映画は割と原作のとおりである。ただ夏目雅子が二役で演じた美郷の役割は小説では小さい。映画のほうがしっかり登場している感がある。関連して盛岡で展開される旅館での騒動は小説にはない。この部分、すなわち映画の後半部分は、脚本段階での創作と思われる。他にも、安さんの伯母にあたる人物は小説では出てこない。

 この本には、他に短編「泪橋」が収録されている。


森崎東監督「時代屋の女房」(1983年)

2017-12-21 00:14:57 | 映画

         

 村松友視さんの同名の小説を映画化したもの。

 
 東京の大井町のあたりで、独り者の安さん(渡瀬恒彦)が「時代屋」という屋号をもつ骨董屋を営んでいた。夏のある日、野良猫をかかえ日傘をさした、真弓(夏目雅子)がそこに飛び込んできて、店に居ついてしまう。

 一緒に暮すようになっても、安さんは、真弓がどういう過去を持っているか訊かない。そんな真弓はときどき無断で家を出ていき、7日目になると戻ってくる。
 喫茶店サンライズのマスター(津川雅彦)やクリニーング屋の今井さん夫婦、飲み屋トン吉の夫婦などが心配するが、真弓は何事もなかったかのように帰って来る。理由は言わない。

 闇屋育ちのマスターの乱れた生活、クリーニング屋の今井さんと奥さんとの古いトランクをきかっけとした逸話が挟み込まれている。

 真弓が不在の間、安さんは、どこか真弓に似ている美郷(夏目雅子=二役)という女と知り合い、関係する。東京の孤独で華やいだ暮しをやめ、彼女は東北の郷里に戻って結婚しようと考えている。その寂しさの中で、安さんと出会ったのだ。

 マスターは経営がうまくいかない店を閉めることにあんり、店で働いていたユキちゃんと渡辺クンに店を引き取ってもらい、自分は小樽の旧い友人を訪ねることになる。

 安さんも、岩手でのぞきからくりの売り物があると聞き、マスターと途中まで一緒に車で旅に出る。道中、しみじみと人と人との絆について考える安さん。

 そんなことを考えていた安さんが店に戻った翌日、真弓がまた日傘をさして帰ってきた。ペコリと頭を下げる真弓だが、もちろん安さんはもちろん何も問わない。


             


「南の島に雪が降る」(浅草公会堂、2015年)

2017-12-13 10:59:51 | 演劇/バレエ/ミュージカル

        

 昨日、紹介した加藤大介著「南の島に雪が降る」を舞台化したものです。DVDに録画されたものがありましたので、それを観ました。脚本は中島敦彦さんです。加藤役を演じたのは落語家の柳家花緑さん、その妻を演じているのは元宝塚歌劇団の大和悠河さんです。彼女はオランダ人のリリィ役も演じています。2015年8月に浅草公会堂で公演されたものです。


 内容は太平洋戦争中、パプア・ニューギニアに実際にあったマクノワリ歌舞伎座での話です。原作とほぼ同じとはいえ、舞台なのでいくつか工夫がこらされています。まず、上記のオランダ人の女性は原作では出てきませんが、舞台ではかなり大きな役割で登場しています。歌う場面もかなりあり、そんなこともあって大和さんが抜擢されたものと思います。確かに、女性が全く出てこないと華やかさに欠けますし、歌う場面がると魅力的味わいが出てきます。それから現地の子どもがでてきますが、これも原作にはありません。さらに演劇分隊に所属する人たち、またリリィさんが歌う日本の歌「椰子の実」(島崎藤村作詞)は、原作にはありません。

 柳家花緑さんは、こんなにお芝居が上手だったとは知りませんでした。感情移入、すばらしかったです。


加藤大介「南の島に雪が降る」(知恵の森文庫)、2004年

2017-12-12 11:33:16 | 小説

                

 作者の加藤大介は舞台俳優。明治44年生まれ。昭和4年に二代目市川左団次のもとに入門。昭和8年に前進座に入座。18年衛生伍長として応召、21年に復員。戦後は舞台、映画、テレビで活躍しました。


 この小説は、加藤さんが戦中、パプア・ニューギニアで兵隊生活をおくっていた最中、隊のなかに芸達者なものが多くいたこと、師団の隊長に理解があったことで、「マノクワリ歌舞伎座」を立ち上げ、兵隊生活で疲弊したいた男たちを精神的に支えたという実話です。奇跡のような話ですが、本当にあったことでした。

 戦闘の話は一切でてきませんが、食糧難、病気の蔓延、戦死の報などは出てきます。

 「マノクワリ歌舞伎座」には、加藤さんはじめ、浪曲をうなるもの、三味線をひくものの他、大道具、小道具、衣装、カツラを作る人がいました。加藤さんはかれらをたばね、稽古をかさねました。舞台は隊のなかで人気を博し、ニューギニアに駐屯していた兵士たちがかわりばんに観に来ていました。入場料は、お芋だったようです。

 タイトルの「南の島に雪が降る」はこの一座が、負傷した東北出身の兵士が「雪を見たい」と死の直前にもらしたのを聞いて、その場面を彷彿させる演目を披露したことから来ています。


山田洋次監督「九ちゃんのでっかい夢」(89分、1967年)

2017-12-11 11:15:11 | 映画

        

  山田洋次監督の若いころの作品です。図書館にDVDがあったので借りました。借りたわけは山田作品だということもあったのですが、出演している俳優がわたしの子どもの頃に、活躍していた懐かしいひとばかりだったからです。あの頃、どんな思いでテレビを観ていたのかが偲ばれました。


 九ちゃん(坂本九)は、歌手で子供たちのあいだで人気者でした。「上を向いて歩こう」「レッツ・キッス」など流行りました。そしてあの笑顔がすかれたのでしょうね。今度、この作品をみると、九ちゃんはなかなか達者な演技です。そして調べてみると、そういう芸能環境が彼の小さいころからあったようです。

 倍賞千恵子も若い。可愛い。25歳ぐらいです。これも調べてみると、九ちゃんと倍賞さんは同じ年に生まれていました。半年ほど倍賞さんが早いですが。

 この他、ジェリー藤尾、竹脇無我、九重佑三子、谷幹一、E・H・エリックなども懐かしい若い顔です。「てんぷくトリオ」も出演しています。「びっくりしたなー、もー」がありました。いまでいえば、流行語大賞ですね。伊藤四朗さんが、少しとがった顔で出ていました。

 ストーリーは他愛ないものです。外国で亡くなった老女の遺産がまわりまわって九ちゃんのものとなるが、それを知って彼を暗殺しようとたくらむものがいる。九ちゃん本人は場末の演芸場で歌ったり笑わせたりしてようやく生きているが、ガンを告知され、しょげかえっている。自殺も考えている。唯一の生きがいは、通っているコーヒー店の娘、倍賞さん。その倍賞さんは九ちゃんのガンが誤診とつきとめる。九ちゃんはますます倍賞さんが好きになるが、彼女には婚約相手がいたというもの。この間、九ちゃん暗殺やら、恋愛悲劇などドタバタ騒ぎが続きます。山田監督の本領発揮です。


山田洋次監督「隠し剣 鬼の爪」(2004年)

2017-12-10 10:43:48 | 映画

           

  山田洋次監督は、1969年から始まった「男はつらいよ」シリーズで有名ですが、若いころにはドタバタ喜劇を多くとり、また夜間学校をあつかった「学校」シリーズでもいい仕事を残しています。忘れてならないのは、藤沢周平の小説を題材にした作品です。この「隠し剣 鬼の爪」はそのひとつです。

 「隠し剣 鬼の爪」とは主人公の片桐宗蔵が使った秘伝の小さな剣です。

 宗蔵を演じた永瀬正敏さんのストイックな演技が光ります。きえを演じた松たか子さんもいいですね。

 舞台は幕末の東北、海坂藩。平侍の片桐宗蔵(永瀬正敏)は、母の生前に奉公人だった百姓の娘・きえ(松たか子)との心の交流がひとつのテーマです。

 もうひとつの大きなテーマは、海坂藩江戸屋敷で謀反を働いた罪で郷入りの刑に処された狭間弥市郎との確執です。この事件とは、弥一郎が牢を破り、百姓の家に人質をとって立て籠もりました。弥市郎は藩内きっての剣豪。そこで、大目付の甲田は彼と同じ剣術指南役・戸田寛斎の門下生だった宗蔵に討手を命じます。宗蔵は弥市郎との戦いに挑みますが、弥市郎の命を奪ったのは付近を包囲していた鉄砲隊の放った銃弾でした。

 その前日、家老の堀(緒形拳)が夫・弥市郎の命乞いにやって来た桂(高島礼子)の体を玩んだことを知った宗蔵は、ふたりの無念を晴らすために、戸田から授かった秘剣“鬼の爪”で堀を暗殺します。

 侍の道を捨て蝦夷へ旅立つ決意をした宗蔵は、きえに胸に秘めていた想いを伝え、きえも宗蔵の気持ちを受け止めるのでした。


大林宣彦監督「風の歌が聴きたい」(1998年、161分)

2017-12-06 20:05:44 | 映画

             

 聴覚障害をもつ夫婦の物語。


 幼いころ、高熱の病気で聴覚を失った福島の中学2年の高森昌宏(天宮良)は、全国の同じ障害をもつ女性との文通をもとめていたが、なかに気にいった函館の女子中学生・奈津子(中江有里)と手紙の交換を始めます。

 しかし、文通だけではお互いを理解することに限界があり、次第に疎遠になります。ところが、高校に入って昌宏が函館の奈津子を訪れ、実際にあい、大沼公園でのデートで次第に互いに打ち解けるようになります。

 東京で就職した昌宏は、沖縄・宮古島で毎年行われているトライアスロンに参加します。この間も昌宏と奈津子は交際を続け、ふたりは結婚します。結婚までにはいろいろなことがあり、そのひとつひとつが映画では丁寧に描かれています。

 奈津子も昌宏に誘われて、トライアスロンに参加するようになります。

 二人の間に子どもができます。奈津子が産婦人科での子どもの出産をひかえるなか、昌宏はその年も沖縄のトライアスロンに参加していました。

 この映画は、実話をもとにしています。二人とも聴覚障害なので、会話は手話をつうじて行われています。聴覚障害をもっていても普通に生活していて、とくに不自由さは感じられません。むしろ、しっかり相手の表情をみての手話なので、心の交流がしっかりとらえられています。大林監督の優しいまなざしがそこにあります。 


 東伸児監督作品「しやぼン玉」(埼玉会館ホール)

2017-12-01 20:41:52 | 映画

               
           
  東伸児監督作品「しやぼン玉」を埼玉会館小ホールで観ました。乃南アサさん原作です。


 親に見捨てられ、女性や老人をねらった強盗を繰り返してきた伊豆見翔斗(林遣都)が、逃亡途中で迷い込んだ宮崎県の山奥村・椎葉村。彼がここに来たのは逃亡途中で、オートバイの転倒事故で大けがをしていた老婆(スマ:市原悦子)を助けて、椎葉村の家に連れ帰ったためである。翔斗はここで居候の生活を始める。周囲のものは彼をスマの孫と勘違いする。
スマは翔斗が強盗犯とは知らず、おしみない愛情を注ぐ。

 翔斗は居心地のいい生活で、だらだらとして毎日を送っていたが、シゲ爺(綿引克彦)に連れられて山仕事の手ほどきを受け、祭りの準備を手伝うようになる。祭りの準備の最中、翔斗は美知(藤井美奈)という女性と知り合う。翔斗は彼女と親しくなるが、彼女が以前に都会で強盗にあい、以来落ち込んだ日々をおくってきたことを知る。それはとりもなおさず、自分が犯した罪を自覚することであった。