盲目の旅芸人・おりんと憲兵隊に追われる男・平太郎との人間愛を、美しい自然の中に描いた作品。監督は篠田正浩さん。「忍ぶ川」の長谷部慶治さんと監督でもあった篠田正浩さん。撮影は、巨匠、宮川一夫さんである。
瞽女さん役を演じた岩下志麻さん、また樹木希林さん、脱走兵の大男、平太郎役の原田芳雄さん、みな個性的演技でした。
大正7年、初春の山間の薄暮のなか、瞽女さんであるおりんは、阿弥陀堂で一人の大男(平太郎)と偶然に出会った。惹かれあったふたりは翌日から、いきあたりばったりに、廃寺の縁の下、地蔵堂と泊り歩く奇妙な旅が始まった。
おりんと得体のしれない、何か訳ありの平太郎は買入れた大八車で二人の所帯道具を積み込み、あてのない旅を続けた。
柏崎の薬師寺で縁日が開かれていたある日には、露店が立ち並ぶ境内の一隅で下駄を作る平太郎と、できあがった下駄をフクサで磨きあげるおりんの姿があった。そこで許可なく店をはったという理由で、平太郎は土地のヤクザに呼び出される。
平太郎が店を留守にした間に、香具師仲間の一人である別所彦三郎はかねてかた眼をつけていた盲目のおりんを松林に連れ込み、犯す。そのことを知って、平太郎は逆上。大八車の道具箱からノミを取り出すと、香具師を追跡、彼を殺す。
海辺で再びでったおりんに平太郎は「また一緒になるから、当分別れて暮らそう。俺は若狭の方へ行く」と言い残し、忽然と姿を消した。
季節は秋に移り、おりんは黒川の六地蔵で出会ったはなれ瞽女のおたまと共に、南の若狭方面へと向っていた。他方、姿をくらました平太郎は、別所殺しの殺人犯として、追われていた。実は得体の知れなかった平太郎は、福井県鯖江隊所局の脱走兵であり、そのカドでも追跡をうけていたのだった。
残雪を残す若狭の山に訪れる春。若狭の片手観音堂に来ていたおりんは、ある日、参詣人でにぎわう境内で、平太郎に呼びとめられた。ふたりの再会だった。その夜、うれしさにうちふるえ、おりんは初めて、平太郎に抱かれた。翌日から二人はまた旅を始める。
しかし、二人の背後には憲兵中尉・袴田虎三の姿が迫っていた。...
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