横浜美術館で、特別展「源氏物語の1000年-あこがれの王朝ロマン-」が開催されています。開催期間は8月30日~11月3日です。
この展覧会には、国宝では、「紫式部絵日記絵巻」(五島美術館本・第三段 詞書・絵)、金銅藤原道長経筒、御堂関白記(自筆本・藤原道長)、金銀鍍宝相華文経箱、倭漢抄下巻(第一巻)[伝 藤原行成]、千代姫婚礼調度初音蒔絵見台(幸阿弥長重)、千代姫婚礼胡蝶蒔絵挟箱(幸阿弥長重)の7点が出展されています。これらはみな貴重ですが、藤原道長の筆跡をみることができ、感動しました(紫式部の筆跡は残っていないとのこと)。この他、重要文化財もたくさん出品されています。
源氏物語はいわずと知れた紫式部の作品です。今からおよそ1000年前に書かれました。「紫式部日記」の記述から、寛弘5年(1008年)には宮中で読まれていたことが確認されています。2008年は源氏物語が歴史上に登場してちょうど1000年にあたるというわけです。
世界で最も古い物語といわれ、400字詰の原稿用紙では2300枚ぐらいになるそうです。
主人公は光源氏と息子の薫たち。全部で54の話になっています。
光源氏は天皇である父(桐壺帝)と母(桐壺更衣)の間に生まれました。3歳で母と死にわかれ、12歳で元服。仕事ができ、ハンサムで天皇の次の位までになりました。多くの女性とめぐりあい、50歳ぐらいで出家、数年後に亡くなりました。
展覧会では、源氏物語のさまざまな場面を絵にしたもの、紫式部を描いたもの、源氏物語の時代の貴族のくらしぶりなどに触れることができます。
紫式部が源氏物語を執筆して以来、この物語を好んだ菅原孝標女、藤原定家をはじめとする源氏学者の営為を経て、愛読者はたくさんいます。また、執筆された平安朝から源氏物語は絵画となり、「源氏絵」の系譜があります。展覧会にはその一部が展示されています。
多くの現代語訳が出ています。与謝野晶子、谷崎潤一郎、円地文子、田辺聖子、そして瀬戸内寂聴などの現代語訳も展示されていました。また海外でも英語はもちろん、フランス語、ロシア語、中国語など18カ国の国々の翻訳があります。
気がついたのは、結構、外国人が多かったことです。熱心に鑑賞していたのが印象的でした。