![太宰治 (岩波新書)](https://ec2.images-amazon.com/images/I/414M8GYDHRL._SL500_AA240_.jpg)
太宰文学の読み方の指南は野暮なようだけど,あえて著者はそれをかってでたと言う(p.5)。
評論家の奥野健男氏にならって太宰文学を三期に分け,まず「すぐれて生々しい<語り>の実践」の「前期」,プロの作家として成長して行く「中期」,戦後の激しい社会変動の影響を受け新たな場所に踏み込んだ「後期」と追跡して行きます。
太宰文学を特徴づけて著者は「軽み」「上手いキャッチ・コピー」「語りの巧さ」「美談の造形」「あそび」「やつし」などを指摘し,それらの背後にある「有頂天なりやすい性格」「自虐的体質」「道化による求愛」を摘出します。
整った太宰治論です。かなり前に読んだ本ですが再読しました。
深夜のラジオ番組で「爆笑問題」の太田さんが太宰をほめ,小説「晩年」を読めと強調していたのを切っ掛けに読んだ次第です。