【岩崎俊夫BLOG】社会統計学論文ARCHIVES

社会統計学分野の旧い論文の要約が日課です。

時々、読書、旅、散策、映画・音楽等の鑑賞、料理とお酒で一息つきます。

マルセル・カルネ監督「嘆きのテレーズ」(フランス、1940年)

2017-08-29 09:34:17 | 映画

       


 原作はエミール・ゾラの「テレーズ・ラカン」ということですが、それに忠実というのではなく、翻案です。

 リヨンでラカン生地店の主婦であるテレーズ(シモーヌ・シニョレ)は、病弱な夫カミイユ(ジャク・デュビイ)、息子を溺愛する姑ラカン夫人(シルヴィー)と色あせた毎日を送っています。

 貨物駅に勤めるカミイユはある日、イタリア人のトラック運転手ローラン(ラフ・ヴァローネ)と知り合います。意気投合し二人は酒を飲み、ローランは酔ったカミイユを家までおくってきてきれました。

 たくましいこの男の魅力にテレーズはみるみる惹かれ、ローランもまた彼女をもとめます。駆落ちを迫るローラン。危険な逢びきが重なり、二人はカミイユに真相をつげて離婚を承諾させよぅとします。しかし、カミイユはテレーズをパリに連れて行き、親類宅に閉じこめようとします。

 その旅行の途中、眠りこけていたカミイユはテレーズがそばにいないことに気づき、あとから追ってきたローランと車中で密会している現場をつきとめます。二人の男はテレーズを中に喧嘩になり、はずみでローランはカミイユをデッキから突落してしまいます。

 きびしい警察の訊問にたえ、テレーズは二人の無罪を主張しますが、たえず惨死体となった夫の姿に悩まされ、息子の死以来全身不髄となったラカン夫人の眼におびえます。ローランとは絶交状態におちいるます。

 ところが、事件の夜、列車で夫婦と同室だった復員水兵(ローラン・ルザッフル)が新聞でテレーズの住所を知ると、事業資金獲得と称して50万フランの口止料を彼女に要求してきました。テレーズはローラン以外頼る以外になく、再び結びついた二人は鉄道会社からおりた弔慰金を水兵に渡して国外に逃げようと図ります。

 その金を二人から受取った直後、水兵はトラックに轢かれ不慮の死をとげます。さて、この結末は・・・

     フランス映画らしい雰囲気があり、絶対に観ておくべきです。             

                   

 

 

 

 


サム・ウッド監督「Kitty Foyle (恋愛手帖)」(アメリカ、1940年、108分)

2017-08-28 11:37:15 | 映画

        

 原題は Kitty Foyle で、主人公の女性の名前です。邦題は気の利いたものになっています。

 だいぶ前に一度観たので、2回目です。キティー(ジンジャー・ロジャース)はタイピストとして働いていた会社の上司ウィンに好意をいだかれ、彼との将来を考えます。しかし、キティはフィラデルフィアの片田舎で育ち、彼はニューヨークに住む御曹司で、生活感覚が非常に違い、戸惑っています。それでも、二人の愛はその障害を乗り越え、結婚に漕ぎつけます。ところが、結婚してすぐにニューヨークの彼の家にいくと、重たい空気がたちこめています。彼の母はキティーに「学校に一年、通う」ように命令口調で伝えます。彼の家に相応しい教養を身に着けるように、ということでしょうか。カチンときたキティは、フィラデルフィアに逃げるように帰ります。

 キティは化粧品会社に就職します。ある時、偶然トラブルがあり、医者の応急処置をしてもらうハメになります。医師の名前はマーク。ふたりの間に愛が芽生えます。

 この後、キティを忘れられないウィンと医師で付き合いを始めたマークとの愛を受け、彼女は悩みます。ウィンとの間に子供を宿しますが、死産の不幸の底におちこみます。再婚していたウィンが突然キティの前にあらわれ、離婚はできないが一緒にブエノスアイレスに行こうと彼女を誘います。OKする彼女。しかし、顛末は意外にも・・・。フレッド・アステアとダンス映画で組んだジンジャー・ロジャースが好演です。

 この映画、最初に、女性が選挙権を獲得し、社会進出していくシーンが映し出されます。女性は家庭で家事と育児にいそしむのではなく、夕方からも外に出て生活するようになってきたことが知らされます。アメリカの1940年前後の事情のようです。


「オケピ!」(作・演出:三谷幸喜、音楽・指揮:服部隆之、於・青山劇場)

2017-08-14 11:43:24 | 演劇/バレエ/ミュージカル

    


    「オケピ」とは、「オーケストラ・ピット」のことです。オペラとかミュージカルの上演のおりに、生の演奏をオーケストラ編成で行われることがありますが、その演奏の場所は普通は、舞台の前の一段さがった囲い込みのなかです。観客からは見えません。指揮者だけが顔だけみせて、お客さんに挨拶します。

 ここではどのような人間関係がうずまいているのでしょうか? 三谷幸喜さんが、それをミュージカルにしたてました。人気があり、チケットはなかなかとれません。わたしもチケットをとろうとしたことがありますが。ダメでした。しかし、このミュージカルはDVD化だれていました。

 正直のところ、やや期待外れでした。直前に「CATS」「オペラ座の怪人」を観ていたからもしれません。人間関係といっても楽団員の不倫関係、三角関係、四角関係(?)がごしゃごしゃと展開されるだけで、ある意味どうでもいいことがえんえん続きます。

  わたしの期待は、オーケストラのメンバーの個性は、自分が使う楽器によっていろいろと聞いたことがあり、そうした楽器をとおした人間関係のぶつかりあいにあったのですが、全く違いました。期待が大きいと、それが実らない時のがっかり度は比例するようです。

 役者さんはみな達者です。白井晃さん、戸田恵子さん、天海祐希さん、寺脇康文さん、小日向文世さん、温水洋一さん、布施明さん、等々。このミュージカルの人気度は、そこにあるようです。お客さんも映っていましたが、30歳から40歳ぐらいの女性が多かったように見受けました。
 
 


「銀河旋律」(於:両国エアースタジオ)

2017-08-05 19:34:56 | 演劇/バレエ/ミュージカル

           

 劇団空感演人公演「銀河旋律」を観ました。知り合いが登場するので、この劇団の舞台はよく観にいきます。

 タイムマシンが実用化された未来。

 人気ニュースキャスター・柿本光介と、高校教師・春山はるかの過去が、二人の仲を引き裂こうとする、サルマルの手によって次々と変えられていく。

 過去が変えられ、柿本は はるかを失ってしまう。はるかを取り戻すため、柿本は地位も名誉も捨て、タイムマシンで過去へさかのぼる。しかし、過去にいられる時間はわずか45分…。

  公演時間は1時間7分と短いですが、緊張感のある展開です。万葉集の歌詠みがところどころにあり工夫されています。

■脚本:成井豊(演劇集団キャラメルボックス)

■演出:栗本有美子

■テーマソング:『交錯の彩(こうさくのいろ)』作詞・作曲:福永実咲 編曲:蓮尾理之

Aチーム】 岩崎さとし 悦永舞 工藤紬 小島亜梨沙 髙井沙織 高橋亜里沙 目黒亮平 吉田哲也 ☆ 栗本有美子


「オペラ座の怪人」(25周年記念 in LONDON)

2017-08-04 21:30:26 | 演劇/バレエ/ミュージカル

                               

   「オペラ座の怪人」初公演以来25周年を記念した行われた公演。この作品は、アンドリュー・ロイド・ウェーバーによる。

 19世紀末のパリオペラ座(オペラ・ガルニエ)が舞台です。パリのオペラ座にいつく怪人、たびたび現れては事件を引き起こす。劇場関係者から恐れられている怪人と、怪人に歌手としての素質を見いだされレッスンを受けるコーラスガールのクリスティーヌ・ダーエと、その幼なじみで新たにオペラ座の後援者となったラウル子爵の3人を巡る三角関係のストーリーです。

 ルルーの原作の雑多なストーリーを整理し、登場人物を絞り込み、怪奇ものでありながら怪人を中心としたラブ・ロマンスに焦点を当てています。

 このDVDには最後に歴代の役者がかけつけ、歌っています。なかでも初演でクリスティーヌを演じたサラ・ブライトマンが登場したのは感激でした。アンドリューは当時、妻だった彼女のためにこの作品を世に出したといわれています。


  


CATS(Special Edition)

2017-08-03 20:01:46 | 演劇/バレエ/ミュージカル


                                    


 CATSは数年前に劇団四季のバージョンで観ましたが、このDVDはCATSの生みの親であるアンドリュー・ロイド・ウェーバーが映像化したものです。

 都会のごみ捨て場にたむろする猫たち。年老いた猫、青春を謳歌する猫、生まれたての子猫。したたかに生きる猫たちは、年に一度の舞踏会をもちます。長老猫が永遠の命を受ける猫を選ぶ日でもあります。

 このDVDには、CATSが生まれるまでの経緯を、アンドリューたちが語っていて、それが面白です。エリオットの詩がベースにあるものの、のら猫がメインのミュージカルなど、誰も見向きもせず、公演は失敗するもと思われていましたが、エリオットの詩とアンドリューの音楽がよかったこと、メイク、キャスティング、美術、照明が総力をつぎこみ、結果は世界的ヒット作品になりました。

 かつては売れっ子で、いまはすっかりおちぶれた娼婦猫のグリザベラは、当初、名優ジュディ・ディンチが演ずることになっていましたが、練習中にアキレス腱を断絶する事故にあい、急きょエレン・ペイジが演ずることになりました。そんな苦労話も「特典インタビュー」のなかで出てきます。

 


マイケル・ホフマン監督「The Last Station(執着駅)」(ロシア=ドイツ、2009年、119分)

2017-08-02 21:11:18 | 映画

                                 

 ロシアの文豪トルストイ(クリストファー・プラマー)とソフィヤ伯爵夫人(ヘレン・ミレン)の遺産をめぐる晩年の確執から、トルストイが家出をし、アスターポヴォ駅で死を向かえる経過を題材とした映画。

 レフ・トルストイと妻のソフィアは、50年近く結婚生活を送ってきた。しかし、トルストイは晩年になって清貧の生活を希求する。新しい宗教の名のもと、爵位や財産、家族も捨て、菜食主義となることを決める。

 ソフィアはトルストイの弟子のウラジミール・チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)が夫に新しい遺書への署名を説得したらしいことを知る。その遺書には、トルストイの作品に関する権利をロシア国民に与えると書かれていた。ソフィヤは自分の財産を守るため、知恵や魅力を総動員し、徹底抗戦に出る。

 チェルトコフはその行動がトルストイの経歴にダメージを与えると警告する。トルストイを崇拝するが世間知らずの新しい助手ワレンチン・ブルガコフ(ジェームズ・マカヴォイ)は、チェルトコフとソフィヤの間にたって、それぞれにうまく利用されそうになる。ワレンチンはまた、トルストイ主義の信奉者マーシャ(ケリー・コンドン)に惹かれるが、同時に彼女の型破りな考え方に戸惑う。複雑な人間関係と家庭環境に嫌気をさした82歳のトルストイは、真夜中に家出を試みる。