「しこふんじゃった」「Shall We Dance」の周防監督が裁判の構造にメスをいれた作品。
痴漢と疑われた青年が無罪を主張し、裁判で闘う。その経過のなかで現れる裁判の仕組み、構造。明るみにでなかった部分を、上手に映像化している。理不尽がまかりとおっている世界。
拘留された場所では怪しげな人と同居することになる。起床ラッパがなり、朝の身支度、仕事をルーティンでこなしていかなければならない。
無罪でも裁判と闘うには想像を絶する精神力が必要、そんな道にすすむならお金を払って解決する方法(示談)がある。それを勧める弁護士もいる。
裁判所は真実を公平に明るみにするところではなく、裁判官が与えられた資料からどういえるかを判定するところ。検察側は権力の場であるから、無罪判決を出すことは、裁判官といえども権力にたてつくことになるので避けたい。
裁判官は何百件も案件をかかえている。ほとんどはルーティンですぎていくが、そのなかから無罪判決がでるのはほとんどない。弁護士も多くの案件をかかえている。被告の周りの人の真剣度が問われる。何としてでも無罪を、という姿勢がないかあるかで、弁護士の熱意も変わる。
映画の主人公は、無罪を訴え続けるが、有罪判決が・・・。
主演の加瀬亮さんは、犯人にしたてられた戸惑い、苛立ち、怒りを体全体で表現していていい演技でした。弁護士コンビの役所広司さん、瀬戸朝香さんは、弁護士の役割を真摯に演じ、弁護士の立場からの裁判への疑問を表現していました。その他、もたいまさこさん、山本耕史さん、大和田伸也さん、竹中直人さんなど個性的俳優が脇を固めています。