痛快エッセイです。
還暦前後あたりからの夫婦関係は微妙です。妻(おばさん)が強くなり、夫(おじさん)が弱ってきます。それは生活力が指標になるからです。おばさんたちはそれまでに蓄積した家事、育児の延長で堂々と生きていけます。それに対しておじさんは食事をつくることができず、おばさんにたよらざるをえません。生活の場の地域では、おばさんは知り合い、友達がたくさんいて、強固な情報ネットワークをもっていますが、おじさんは職場からはなれて、地域に知り合いがいないか、関係がうすく、ヒマをもてあましています。
こうなったらおじさんはおばさんに感謝し、炊事をならっていきていけばいいのに、そんなことは男の沽券にかかわると思うのか、実行に躊躇し、「ありがとう」の一言も言いません。
おばさんのほうにもいろいろ事情があり、逞しくなった彼女は「おんな」性をぬぎすて、自分をかざることに頓着がなくなります。そんなこんな事情を、ショートエッセイでまとめているのがこの本です。ほんとに笑える本です。
上記の本の表紙の画像は、歌川広重の「御油 旅人留女」(東海道五拾三次)で、宿屋の女が腕や荷物を強引につかんで旅の男を引き込もうとしている姿をユーモラスに描いたものです。
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