国境の島・沖縄与那国 自衛隊配備を問う③ “民主主義を取り戻す”
住民投票の成功呼びかけ
外問守吉・与那国町長の政治団体「ホカマ守吉後援会」は2年前、町長選告示直前の8月3日に自民党県連から500万円の寄付を受け取っていたことが13年分の政治資金収支報告書から明らかになっています。
この額は一町長選支援の選挙資金としては法外な額。しかも外間氏が初当選した05年から12年まで同後援会の収支報告書に収入(寄付)も支出も一切、計上されていないことも含め、13年分のみこれだけの寄付があったことは異例中の異例といえます。背景に自衛隊配備問題との関連を指摘する声もあります。
自衛隊基地建設に向けた造成工事が強行されている建設予定地の南牧場=1月、沖縄県与那国町
強硬姿勢一転
外間氏は選挙を控えた13年3月、自衛隊誘致と引き換えに「基地設置の迷惑料」として防衛省に10億円を町へ交付するよう要求しました。露骨な見返り要求に、町長とともに誘致を進めてきた自衛隊親睦団体の与那国防衛協会からも「われわれに対する裏切り行為だ」など不信の声が噴出。防衛協会が町長選へ独自候補の擁立を模索し、推進派分裂の事態まで直面しました。
10億円について当初、「びた一文まけない」と強硬姿勢を貫いていた外聞氏は結局、態度を軟化。要求を取り下げると方針転換したため、推進派は外間氏支援で一本化し、09年選挙に比べて自衛隊反対候補との票差は半減したものの、外間氏は3選を果たしました。
防衛省は昨年4月、取得を終えた基地建設予定地の造成工事を強行。基地建設が既成事実化しようとしていた9月、転機が訪れます。町議選(定数6)で誘致推進派と反対・中立派が同数(3)になったのです。推進派から議長が選出されたため、3対2の賛成多数で住民投票条例が11月、可決されました。
荒れた牧草地
島の南西部、水平線のかなたまで広がるコバルトブルーの海を背に南牧場があります。
テレビドラマ「Dr.コトーの診療所」に登場したこともある同牧場の東側20ヘクタールに防衛省は基地建設を強行しようとしています。
着工から9カ月、かつてヨナグニウマが下草をはんでいた、のどかな景色は見る影もありません。重機が牧草地をえぐり、土壌がむき出しの荒涼とした光景が広がっています。
「ウマやウシが行き場をなくしたように、重機のそばをさまよっているのを見ると、本当に言葉もないです」。島の酒造所で働く稲川宏二さん(48)は、建設現場を眺めながら語りました。
工事が一定進んでいることもあり、一部には「今さら住民投票をやっても無駄」との声もある中、稲川さんは「住民投票を成功させるための実行委員会」の一員として、町の民主主義を取り戻す投票の意義を訴えています。「外間町長たちが反対の声を聞かずに誘致を推進し、民主主義は踏みにじられてきました。島を二分する争いを終わらせるためにも、賛否はどうあれ、町民みんなが納得のいくように多くの人へ参加を呼びかけ、住民投票を成功させたい」
(おわり)
【激励・カンパの送り先】
「住民投票を成功させるための実行委員会」
〒907-1801
沖縄県与那国町与那国362
郵便振替
17020-17947041
住民投票を成功させるための実行委員会
(通信欄に住所、氏名とともに職業を記載してください)
住民投票
地方自治体の住民が特定の事項に対し、投票で直接に意思表示するため、自治体の定める条例に基づき実施されます。基地関連では、新基地建設に反対する民意が示された沖縄県名護市の市民投票(1997年)など同県で過去2度行われています。結果に「法的拘束力」はありませんが、原発立地計画を断念させた新潟県旧巻町(96年)の例もあります。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年2月8日付掲載
「今さら住民投票をやっても無駄」との声。一方、町の民主主義を取り戻す投票の意義との主張。
住民投票の成功呼びかけ
外問守吉・与那国町長の政治団体「ホカマ守吉後援会」は2年前、町長選告示直前の8月3日に自民党県連から500万円の寄付を受け取っていたことが13年分の政治資金収支報告書から明らかになっています。
この額は一町長選支援の選挙資金としては法外な額。しかも外間氏が初当選した05年から12年まで同後援会の収支報告書に収入(寄付)も支出も一切、計上されていないことも含め、13年分のみこれだけの寄付があったことは異例中の異例といえます。背景に自衛隊配備問題との関連を指摘する声もあります。
自衛隊基地建設に向けた造成工事が強行されている建設予定地の南牧場=1月、沖縄県与那国町
強硬姿勢一転
外間氏は選挙を控えた13年3月、自衛隊誘致と引き換えに「基地設置の迷惑料」として防衛省に10億円を町へ交付するよう要求しました。露骨な見返り要求に、町長とともに誘致を進めてきた自衛隊親睦団体の与那国防衛協会からも「われわれに対する裏切り行為だ」など不信の声が噴出。防衛協会が町長選へ独自候補の擁立を模索し、推進派分裂の事態まで直面しました。
10億円について当初、「びた一文まけない」と強硬姿勢を貫いていた外聞氏は結局、態度を軟化。要求を取り下げると方針転換したため、推進派は外間氏支援で一本化し、09年選挙に比べて自衛隊反対候補との票差は半減したものの、外間氏は3選を果たしました。
防衛省は昨年4月、取得を終えた基地建設予定地の造成工事を強行。基地建設が既成事実化しようとしていた9月、転機が訪れます。町議選(定数6)で誘致推進派と反対・中立派が同数(3)になったのです。推進派から議長が選出されたため、3対2の賛成多数で住民投票条例が11月、可決されました。
荒れた牧草地
島の南西部、水平線のかなたまで広がるコバルトブルーの海を背に南牧場があります。
テレビドラマ「Dr.コトーの診療所」に登場したこともある同牧場の東側20ヘクタールに防衛省は基地建設を強行しようとしています。
着工から9カ月、かつてヨナグニウマが下草をはんでいた、のどかな景色は見る影もありません。重機が牧草地をえぐり、土壌がむき出しの荒涼とした光景が広がっています。
「ウマやウシが行き場をなくしたように、重機のそばをさまよっているのを見ると、本当に言葉もないです」。島の酒造所で働く稲川宏二さん(48)は、建設現場を眺めながら語りました。
工事が一定進んでいることもあり、一部には「今さら住民投票をやっても無駄」との声もある中、稲川さんは「住民投票を成功させるための実行委員会」の一員として、町の民主主義を取り戻す投票の意義を訴えています。「外間町長たちが反対の声を聞かずに誘致を推進し、民主主義は踏みにじられてきました。島を二分する争いを終わらせるためにも、賛否はどうあれ、町民みんなが納得のいくように多くの人へ参加を呼びかけ、住民投票を成功させたい」
(おわり)
【激励・カンパの送り先】
「住民投票を成功させるための実行委員会」
〒907-1801
沖縄県与那国町与那国362
郵便振替
17020-17947041
住民投票を成功させるための実行委員会
(通信欄に住所、氏名とともに職業を記載してください)
住民投票
地方自治体の住民が特定の事項に対し、投票で直接に意思表示するため、自治体の定める条例に基づき実施されます。基地関連では、新基地建設に反対する民意が示された沖縄県名護市の市民投票(1997年)など同県で過去2度行われています。結果に「法的拘束力」はありませんが、原発立地計画を断念させた新潟県旧巻町(96年)の例もあります。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年2月8日付掲載
「今さら住民投票をやっても無駄」との声。一方、町の民主主義を取り戻す投票の意義との主張。