きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

原油安の構図② 価格上昇なら国民に負担

2015-02-14 19:36:20 | 経済・産業・中小企業対策など
原油安の構図② 価格上昇なら国民に負担
石油アナリスト 萩村武さんに聞く


原油安の中で開かれた2014年11月の石油輸出国機構(OPEC)の総会は、減産を見送りました。減産できないのです。産油量を減らすと、販売市場を失うからです。

減産はできず
1984~85年の“逆オイル・ショック”のときは、1バレル=40ドルだったのが、10ドルまで下がりました。供給過多が原因でした。価格維持のため、サウジアラビアが1国で減産しました。OPECで、減産の余力を持つ国は、他にありません。サウジアラビアが引き受けるしかないのです。
減産前、サウジアラビアの産油量は、日量1000万バレルでした。最少時、日量250万バレルまで減産しました。しかし、日量750万バレルの販売市場を失いながら、価格の下落を止められませんでした。
そのため、二重の減収になり、財政破綻寸前になりました。その苦い経験があるので、減産できないのです。他のOPEC諸国もそのことをよく知っていますから、決して減産しません。
他方、シェールオイルの生産コストには、大きな幅があります。1バレル=38~80ドルほどの幅があります。原油安で、高コストの油井から順に採算割れする可能性はあります。しかし、高コストの油井は、開発を始めたばかりのものです。そこが開発をやめ、開発会社が倒産しても、現在の産油量にはほとんど影響しません。
米国に三大シェール層があります。イーグルフォード、パーミアン、バッケンです。これらの地域では、2006年ごろから生産が始まっていて、時間もかなりたっています。この地域では、生産コストは平均1バレル=40ドル台です。最低で38ドルです。ですから、1バレル=50ドルを下回った時点では、まだ余裕があります。米国のエネルギー省も、この価格なら「ノー・プロブレム(問題ない)」と言っているぐらいです。
原油の生産コストを比較すると、中東の陸上油田は平均1バレル=29ドルです。米国のシェールオイル全体では平均62ドルです。中東としては、この水準までは大丈夫だと考えているでしょう。





リビア最大のエルシャララ油田のパイプライン=2014年12月3日(ロイター)

響く高コスト
しかし、高コストの原油は、次第に減産へ追い込まれる心配があります。現在、原油価格は、最も下がったところで1バレル=45ドルほどです。ここまで下がると、北海原油、ロシア、ベネズエラ、西アフリカなどはつらいでしょう。実際、ロシアなどは、通貨のルーブルが急落しています。
国内総生産(GDP)の50%以上、国家収入の80~90%も原油に依存する国は、原油価格がさらに下落すると、経済が破綻しかねません。そういう影響がまず先に出てくると思います。
そうなると、現在の需給緩和がいつまでも続くわけではなく、急速にひっ迫していきます。その後、原油が急騰してくるのが従来のパターンです。需給が安定し、価格が安定していないと、乱高下が国民にしわ寄せされることになります。月並みな言い方ですが、「谷深ければ山高し」といわれ、上昇に転じるときが心配です。
日本に関しては、この間にガソリン価格がかなり下がるなど、原油安の恩恵を受けてはいます。しかし、円安で輸入コストが上昇しており、その分、原油安の恩恵がそがれていることになります。
現在の原油安は、産油国が被害を受け、金融破綻、経済破綻を起こしかねないという意味で、“逆オイル・ショック”です。
ただ、原油安の恩恵を受け、ガソリンやディーゼル・オイルなどの価格が下がっており、世界的には、需要が回復に向かい始めています。国際エネルギー機関(IEA)や米エネルギー省は、過剰状態は2015年前半で解消され、夏場あたりから、原油が上昇する局面を迎えるだろうと見ています。その可能性はあります。
(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年2月4日付掲載


月並みな言い方ですが、「谷深ければ山高し」といわれ、上昇に転じるときが心配。
ガソリンが今安いからって、買いだめておくことはできないので、本当に反動が怖いですよね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする