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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

原油安の構図① シェールオイルが急増

2015-02-12 17:26:55 | 経済・産業・中小企業対策など
原油安の構図① シェールオイルが急増
石油アナリスト 萩村武さんに聞く


2014年後半から原油価格が下落しています。産油国の経常収支悪化の懸念から金融市場にも変調の兆しが見られます。現在の原油安について、石油アナリストの萩村武さんに聞きました。
(聞き手・北川俊文)

現在の原油安は“逆.オイルショック”とでもいうべきものです。その特徴は、供給主導の需給緩和にあります。
2008年のリーマン・ショック前後から09年にかけ、原油価格が1バレル=147ドルから34ドルへ大幅に下落しました。このときは、需要の減退で需給の均衡が崩れたのが原因でした。現在は逆に、供給が過多になり、需給が緩んだ形で起きています。



米ノースダコタ州の原油採掘リグ=2013年5月12日(ロイター)

イラク1国分
原油の供給過多は、米国のシェールオイルが増産されていることが主な原因です。米国の産油量は、05年には日量500万バレルでした。現在は日量930万バレルです。過去10年間に日量430万麟レも増えました。中東第2の産油国であるイラクの14年12月の産油量は日量370万耀でした。
つまり、この10年間に米国の中にもう一つのイラクが現れたようなものです。しかも、現実のイラクを上回ります。その分、米国内で供給過多になっています。
輸出できれば、供給過多が緩和されます。しかし、米国は原油の輸出を禁止しており、米国内に原油の在庫が積み上がりました。そのため、国際的な原油価格の指標になっている米国産標準油種のWTI(ウエスト・テキサス・インターメディエート)が値下がりし、他の原油もつられて値下がりしました。
原油の増産が今に始まったわけではないのに、なぜ、原油価格の下落が14年夏から始まったのでしょうか。13年には、世界の原油の需要が供給を上回っており、価格は1バレル=100ドル超の水準で推移していたのです。
ところが、リビアの産油量が増えてきました。14年6月初めごろまでは、最低で日量23万バレルまで落ち込んでいました。それが、10月初めには、日量100万バレルぐらいまで、日量70万バレル以上も増えたのです。






需要は伸びず
機構(OECD)や国際通貨墓金(IMF)が14年9月に発表したように、世界経済が減速してきました。欧州では原油需要が減少しました。中国やインドでは、需要がなお伸びていますが、伸び率は鈍化してきました。13年には、余剰の原油をみな、中国やインドやアジアの新興諸国が輸入していたので、需給が引き締まっていました。しかし、そこの経済が減速してきて、輸入も減ってしまいました。
このように、供給面では、米国で引き続き増産されているのに加えて、リビアが増産に転じました。他方、需要面では、世界経済が減速してきたために、供給の方が急速に上回り始めました。これが、現在の原油安の基本的な構図です。

投機資金は、先安が支配する原油市場から引き揚げています。株式や国債へ回っているのです。銅や穀物などいろんな商品がありますが、価格の下落幅はそれほどでもありません。原油価格だけが大きく下がっています。原油市場の投機資金がかなり引き揚げたために、原油価格の下落が増幅されているのです。
原油価格の適正水準はどれぐらいかというのは、むずかしい問題です。1バレル=80~85ドルだろうという人が多いようです。今回も、さらに下落するかどうか半信半疑だったのですが、80ドルあたりから急に売りが膨らみました。投機資金が逃げ出したということでしょう。(つづく)(2回連載です)

バレル:胴のふくらんだ樽(たる)が語源の容積単位。原油に使われる場合は1バレル=約159リットル、18リットル入りの灯油缶で約9缶に相当。

WTI:西テキサス産中質原油。米国のテキサス州西部やニューメキシコ州東南部で生産される原油。生産量は多くないものの、その価格は世界の指標。

シェールオイル:地下深くの頁岩(けつがん)層(シェール層)から新技術を使って採掘される原油。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年2月3日付掲載


異常な円安でガソリン代が上がる前(2011年ごろ)は安いところで135円ぐらいだったのですが、今は高いところでも120円台になっていますね。
安くなるのは車に乗る者にとってはうれしいことですが、産油国の経済、通貨まで影響が出るのは困る事ですね。
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