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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

変貌する経済 農業② 企業の農地所有を狙う

2014-11-08 22:15:53 | 経済・産業・中小企業対策など
変貌する経済 農業② 企業の農地所有を狙う

安倍晋三政権は、環太平洋連携協定(TPP)を前提に「競争力ある農業」を掲げ、それには経営規模の拡大が不可欠だとして、農地の集積を目指しています。2023年までに全農地面積の8割を「担い手」に集める目標です。「担い手」とは、農業生産法人を含む認定農業者など政府の政策に基づく「担い手」のことです。

農地集積中心に
政府が6月24日、「再興戦略」や「骨太の方針」とともに閣議決定した「規制改革実施計画」は、農地の集積を中心に掲げ、①農地中間管理機構②農業委員会の見直し③農地を所有できる農業生産法人の見直し④農業協同組合の見直しーを重点事項としました。
農地中間管理機構は、農家から農地を借り上げ、整備した上でまとめて貸し出すのが業務です。しかし、貸出先は、農外企業も含めて公募で決められることになりました。
農業委員会は、耕作する者が農地を持つ原則に基づき、地域の農業者が自治的に農地を管理する行政委員会として設置されました。農地の管理や農政への建議などで農民の意見を反映させる役割を担っています。
しかし、農業委員会は今、農地の集積に活動の重点を置くよう求められ、それに役立つ組織へ改変されようとしています。委員の数を減らした上で、農業委員会の下に「農地利用最適化推進委員会」(仮称)が新設されます。また、農業委員の過半を農民の選挙で選ぶ公選制と、議会・団体推薦による選任制をやめ、市町村長の選任制に一元化し、農民を代表する性格をなくそうとしています。



実りの秋を迎えた田園=10月、島根県飯南町

使用人1人でも
農地を所有できる農業生産法人は従来、役員の「過半」が農業の常時従事者でなければなりませんでした。それを「役員または重要な使用人のうち1人以上」に緩めようとしています。構成員要件では、議決権を持つ出資者の「4分の3以上」が農業関係者でなければなりませんでした。それを「2分の1を超える」に緩め、「2分の1未満」は、農業関係者でなくてもよくしようとしています。
それでは、企業が参加した農業生産法人で、「重要な使用人」1人が農作業に従事し、企業が議決権の半数近くを握り、残りを複数の農業関係者が持つ場合も、要件を満たします。その企業は、自らが強い影響力を持つ農業生産法人を通して、実質的に農地を持つことになります。
10月10日の国家戦略特区諮問会議で、竹中平蔵慶応大学教授ら民間議員は、「規制改革実施計画」以上に要件を緩和して、一般企業による農地所有の解禁を求める提案を改めて行いました。
産業競争力会議農業分科会主査の新浪剛史(にいなみ・たけし)サントリーホールディングス社長(ローソン前会長)は13年9月3日の第1回会合で、「私どもは10カ所ぐらいで農業をやっているのだが、一番苦労するのは、農地を手当てしてもらうこと」と述べ、当初から農地獲得への意欲を示していました。
従来、農地の貸借や移動は、農業委員会が中心になり、地域の農業を維持するという農家の合意に基づいて行われてきました。今後、小規模な農家に農地の明け渡しを迫り、企業の農地所有「自由化」へ道を開くものになりかねません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2014年11月1日付掲載


企業の農地所有の自由化は何が問題なのでしょうか?
儲かる作物を作る、儲からないと撤退する。そういう企業の論理では、農地や地域は荒廃してしまいます。
どういう作物をつくるかは、土づくりから隣の田畑への影響にかかわります。
勝手に撤退すると、土地の荒廃、水の管理に影響が出ます。
農業は企業の論理では成り立たないのです。

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