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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

識者が斬る新「3本の矢」① 自民党劣化・弱さの表れ 東北大学名誉教授 日野秀逸さん

2015-10-09 23:21:59 | 経済・産業・中小企業対策など
識者が斬る新「3本の矢」① 自民党劣化・弱さの表れ 東北大学名誉教授 日野秀逸さん

安倍晋三首相が打ち出した新しい「3本の矢」について、3人の識者に語っていただきました。

自民党劣化・弱さの表れ
今回の安倍首相の演説と似たようなことが1960年にも起きました。岸信介内閣が日米安保条約の改定を強行し、国民の強い批判を浴びて倒れました。代わって自民党内の別の派閥から出た池田勇人首相は所得倍増計画を打ち出します。
安保・政治の岸から所得倍増・経済の池田へと、「タカ」と「ハト」、「硬」と「軟」を切り替えて国民の目をくらましたわけです。
安倍内閣も、強行採決を連発する「強面」「改憲」「戦争」「きな臭い」といったイメージを、「GDP600兆円」「出生率アップ」「介護離職ゼロ」をめざす「経済優先」のイメージに切り替えようとしています。まさに岸から池田への交代を思わせます。



「新3本の矢」を説明する安倍晋三首相=9月24日、自民党本部

余裕ない自民党
ところが大きな違いがあります。60年には同じ自民党の中でも別の派閥、別の顔に交代して政権を維持しました。しかしいま、自民党にはそういう余裕がない。総裁選挙でも対立候補を出さないように圧力をかける。「厚顔無恥な安倍」がにわかに「ハト派の安倍」に変わるわけもない。これは自民党の劣化、弱さの表れです。
「経済優先」という言い方にも注意が必要です。私は三つのわながあると考えます。
最初のわなは、「経済優先」そのものに隠された前置きがあることです。9月15日には経団連が軍事産業の強化に向けた提言を出しました。安倍内閣はすでにこの提言の方向で動いています。つまり「経済優先」とは、戦争法を前提とした「軍事経済優先」と読まなければなりません。
論より証拠。2016年度予算の概算要求をみれば明らかです。軍事予算は2・2%増の5兆911億円で過去最大です。一方、社会保障関係に縁が深い地方交付税は2%のマイナスです。安倍内閣がめざすのは大企業優先であり、もっと突っ込んでいえば軍事優先の経済なのです。
2番目の「子育て支援」「介護支援」にもわながあります。安倍内閣が先の国会で労働者派遣法を改悪したことが前提になるのに、それを無視しているのです。改悪は「生涯派遣」を許し、非正規雇用を増やす内容です。

介護さらに困難
非正規雇用の9割が女性と高齢者です。低賃金や長時間労働の問題を抜きにして子育てと介護の困難は語れません。ますます労働条件を悪くしておいて、出生率を上げ、介護離職を防ぐなどというのは矛盾です。
3番目のわなは、「社会保障重視」にも前提があることです。それは「産業化」です。
安倍内閣が閣議決定した「骨太の方針」(6月30日) は「社会保障をはじめとする公的サービスの産業化の推進」を掲げました。「多様な公的保険外サービスの産業化を促進」し、「企業等」による「サービスの提供を拡大」することで、「公的支出の抑制を実現」するというのです。甘利明経済財政担当相は「本来、産業としてなじまないところを産業化」し、経済成長の「新たなエンジン」にすると説明しました。
“民間の営利企業から提供されるサービスを自己負担で買いなさい。その部分は国策として大きくしましょう”ということです。これはもはや社会保障ではありません。
つまり、安倍内閣の新たな「3本の矢」全体に、建前と逆行する前提があるのです。乙まかしを許してはなりません。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年10月6日付掲載


かつて池田内閣の所得倍増計画を彷彿(ほうふつ)させる「GDP600兆円」計画。
池田内閣の場合は、まがりなりにも所得は増えました。(実際は、パイの取り分は減ったのですが…)
安倍内閣は、そもそも所得を増やす計画がない。そしてGDP600兆円も空手形。


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