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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

南シナ海問われる法秩序 沿岸国の警戒④ 対中姿勢に高まる不信

2019-10-28 08:24:15 | 国際政治
南シナ海問われる法秩序 沿岸国の警戒④ 対中姿勢に高まる不信
ベニグノ・アキノ前政権が提訴した常設仲裁裁判所の判決から3年余。フィリピンでは、南シナ海での中国の振る舞いに対する見方が厳しさを増しています。同時に、前政権の政策を転換し、対中融和を推進したドゥテルテ現政権への圧力が高まっています。
ドゥテルテ大統領は8月末に北京で習近平国家主席と会談。この中で、比側が仲裁判決を棚上げすれば、南シナ海での共同資源開発で60%の取り分を渡すと習氏から提案された、と後日語りました。同大統領は、経済活動のため「仲裁判決を無視する」とも発言しました。
これに対し、ロブレド副大統領は「いかなる協定も国の権利と引き換えにしてはならない」と批判。デルロサリオ元外相も「法の支配を支持し、私たちの正当な立場の後退を許してはならない」と訴えました。

「ハイリスクだ」
南シナ海問題に詳しいバトンバカル准教授は、ドゥテルテ政権の対中政策が「非常にハイリスクだ」と見ます。「政権は中国に対し、ソフトで要求を聞き入れる立場をとってきたが、その便宜に見合った恩恵を受け取れていない。現時点でもたらされているものは基本的に約束だけだ」
実際、中国からフィリピンへの投資は昨年、認可額が急増したものの、流入額はまだ低水準。今年は認可ベースでも大きく落ち込みました。その上、合法的な主権的権利を失えば、後世にまで影響するとの批判が出ています。
アレジャノ前下院議員は、共同開発が行われるのはレクト(リード)堆などフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内になると予測。中国側の操業状況を監督する能力がフィリピン側にないのも問題だといい、「中国はフィリピンで共同開発のモデルをつくり、マレーシアやベトナムに圧力をかける戦略だろう」と地域全体への影響を懸念します。



フィリピン大学海洋問題・海洋法研究所のジェイ・バトンバカル准教授(ニコ・クルス撮影)

中国の長期戦略
バトンバカル氏は、「中国が否定しようとも、中国が覇権を追求しているのは疑いない」とその長期戦略を分析します。
「中国は2009年に九段線の権利主張を公表し、公然と国際法に異議を唱えるようになった。14年には人工島を建設し、16年には仲裁判決を拒絶した。国際法自体を変更しようとする進路が、すでに設定されている」
法秩序を変更する長期的な計画を持ちつつ、いまは南シナ海という近隣地域で「国際法の例外を生み出そうとしている」と同氏は警鐘を鳴らします。
(おわり)(マニラ=井上歩)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年10月25日付掲載


南シナ海やフィリピンでの中国の投資。恩恵がフィリピンにも回るような中国の甘言。
騙されてはいけないと警告されている。

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