2024年総選挙 目でみる経済 年金引き上げてこそ「地方活性化」できる

石破茂首相は、地方活性化を総選挙の目玉政策に位置付けます。しかし、農産物の輸入自由化などによって地方の基幹産業である第1次産業を破壊し、強引な病院統廃合や介護保険改悪などによって地方に住み続けることができない状態を生み出してきた従来の政治への反省はありません。

「若者も高齢者も安心できる年金を」とアピールする人たち=2023年10月27日、東京都千代田区
地域経済の要
地方経済を冷え込ませた重大要因の一つが年金削減です。公的年金は地域経済を支える重要な役割を持っています。年金受給者が受け取る年金の額は東京都を除く46道府県で県民所得の10%以上を占め、26県では家計最終消費支出の20%以上に相当します。県民所得に占める年金の割合が最も高いのは石破首相の地元・鳥取県の19・3%です。家計最終消費支出との関係でも鳥取県は年金が22・3%で、山口県(24・6%)に次ぐ2位です。
厚生労働省も、年金は世代間の所得の再分配に加え、「地域経済を下支えする役割を果たしている」こと、高齢者に限らず現役世代にとっても「個人個人の自立を高め、経済社会の発展、安定に貢献している側面がある」ことを繰り返し強調しています(2017年版『厚生労働白書』など)。
ところが、自民・公明両党は12年12月に政権に復帰すると毎年のように年金支給水準を切り下げ、12年間の公的年金の引き下げ額は実質7・8%になります。12年間の削減合計は30兆円を超えます。
県民所得と家計最終消費支出に占める年金総額の割合
東京都の対県民所得比は10%未満のため記載せず。厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」、内閣府「県民経済計算」をもとに作成
財源示し提案
自公政権は今後も年金支給水準の切り下げを続ける計画で、政府が7月に発表した「財政検証」によれば、過去30年と経済状況が変わらないという想定の場合、国民年金の実質的価値はいま40歳の人が65歳になるときには現在の価値で月5万2000円に、いま20歳の人が65歳になるときは月4万8000円になります。
最大の問題が少子化や高齢化の進展に合わせて年金支給水準を自動的に引き下げるマクロ経済スライドという仕組みです。急激な物価上昇が高齢者の生活を襲うなか25年度も発動される見通しです。
年金支給水準の引き下げは、地方の高齢者の消費を冷え込ませ、地方経済や雇用に深刻な打撃を与えます。職を求めて若者が都市部へ流出すれば、さらに経済が冷え込み、地域の存続自体が危うくなるという悪循環に陥ります。
日本共産党は、「年金実質削減」の仕組みを凍結・撤廃し、年金を物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる、年金引き上げ策を提案しています。財源は、巨額の年金積立金の活用や高額所得者に適正な負担を課すことで十分生み出すことができます。
(佐久間亮)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月17日付掲載
地方経済を冷え込ませた重大要因の一つが年金削減。公的年金は地域経済を支える重要な役割を持っています。年金受給者が受け取る年金の額は東京都を除く46道府県で県民所得の10%以上を占め、26県では家計最終消費支出の20%以上に相当。県民所得に占める年金の割合が最も高いのは石破首相の地元・鳥取県の19・3%です。家計最終消費支出との関係でも鳥取県は年金が22・3%で、山口県(24・6%)に次ぐ2位。
日本共産党は、「年金実質削減」の仕組みを凍結・撤廃し、年金を物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる、年金引き上げ策を提案。財源は、巨額の年金積立金の活用や高額所得者に適正な負担を課すことで十分生み出すことができます。

石破茂首相は、地方活性化を総選挙の目玉政策に位置付けます。しかし、農産物の輸入自由化などによって地方の基幹産業である第1次産業を破壊し、強引な病院統廃合や介護保険改悪などによって地方に住み続けることができない状態を生み出してきた従来の政治への反省はありません。

「若者も高齢者も安心できる年金を」とアピールする人たち=2023年10月27日、東京都千代田区
地域経済の要
地方経済を冷え込ませた重大要因の一つが年金削減です。公的年金は地域経済を支える重要な役割を持っています。年金受給者が受け取る年金の額は東京都を除く46道府県で県民所得の10%以上を占め、26県では家計最終消費支出の20%以上に相当します。県民所得に占める年金の割合が最も高いのは石破首相の地元・鳥取県の19・3%です。家計最終消費支出との関係でも鳥取県は年金が22・3%で、山口県(24・6%)に次ぐ2位です。
厚生労働省も、年金は世代間の所得の再分配に加え、「地域経済を下支えする役割を果たしている」こと、高齢者に限らず現役世代にとっても「個人個人の自立を高め、経済社会の発展、安定に貢献している側面がある」ことを繰り返し強調しています(2017年版『厚生労働白書』など)。
ところが、自民・公明両党は12年12月に政権に復帰すると毎年のように年金支給水準を切り下げ、12年間の公的年金の引き下げ額は実質7・8%になります。12年間の削減合計は30兆円を超えます。
県民所得と家計最終消費支出に占める年金総額の割合
対家計最終消費支出比 | 対県民所得比 | |
北海道 | 19.4 | 15.2 |
青森 | 19.8 | 14.6 |
岩手 | 19.7 | 16.1 |
宮城 | 17.8 | 13.5 |
秋田 | 21.8 | 17.9 |
山形 | 20.3 | 15.4 |
福島 | 20.9 | 14.9 |
茨城 | 18.0 | 12.6 |
栃木 | 19.0 | 12.7 |
群馬 | 19.4 | 14.0 |
埼玉 | 17.0 | 13.1 |
千葉 | 17.2 | 13.2 |
東京 | 11.0 | - |
神奈川 | 15.8 | 12.9 |
新潟 | 21.9 | 16.6 |
富山 | 21.6 | 16.0 |
石川 | 18.9 | 15.5 |
福井 | 22.2 | 14.4 |
山梨 | 19.1 | 13.4 |
長野 | 21.8 | 16.8 |
岐阜 | 21.9 | 15.1 |
静岡 | 21.3 | 14.5 |
愛知 | 16.0 | 10.9 |
三重 | 21.3 | 14.8 |
滋賀 | 19.4 | 13.0 |
京都 | 17.4 | 14.3 |
大阪 | 16.6 | 13.1 |
兵庫 | 18.6 | 14.6 |
奈良 | 20.7 | 17.7 |
和歌山 | 21.6 | 15.6 |
鳥取 | 22.3 | 19.3 |
島根 | 22.1 | 17.2 |
岡山 | 21.7 | 16.8 |
広島 | 20.2 | 14.8 |
山口 | 24.6 | 17.1 |
徳島 | 19.6 | 14.3 |
香川 | 20.7 | 16.7 |
愛媛 | 21.7 | 18.0 |
高知 | 20.9 | 17.6 |
福岡 | 17.6 | 14.4 |
佐賀 | 21.0 | 15.6 |
長崎 | 21.9 | 17.0 |
熊本 | 21.6 | 15.7 |
大分 | 20.7 | 16.3 |
宮崎 | 21.3 | 17.6 |
鹿児島 | 21.6 | 16.9 |
沖縄 | 14.2 | 11.3 |
財源示し提案
自公政権は今後も年金支給水準の切り下げを続ける計画で、政府が7月に発表した「財政検証」によれば、過去30年と経済状況が変わらないという想定の場合、国民年金の実質的価値はいま40歳の人が65歳になるときには現在の価値で月5万2000円に、いま20歳の人が65歳になるときは月4万8000円になります。
最大の問題が少子化や高齢化の進展に合わせて年金支給水準を自動的に引き下げるマクロ経済スライドという仕組みです。急激な物価上昇が高齢者の生活を襲うなか25年度も発動される見通しです。
年金支給水準の引き下げは、地方の高齢者の消費を冷え込ませ、地方経済や雇用に深刻な打撃を与えます。職を求めて若者が都市部へ流出すれば、さらに経済が冷え込み、地域の存続自体が危うくなるという悪循環に陥ります。
日本共産党は、「年金実質削減」の仕組みを凍結・撤廃し、年金を物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる、年金引き上げ策を提案しています。財源は、巨額の年金積立金の活用や高額所得者に適正な負担を課すことで十分生み出すことができます。
(佐久間亮)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年10月17日付掲載
地方経済を冷え込ませた重大要因の一つが年金削減。公的年金は地域経済を支える重要な役割を持っています。年金受給者が受け取る年金の額は東京都を除く46道府県で県民所得の10%以上を占め、26県では家計最終消費支出の20%以上に相当。県民所得に占める年金の割合が最も高いのは石破首相の地元・鳥取県の19・3%です。家計最終消費支出との関係でも鳥取県は年金が22・3%で、山口県(24・6%)に次ぐ2位。
日本共産党は、「年金実質削減」の仕組みを凍結・撤廃し、年金を物価の値上がりや賃金の上昇に追いつかせる、年金引き上げ策を提案。財源は、巨額の年金積立金の活用や高額所得者に適正な負担を課すことで十分生み出すことができます。
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