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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

加速する経済安保② 法律の具体化を急ぐ政権

2022-09-03 07:11:42 | 経済・産業・中小企業対策など
加速する経済安保② 法律の具体化を急ぐ政権
日本政府は、米国の動きに歩調を合わせ、対中国戦略の経済安全保障を進めています。
「経済安全保障推進法を実行に移し、機微技術の流出防止や、サプライチェーン(供給網)の強靭(きょうじん)化等を急ぐ必要がある」。岸田文雄首相は8月10日の第2次改造内閣発足の記者会見の冒頭でこう述べ、経済安保法の具体化加速を訴えました。
また、半導体の安定供給について問われると、「国内における産業基盤の整備とあわせて有志国、地域との連携強化を進めていかなければならない」として、米国との共同歩調を語りました。

憲法違反の兵器
岸田政権は8月30日、経済安保戦略で研究開発を支援する重要技術27項目を選定。対象となった「極超音速」については、対中国の「極超音速ミサイル」開発を念頭に置き、憲法違反の“敵基地攻撃兵器”の開発を促進するものです。
研究開発は防衛省も参加可能な官民協議会が支援。その資金の「経済安全保障重要技術育成プログラム」(経済安保基金)は5000億円規模を見込み、昨年度の2500億円から倍増を狙っています。
内閣府に設置された経済安全保障推進室(8月1日)には、防衛省職員が参加します。
先端技術の軍事利用(デュアルユース)の現実的な危険が高まっています。
一方、政府は半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)の国内誘致に4760億円など、半導体特定企業に巨額の助成金を拠出しています。
専門家らから「産業の復活につながるのか」と疑問の声が上がります。
TSMCが熊本県菊陽町に建設中の新工場を運営するJASMの堀田祐一社長は「日経」(8月23日付朝刊)のインタビューで、雇用全体1700人のうち、台湾から300人、ソニーから200人、派遣会社から500人となり、残りの700人が新卒・中途採用の社員だと説明。日本共産党の小林久美子・菊陽町議は、「富士フイルムやソニーなどこれまでの大企業誘致でも地元の雇用活性化にはつながらなかった」として、「町や県の新たな負担増になるのではないか」と指摘します。
電化製品の制御を担う半導体は、演算に使用されるロジックIC(集積回路)、情報を記憶するメモリーICなどからなり、パソコンやスマートフォン、自動車、工場の自動制御装置など幅広い分野で使用されています。
半導体産業では回路線幅を「45ナノメートル」、「10ナノメートル」以下と細めて、より多くのトランジスタ(電流増幅・切り換えの素材)を集積して高速動作を早めるなど性能向上を微細加工技術で競っています。
半導体は、日本ではかつて「産業のコメ」と言われ、1988年には日本の売上高が世界シェアの50・3%を占めてトップでした。しかし、86年から10年間の「日米半導体協定」で米国の圧力を受けて衰退をたどり、2019年にはシェアが10%にまで落ち込みました。
現在、日本に22ナノメートル以下の製造能力はありません。



建設中のTSMCとソニー子会社の新工場=8月15日、熊本県菊陽町

産業の空洞化も
TSMCなどが実現した微細化半導体の量産化を日本で再現することは、巨額な製造装置の生産費用がかかり、現実的ではありません。
半導体の製造装置と素材という日本独自の強みを生かす必要があります。製造装置の塗布装置は、日系企業が世界シェアの9割を占め、ICチップを切り出す素材のシリコンウエハー(基盤)では約6割のシェアです。
ただ、工業経済学の藤田実・桜美林大学教授は「米中対立の激化が、日本の製造装置・素材部門の産業の育成の障害になりかねない」と言います。
米・中両国で、半導体生産が海外委託から国内製造に回帰しており、「日系企業の工場も米国などに海外移転を余儀なくされ、日本国内の産業の空洞化の恐れ,がある」と指摘。「米中両大国の戦略のどちらにもくみしない国の姿勢が自律的な産業復興の条件だ」と話します。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年9月2日付掲載


一方、政府は半導体受託製造(ファウンドリー)世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)の国内誘致に4760億円など、半導体特定企業に巨額の助成金を拠出。
専門家らから「産業の復活につながるのか」と疑問の声が。
電化製品の制御を担う半導体は、演算に使用されるロジックIC(集積回路)、情報を記憶するメモリーICなどからなり、パソコンやスマートフォン、自動車、工場の自動制御装置など幅広い分野で使用。
半導体産業では回路線幅を「45ナノメートル」、「10ナノメートル」以下と細めて、より多くのトランジスタ(電流増幅・切り換えの素材)を集積して高速動作を早めるなど性能向上を微細加工技術で競争。
半導体の製造装置と素材という日本独自の強みを生かす必要があります。製造装置の塗布装置は、日系企業が世界シェアの9割を占め、ICチップを切り出す素材のシリコンウエハー(基盤)では約6割のシェア。
半導体の中身では後れをとるに日本ですが、その基盤ではなくてなならない存在。

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