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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

経労委報告を読む② 賃上げは春闘の花

2013-01-29 10:49:46 | 働く権利・賃金・雇用問題について
経労委報告を読む② 賃上げは春闘の花
労働総研顧問 牧野富夫さん

「少年よ、大志を抱け」は、周知のクラーク博士の言。2013年春闘に当たり、マルクスにロンドン・ハイゲートの墓から抜け出し、「日本の労働者よ、大志を抱け」と檄(げき)を飛ばしてもらいたい。というのも、「賃上げはダメ」という財界の言い草を空念仏に終わらせるには、たたかう労働者・労働組合の側に13春闘で「必ず大輪を咲かせるぞ」という大志と気魄(きはく)がなくてはならないからだ。いま大相撲の初場所中だが、必死でたたかう力士は強い。八百長相撲の「手のひら春闘」に「賃上げゼロ相場」をつくらせてはならない。全労連など「普通の労働組合」が結集し、春闘賃上げの“相場形成力”を奪還することだ。

“ど・ケチ”ぶり
国民春闘共闘の賃上げ要求は「だれでも時給100円以上、月給1万円以上」であり、「以上」部分にアクセントがあると理解する。事実、電機労働者懇談会などの「生活に必要な賃上げ要求」のアンケート結果では、回答者の45%が「月額5万円以上要求」で、この回答が一番多い。これぞ「大輪を咲かせよう」という大志と気魄に満ちた攻勢的な要求であり、そこに不屈の労働者魂が読みとれる。これでもしかし、十数年にわたり引き下げられてきた賃金を挽回するには不十分だが、挽回の第一歩にはなる。
右のような「当たり前の世界」から今回は書き始めている。以下、「経労委報告」で展開されている「あきれ返る異常な世界」に分け入るとしよう。その本丸に賃金抑制の異常さがそびえ立つ。そのポイントは、①賃上げ(ベア)はダメ、②定昇も当然にあらず、③賃金体系(賃金力ーブ)を寝かせて差別を強める、ということだ。「売上高、経常利益とも、これまでの最高を更新するまで増加」(前回紹介した『労働経済白書』の指摘)し、267兆円もの内部留保(全労連・労働総研調べ)をため込んだ大企業の“ぼろもうけ”には口をつぐみ、この“ど・ケチ”ぶりである。国を滅ぼす国賊のようだ、とあえて言いたい。というのも、そのような対応では、すでに冷え切っている内需を“凍結”させ、「デフレ不況」をさらに増幅させ、ついには国を滅ぼしかねない事態を招くに違いないからだ。
「報告」の賃上げ拒否の理由は、結局、「生き残りをかけたグローバル競争に果敢に挑み、勝ち抜いていかなければならない」から(56ページ)、ということだ。だが、本当に賃上げが企業の「グローバル競争力」を弱めるのなら、賃上げが続いていた80年代までの「日本の国際競争力」は世界一と高く、賃金が上がらなくなった90年代初頭から、とくに賃下げが続くようになった90年代末以降、どんどん日本のグローバル競争力(国際競争力)が低下していった事実をどう説明するのか説明できないはずだ。事実は、「報告」の主張とは正反対だからである。賃上げは、経営者の口には苦かろうが、「企業の競争力」・「経済成長」にとって「薬になるよ」と“事実”が教えてくれている。まさしく「良薬、口に苦し」なのだ。臆病な経営者たちに言いたい。ちょっぴり我慢して“苦い良薬”を飲んでごらん、と。そうすれば、日本経済に光がさし、活性化すること疑いなし、なのだ。


“屁理屈”仕掛け
もう一つだけ。賃上げ拒否の“屁理屈(へりくつ)”=「支払能力」なる妖怪が、今年の「報告」の68ページあたりを俳徊している。その妖怪=「支払能力」について「報告」は、「労働の代償として妥当であり、また企業の経営状態ならびに今後の経営計画の観点から検討し、実際に支払うことが可能な賃金原資のこと」だと注記している。
さすがに妖怪だけあって尻尾もなく、つかみどころがない。どうにでも言い逃れができるようになっている。たとえば、「いま確かに会社にカネはある。だが、これは将来○○や○○に充てるカネで、賃金には回せない」などと架空の経営計画をタテに「支払能力なし」と言い逃れできるような論法=屁理屈の仕掛けである。
要するに、まずマクロで「グローバル競争下、わが国経済は過酷な環境にさらされている」などと危機感をあおり立て、ついでミクロでは先の例のような「支払能力」論で対応し、ミクロとマクロでの二重の「賃上げ阻止の城壁」となっている。その城壁に守られ、92年度に44兆8044億円だった利益剰余金が2011年度には66兆9766億円と1・5倍にも膨れ上がっているわけだ。
連載3回目の次回は、賃金カーブ(賃金体系)に対する「新たな攻撃」を俎上(そじょう)にのせよう。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年1月27日付掲載



「内部留保が○○あるじゃないか」と追及すると、「すぐに使える現金の形であるわけじゃない」とか「将来のために、企業として責任を果たすために取っておくべきカネ」とか理屈を言われる。
でも、賃金アップのために内部留保の全部を使えって言っているわけじゃない。わずか数%でOKなのだ。
また、「内部留保を永年に使っていって大丈夫のだろうか?」という善意の不安もあるが、労働者の賃金をあげて経済が好転すれば、企業の売り上げも上がって、また内部留保も確保できていくことになる。
要は、企業の利益第一に考えるか、労働者の暮らしを第一に考えるかだと思う。

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