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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

軍拡と財政金融危機① 軍事ビジネスが活発化

2022-10-24 07:05:39 | 予算・税金・消費税・社会保障など
軍拡と財政金融危機① 軍事ビジネスが活発化
群馬大学名誉教授 山田博文さん

ウクライナ戦争や「台湾有事」などを理由に、岸田文雄政権は今後5年間で軍事費を2倍に増大させ、国内総生産(GDP)の2%にすることを目指しています。軍事と経済・財政・金融の関係について、群馬大学の山田博文名誉教授に寄稿してもらいました。

軍事費を倍増させると、日本は米中に次ぐ世界第3位の軍事費大国に躍り出ます。
戦争は歴史的に政府の経費膨張の大きな要因(ピーコック・ワイズマン「経費膨張の法則」)として作用してきました。20世紀末の冷戦終了後、世界の軍事費は一時的に減少しましたが、21世紀に増大に転じました。
世界各国の軍事費総額(2021年)は、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2兆1130億ドル(約232兆円)です。なかでも米国は、世界の軍事費の約4割(37・9%)を占める突出した軍事大国です。次いで中国13・8%、インド3・6%、英国3・2%、ロシア3・1%と続きます。
もし日本の軍事費が倍増し、1082億ドルになると、766億ドルのインドを超えて、世界第3位の軍事費大国になります。低迷しているとはいえ、日本のGDPは世界第3位で政府予算も大きいため、軍事費の絶対額は今でも世界第9位だからです。




裏に「死の商人」
周知のように、第2次安倍晋三政権以降、政府と経団連は軍備を増強する軍拡路線に走りました。軍事予算を増大させ、防衛装備庁を新設し、官民一体となって日本製兵器の増強と輸出にまい進し、軍事ビジネスを活発化させてきました。
利益追求を最優先する企業にとって軍事予算は安定した収入源です。不景気でも売上高は減らず、秘密主義なので値段も弾力的に設定でき、最終価格が当初価格を上回るのが通例のようです。
戦争になると膨大な兵器が使用されるので、軍需産業は活気づきます。売り上げが増え、株価も上がり、報酬も増えます。兵器を製造販売する企業は、戦争によって肥え太る「死の商人」とも言われます。戦争の背後に軍事ビジネスあり、です。
世界のGDP(96・1兆ドル)の約2%に達する巨額の軍事費(2・1兆ドル)は、軍事ビジネスの経済基盤です。ごく少数の巨大軍需企業が軍事費を独占しています。
世界の軍需企業の兵器の売上高(21年、1ドル=110円で日本円に換算)をみると、F35戦闘機などを各国に販売する米国のロッキード・マーチン社が7・1兆円(644億ドル)で突出しています。次いでミサイルなどを販売するレイセオン社4・6兆円(418億ドル)、オスプレイを販売するボーイング社3・8兆円(350億ドル)など、米国の軍需企業の売上高は群を抜き、上位を独占しています。(図)

「マッチポンプ」
これらの巨大軍需企業は、自国の軍事予算だけでなく、各国の軍事予算を自社製兵器の販売市場に組み込んでいます。米国製兵器を輸入する日本の防衛省と軍事予算は米軍需企業の売上高に貢献しています。戦後の軍事ビジネスは、米国政府・国防総省・軍需企業をピラミッドの頂点にしたグローバルなビジネスとして展開されてきました。
イラク戦争(2003~11年)の戦費総額は、米国の経済学者ジョセブ・スティグリッツとリンダ・ビルムズによれば、4兆~6兆ドル(約450兆~670兆円)でした。この莫大(ばくだい)な戦費をめぐって、当時の米ブッシュ政権幹部と軍需関連産業との癒着が問題とされました。チェイニー副大統領は軍需関連部門を抱えるハリバートン社の最高経営責任者であり、ラムズフェルド国防長官は、ハイテク産業のゼネラル・インスツルメントの最高経営責任者でした。米国の国際開発局がイラク復興の大規模事業を発注した企業は、元国務長官のシュルツが役員を務めるプラント建設大手のベクテル社でした。
政府と軍需産業が癒着する軍事ビジネスは、右手で破壊し、左手で復興する「マッチポンプ」のようなビジネスです。
(つづく)(5回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年10月18日付掲載


世界各国の軍事費総額(2021年)は、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によれば、2兆1130億ドル(約232兆円)です。なかでも米国は、世界の軍事費の約4割(37・9%)を占める突出した軍事大国。次いで中国13・8%、インド3・6%、英国3・2%、ロシア3・1%と続く。
もし日本の軍事費が倍増し、1082億ドルになると、766億ドルのインドを超えて、世界第3位の軍事費大国に。低迷しているとはいえ、日本のGDPは世界第3位で政府予算も大きいため、軍事費の絶対額は今でも世界第9位だから。
イラク戦争(2003~11年)の戦費総額は、米国の経済学者ジョセブ・スティグリッツとリンダ・ビルムズによれば、4兆~6兆ドル(約450兆~670兆円)。
米国の国際開発局がイラク復興の大規模事業を発注した企業は、元国務長官のシュルツが役員を務めるプラント建設大手のベクテル社。政府と軍需産業が癒着する軍事ビジネスは、右手で破壊し、左手で復興する「マッチポンプ」のようなビジネスです。

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