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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

物価高騰 日本経済の構造的弱点② アベノミクスの呪縛

2022-04-28 07:10:18 | 経済・産業・中小企業対策など
物価高騰 日本経済の構造的弱点② アベノミクスの呪縛
円安が急速に進んでいます。物価抑制のために利上げに転じた世界の流れから日本は取り残され、円が激しく売られています。

投資マネーが日本から逃避
3月7日に114円台だった対ドルの円相場は、4月20日に一時129円台まで下落しました。ひと月半ほどで約15円、円安が進みました。
大きな要因は日米金利差の拡大です。長期金利の指標となる10年物国債の利回りをみると、米国では3月7日に1・7%台でしたが、4月20日に一時2・98%まで上昇しました。他方、日本では0・25%以下の低水準を維持しています。日米金利差は2・7ポイント程度に拡大しました。
金利の高い金融商品を求める投資マネーが日本から逃避して米国に向かい、ドル高円安が進んできました。
長期金利が上昇しているのは米国だけではありません。主要7力国(G7)の10年物国債利回りは、日本を除き、3月7日以降に0・6~1ポイント上昇しています。日本だけがわずか0・1ポイントの上昇にとどまっています(表)。このため対ユーロの円相場も、3月7日の125円台から4月20日の138円台へ急落しました。
円安は輸入物価を押し上げます。経済同友会の桜田謙悟代表幹事(SOMPOホールディングス社長)は3月29日の記者会見で「現在の(円安)水準が適切だとはとても思えない」と述べました。輸入コスト増が燃料高や原材料の価格上昇に拍車をかけ、コロナ禍で苦しむ運輸・飲食業をさらに圧迫していると指摘しました。
日本と米欧の金利差が拡大してきた背景には金融政策の違いがあります。
米連邦準備制度理事会(FRB)は物価の高騰を抑えるため、3月に政策金利を0・25%引き上げました。欧州中央銀行(ECB)も量的金融緩和の縮小を始めており、利上げを予定しています。イギリスの中央銀行(BOE)は昨年12月以降3回の利上げを行い、政策金利は現在0・75%になっています。
他方、日銀はマイナス0・1%の政策金利に固執しています。10年物国債利回りを0・25%以下に抑えるため、10年物国債を利回り0・25%で無制限に買う「指し値オペ」を実施してきました。そのうえ黒田東彦総裁が「(円安は)わが国経済にプラス」(3月22日の記者会見)と言い放ち、円安の火に油を注いできました。



日本銀行本店=東京都中央区

各国の10年物国債利回り(終値、単位%)
3月7日①4月20日②②-①
日本0.1400.2510.111
米国1.7772.8341.057
英国1.3031.9160.613
フランス0.4771.3380.861
ドイツ0.0130.8620.875
イタリア1.5972.5180.921
カナダ1.7262.8171.091


政府経済政策全面的転換を
日銀が混迷するのはアベノミクス(安倍晋三政権の経済政策)の呪縛にとらわれているからです。
2%物価上昇をめざす異次元金融緩和の根底には“経済低迷の原因はデフレなので日銀が大胆な金融緩和を採用して物価を上げれば経済は成長する”という誤った理論があります。異次元緩和を9年間続けても日本経済は低成長から脱せず、日銀は自縄自縛に陥りました。「デフレは低成長の原因ではなく、結果」(白川方明前日銀総裁『中央銀行』)というのが真相だからです。
日本を経済成長できない国にした元凶は、自公政権による誤った経済政策です。アベノミクスは雇用破壊・社会保障改悪・消費税増税という新自由主義政策を進めて国民の可処分所得を減らしました。新型コロナウイルス禍以前から個人消費が落ち込んでいたため、欧米諸国と違い、ワクチン普及後も景気が急回復しませんでした。
2021年通年の実質GDP(国内総生産)成長率(前年比)を比べると、米国は5・7%、欧州連合(EU)27力国は5・3%の高水準でした。日本は1・6%にとどまり、置き去りにされています。
日銀を自縄自縛から解き放ち、「物価の番人」としての役割を果たさせるためには、政府の経済政策を全面的に転換する必要があります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月27日付掲載


3月7日に114円台だった対ドルの円相場は、4月20日に一時129円台まで下落。ひと月半ほどで約15円、円安が進む。
大きな要因は日米金利差の拡大。
元々は、アメリカに強要されて導入したマイナス金利政策。当のアメリカはすでに脱却しています。
株価を押し上げる結果になりましたが、経済成長は止まったまま。コロナ禍や円安、ウクライナ侵略による物価高騰で庶民の暮しは大変なことに。


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