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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

EUに学ぶIT企業規制① 不公正行為を事前禁止

2022-04-15 07:09:23 | 経済・産業・中小企業対策など
EUに学ぶIT企業規制① 不公正行為を事前禁止
欧州連合(EU)の欧州議会とEU加盟各国からなる理事会は3月24日、デジタル市場法(DMA)案について合意に達しました。その内容と教訓について情報産業研究者の高野嘉史(たかの・よしふみ)さんに寄稿してもらいました。

情報産業研究者 高野嘉史さん

GAFAM(ガーファム、グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)など巨大IT(情報技術)企業の事業活動には、競争事業者を不当に差別する、消費者の個人情報を不当に利活用するなど、問題が多くありました。

厳しい姿勢で
これに対してEUは厳しい姿勢で臨んできました。グーグルに対しては2017年から19年にかけて、グーグル買い物検索、スマートフォン用基本ソフト「アンドロイド」、およびインターネット広告「アドセンス」に関して、日本の独占禁止法に相当する競争法違反の行為を指摘しました。これらの違反に対して、それぞれ24・2億ユーロ(約3300億円)、43・4億ユーロ(約5900億円)、14・9億ユーロ(約2000億円)の課徴金を課しました。
しかし、大手IT企業の問題行為は収まりません。EUは「公正かつオープンで競争事業者の新規参入が容易なデジタル市場」を実現するためには、競争法による事後的な規制では不十分だと考えました。そこで、具体的な規制事項を明文化したDMAの導入を決定したのです。
20年12月には、インターネット上で事業者と消費者を結びつける機能を持つ「デジタルプラットフォーマー」(DPF)が取引業者や消費者に対して優越的な地位を乱用することを禁止するなど、具体的な禁止事項と罰則を織り込んだDMA案を公表しました。違法コンテンツ(情報の内容)の取り締まりのために、SNS(交流サイト)にコンテンツ責任を持たせる「デジタルサービス法(DSA)」の案も、同時に公表されました。
これら2法案は、その後、EUの各機関で検討を重ねられてきました。DSAも欧州議会では同時に承認されていましたが、この度、DMAについて理事会との間で先行して合意に達したことが発表されたものです。



アップルの店舗=東京都内

市場独り占め
EUは、次のようなDPFのうち巨大なものは大きな社会経済的な影響力を持っていると認識しています。
▽オンライン仲介サービス(アマゾンのネット通販サイト「マーケットプレイス」など)▽オンライン検索サービス▽SNS▽動画共有サービス(YouTubeなど)▽インスタントメッセンジャー(LINEなど)▽OS(グーグルの「アンドロイド」など基本ソフト)▽オンライン広告▽クラウドサービスーです。
この分野は技術革新が早く、しかも先行して事業を展開した事業者がその分野の市場を独り占めするというネットワーク効果が働きます。従って事後的に独占禁止法で取り締まろうとしても手遅れになってしまいます。
そこでEUは、域内の個人・企業に対してサービスを提供する巨大DPFを「ゲートキーパー(門番)」と認定して、事前規制を課すことにしました。
EUがゲートキーパーと認定して規制の対象とするのは以下の二つの基準を満たす事業者です。①EU域内の売上高が過去3カ年平均で75億ユーロ(約1兆円)以上、または前年の株式時価総額が平均で750億ユーロ(約10兆円)以上であり、少なくともEU加盟3カ国以上でサービスを提供する事業者②月間アクティブユーザー数が4500万(EU人口の10%)以上、かつ年間のビジネスユーザーが1万社以上の事業者。これらの基準すべてを満たさない場合でも、当該事業者の業務実態を質的に判断して規制対象とする場合があります。
米国のGAFAMに加えて、中国のネット通販大手アリババなども該当することになると考えられています。(つづく)(3回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月14日付掲載


従来からのネット産業のGAFAにマイクロソフトを加えた、GAFAM(ガーファム)。
EUは、20年12月には、インターネット上で事業者と消費者を結びつける機能を持つ「デジタルプラットフォーマー」(DPF)が取引業者や消費者に対して優越的な地位を乱用することを禁止するなど、具体的な禁止事項と罰則を織り込んだDMA案を公表。違法コンテンツ(情報の内容)の取り締まりのために、SNS(交流サイト)にコンテンツ責任を持たせる「デジタルサービス法(DSA)」の案も、同時に公表。
EUは、域内の個人・企業に対してサービスを提供する巨大DPFを「ゲートキーパー(門番)」と認定して、事前規制を課すことに。
グーグルやアマゾンなどは、いろんなネットビジネスを買収&合併して大きくなっています。日本の場合は楽天やJTBなど。
グーグルのYouTubeは以前は別の企業でした。楽天トラベルも以前は「旅の窓口」というサイトでした。
目に余る市場独占を規制しようってことです。
コメント
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