きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

トルコに逃れたウクライナ母子① 子どもらの心に戦禍の影

2022-04-08 07:07:58 | 国際政治
トルコに逃れたウクライナ母子① 子どもらの心に戦禍の影

ロシアの侵略を受け、ウクライナからトルコへと子どもと一緒に逃れてきた女性たちがいます。子どもが受けた精神的な苦しみや現地住民とのコミュニケーションへの困難を抱えながら、懸命に生き抜こうとしています。
(アンカラ=秋山豊 写真も)




ウクライナ北西部ジトミール出身のナタリア・ディデンコさん(33)は1歳と7歳の子どもとトルコの首都アンカラに避難しています。
ロシアのウクライナ侵略が始まる前日の2月23日夜、ナタリアさんは夫と子どもたちと一緒に眠りにつきました。「戦争が始まる前、私たちはとても幸せでした。夫と子どもたちと平和な家庭を築いていました」



アンカラのウクライナ人協会で教育支援をうけるウクライナ難民の子ども=4月1日

夢を破壊
しかし翌朝、ロシア軍によるウクライナへの攻撃が始まったことがわかると、ナタリアさんと子どもは恐怖におびえました。夫は「安全な場所に行かないといけない」と言いました。
ナタリアさんは夫と話し合い、ジトミールを離れることを決めました。ナタリアさんは医師として病院で働いていました。同じく医師である夫は、住民を救うためにジトミールに残りました。
ナタリアさんは夫と離れてから、自分が暮らしていた地域がロシア軍に破壊されたことを知ります。夫となかなか連絡がとれず、携帯電話にやっとメッセージが届いて生きていることがわかるまで、本当につらい時間を過ごしました。
「夫に早く会いたい。私は、彼と一緒に自分の国で子どもを育てたかった。ロシアは私たちが夢を持って暮らしてきた街を破壊しました。人びとを殺しました。ひどすぎる。世界はロシアの侵略を早くとめてほしい」
ナタリアさんが続けます。
「子どもは精神的に大きな苦しみを負ってしまいました。戦争の体験が子どもの人格形成と将来に影響しないか心配です」
ナタリアさんの子どもは、アンカラに避難してからも飛行機が飛んでいるのを見て逃げ出し、ベッドルームに隠れてしまうことがありました。爆撃で家が破壊される光景など戦争の絵を描くようにもなりました。



アナリア・ディデンコさん


ユリア・ブレツカさん

教育支援
アンカラにあるウクライナ人協会会長のユリア・ブレツカさん(36)は「難民の子どもには、戦争体験を乗りこえるためにも、学習を通じて友人をつくり、遊びながら社会性を育む支援が必要です。しかし難民の子どもはトルコの学校に入れません」と語ります。
トルコ在住のウクライナ人らでつくる同協会は、母国の文化を次世代に伝える活動をしています。週1回、難民の子どもへの教育支援として英語などの授業を無料で行っており、ナタリアさんの子どもも参加しています。
ユリアさんによると、ロシアの侵略が始まって以降、約6万人がウクライナからトルコに逃れてきています。同協会は難民に住む場所や衣服、医薬品を提供し、心理学の専門家による心のケアも行っています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年4月6日付掲載


ナタリアさんは夫と話し合い、ジトミールを離れることを決める。ナタリアさんは医師として病院で働いていました。同じく医師である夫は、住民を救うためにジトミールに残る。
「子どもは精神的に大きな苦しみを負ってしまった。戦争の体験が子どもの人格形成と将来に影響しないか心配」
アンカラにあるウクライナ人協会会長のユリア・ブレツカさん(36)は「難民の子どもには、戦争体験を乗りこえるためにも、学習を通じて友人をつくり、遊びながら社会性を育む支援が必要」
トルコのウクライナ人協会では教育支援も。
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