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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

危機の経済 識者は語る① 内部留保の形成 激変

2020-06-11 07:49:30 | 経済・産業・中小企業対策など
危機の経済 識者は語る① 内部留保の形成 激変
前駒澤大学教授 小栗崇資さん

新型コロナウイルスがもたらすかつてない危機に日本は直面しています。コロナ禍がもたらす国民生活の危機を打開するには抜本的な対策が求められますが、そのためには多大な財源が必要です。そうした財源の一つとして考えるべきは内部留保の活用です。
内部留保には狭義と広義があり、当期純利益から配当を差し引いて企業内に蓄積される利益の分を狭義の内部留保、新株発行等から生じる剰余の分を広義の内部留保といいます。
ここでは狭義の内部留保である利益剰余金について検討します。内部留保(利益剰余金)は昨年3月までの時点で、日本企業全体(280万社)では463兆円、大企業(資本金10億円以上、約5000社、金融・保険業を除く)では234兆円に達しています。内部留保がどのように形成され、どのように使われたかを見ることが重要で、活用を考えるヒントになります。




01年度を境に
大企業の内部留保の動向について見ると、2000年度以前は、売上高増加で生まれた利益から形成され、設備投資に使われました。その結果、設備投資(有形固定資産)は、01年度にピークに達しています。しかし、それ以降の内部留保の形成と使途は激変しています(図)。
01~18年度は、それまでと比べて2・8倍の膨大な内部留保が形成されましたが、内部留保の要因は売り上げ増ではありません。売上高は伸びないのに、なぜ多額の利益が生まれ、内部留保が激増したのでしょうか。
要因は二つあります。一つ目の要因は人件費の削減です。従業員1人当たりの給付(給与十福利厚生費)は01年度をピークに減り続けています。ピークと比べて削減された分を合計すると82兆円に達します。そうした人件費の削減分が内部留保に回ったと見ることができます。二つ目の要因は法人税の減税です。法人税は1997年度まで37・5%でしたが、その後、消費税増税と抱き合わせで段階的に引き下げられ、現在では23・2%まで低下しています。大企業が減税により払わずに済んだ分を合計すると46兆円です。税負担を免れた分がやはり内部留保に回ったと考えられます。



トヨタ自動車本社=愛知県豊田市

投資向かわず
そうして生まれた内部留保の使途は設備投資ではありません。設備投資はピークから5%減少しており、それに代わって内部留保は金融投資や自社株買い、子会社投資、海外投資に使われています。内部留保が設備投資に投入され雇用を生むのを「良い内部留保」だとすれば、金融投資や他の投資に回るだけで雇用や市場拡大につながらない内部留保は「悪い内部留保」です。今日の内部留保は労働者の犠牲と国民の負担によって作られた「悪い内部留保」といわなければなりません。そうした内部留保をどのように社会的に活用することが可能でしょうか。(つづく)

「しんぶん赤旗日刊紙 2020年6月9日付掲載


「良い内部留保」と「悪い内部留保」って言い方があるって、おもしろい分析ですね。
売り上げは伸びなくても、人件費を削って、税金をまけてもらって内部留保を積み増す。
設備投資や雇用には回らない。
コメント
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