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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

安倍「働き方改革」 虚像と実像① 保護法制変質 アメに見せかけ劇薬

2016-10-21 21:26:45 | 働く権利・賃金・雇用問題について
安倍「働き方改革」 虚像と実像① 保護法制変質 アメに見せかけ劇薬

「働き方改革」を最大のチャレンジと位置づける安倍政権。「長時間労働の是正」をはじめ、長年、労働者が要求し続けてきた課題の「解決」を声高に叫んでいます。その内実はどうなっているのでしょうか。安倍政権がねらう「働き方改革」の実像に迫ります。

「働く人の立場に立った改革。意欲あるみなさんに多様なチャンスを生み出す、労働制度の大胆な改革を進めます」。9月26日、安倍晋三首相は臨時国会の所信表明演説で、こう語りました。
長時間労働や、不安定・低賃金の非正規雇用の問題などについて、首相が議長を務める「働き方改革実現会議」で、年度内にも「実行計画」をまとめ、実行するとしています。

世論に押され
これは労働者の深刻な実態と、その改善を求める世論と運動に押された動きでもあります。
しかし、「働く人の立場に立った改革」の美名に隠された真のねらいは、労働者の生活と権利を根底から破壊する労働者保護法制の大改悪と、その変質です。
この姿勢を示す文書があります。厚生労働省に設置されていた「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会が8月に出した同名の報告書です。報告は次のように記述されています。
「今までの労働政策や労働法制のあり方を超えて、より幅広い見地からの法制度の再設計を考える必要性が出てくるだろう」「すべての働くという活動も、相手方と契約を結ぶ以上は、民法が基礎になる」
この意味することは何でしょうか。
労働者は自らの労働力を提供し、賃金を得ることしか、生活の糧はありません。このため労働者は、使用者による支配・従属の関係におかれ、深刻な長時間労働と低賃金、劣悪な労働環境などが押し付けられてきました。
これに対して民法は、労働者と使用者を「対等」の立場として扱い、「契約自由」の原則にゆだねました。これが「労働者の生存そのものを脅かすほどに不公正な結果をもたらす」(厚生労働省労働基準局編『労働基準法』)ことになりました。
労働者保護法制は、契約自由を修正し、使用者を一定の基準で規制することで、労働者の生活と健康、権利を守るための法制です。



「働き方改革実現会議」の初会合=9月27日、首相官邸(首相官邸ホームページから)

戦前への回帰
懇談会報告が描く「働き方の未来」は労働者保護法制の根幹を破壊し、戦前日本の非人道的な労働条件の復活をめざすものです。
「働き方改革実現会議」には、懇談会で座長を務めた金丸恭文フユーチャーグループCEOが参加しています。
くわえて安倍政権は、労働政策決定の国際基準である政労使「3者構成原則」を掘り崩し、労働者の声を極力排除しようとしています。
いま安倍政権は、甘いアメ玉に見せかけた劇薬を労働者・国民に飲み込ませようとしています。次回から、各課題の労働政策を検討します。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年10月18日付掲載


「意欲あるみなさんに多様なチャンス」と言いながら、資本と労働者の関係を「対等の立場」として扱います。
労働者は自分の「労働力」を売る以外に生きていく糧を得ることができないのにです。
元々、買いたたかれる運命にある「労働力」。それを保護するために、イギリスの「工場法」に発した労働者を保護する累々とした法律や制度があります。
300年にも渡って獲得してきた権利を略奪しようってのが安倍流の「働き方改革」です。

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