きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

米国従属経済 雇用① 規制緩和は経営戦略

2013-05-25 18:58:45 | 働く権利・賃金・雇用問題について
米国従属経済 雇用① 規制緩和は経営戦略

安倍晋三政権の「成長戦略」の策定に向け、政府の産業競争力会議や規制改革会議で、労働規制緩和の議論が活発に行われています。
労働規制緩和は、「国際競争力強化」を口実とした人件費コスト削減のため、財界・大企業が繰り返し要望し、政府が労働法制の改悪などで後押しする構図が続いてきました。

企業進出後押し
こうした一連の労働規制緩和は、米国側からの強い要望でもあります。日本に進出した米国の多国籍企業が日本の規制を受けずに活動できるよう、米国は日本政府にさまざまな要求を突きつけてきました。N労働規制緩和は、米国多国籍企業の利益追求のための経営戦略でもあります。
1993年7月の宮沢喜一首相(当時)とクリントン米大統領(当時)との日米首脳会談で、両国は「年次改革要望書」を取り交わすことを約束します。この「要望書」によって米国から、日本政府に対する日本の労働規制緩和の要求が強まります。
米国政府の1996年の「年次改革要望書」は、「日本の労働市場は、全般的に労働力コストを高くし、労働者の移動を妨げるある種の特徴を持っている」と指摘。また、「規制緩和の実施は、経済全般において、人々に適職に就く機会を与え、競争的な経済の中で将来の職の確保を助け、経済のリストラを促進し、特に困難な状況にある外国企業を含むすべての企業に対して労働力状況を緩和する上で役立つ」と強調しました。
コ雇用の流動化」を図り、労働者を低コストで雇うことのできる経営構造を押し付け、米国企業が日本に進出しやすい労働市場を整備するよう要求するものでした。



米国年次改革要望書

高まる直接投資
2000年代に入ると、日本の労働法制をめぐる米国側の圧力がさらに強まります。背景には、外国資本による日本企業への出資や買収などの対日直接投資の高まり、日本企業に対する外国人持ち株比率の増加がありました。
2001年6月、日米首脳会談において、「成長のための日米経済パートナーシップ」が合意されます。
その中で、日米両国における外国直接投資のための環境改善を意図する措置等を扱うための対話の場として「投資イニシアチブ」が設置されました。
02年の「日米投資イニシアチブ報告書」は、日本市場について「1400兆円もの個人資産に裏付けられた洗練された一億人の顧客市場は、外国ビジネスの参入を引きつけるものである」と評価しています。
03年1月、小泉純一郎首相(当時)は「5年間で対日投資残高を倍増させる」との目標を表明。小泉自民党政権は、米国資本が対日投資をしやすくするため、労働規制緩和と同時に、米国資本が投資する際に多用している企業合併・買収(M&A)を容易にする会社法の制定など条件整備を行いました。
この結果、対日直接投資残高は、01年の6・6兆円から06年には12・8兆円へほぼ倍増。11年には17・5兆円に達しました。09年の「日米投資イニシアチブ報告書」は、「会社法制など様々な分野での経済改革や規制緩和により、日本への外資参入機会も拡大された」と評価しました。
規制緩和や法整備によって、日本でもよく知られた米国企業が日本の多くの業界に直接進出するようになりました。日本に進出した米国資本は、基本的に解雇が自由な米国と同じ労働市場を要求していきます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2013年5月23日付掲載


労働法制の規制緩和は今に始まったことではありませんが、最近は特に解雇自由化や長時間労働などが顕著になっています。
ナショナルセンターの違いを超えた闘いが求められますね。
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