日常のあれこれをそこはなとなく

料理、わんことの日々、海外ミステリを中心とした読書、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。

キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン

2023-10-21 06:13:00 | 読書
今話題の映画『キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン』の原作を読みました。




デイビット・グランによるこの本は、オクラホマ州オセージ郡で実際にあった連続殺人事件を綿密に調査して書かれた実話です。

ネイティブアメリカンのオセージ族は、西部開拓時代に暮らしていた広大な土地を追われ、合衆国政府からオクラホマ州の岩だらけの土地を割り当てられました。その土地から石油が出る事がわかり、彼らの元には莫大な金額がもたらされます。しかし、当時の合衆国政府は、オセージ族には白人の管財人が必要であるという法律を作り、彼らが自由にお金を使えないようにしました。




オセージ族が「花殺しの月」と呼ぶ5月の夜に殺人事件が起きました。オセージ族のお金の恩恵に浴しようと考えた人々が、彼らの周辺に群がって来ていました。白人の管財人たちは、あの手この手でお金を誤魔化そうとし、商人たちはオセージ族に物を売るときには金がを釣り上げていました。捜査官たちも、これらお金に目がくらんだ人々に買収されており、事件は未解決のまま放置されてしまいました。こうして、オセージ族を狙った連続殺人事件が起きますが、誰一人捕まりませんでした。




後のFBIになる組織特別捜査局を立ち上げたフーバー長官は、腕利の特別捜査官ホワイトをこの連続殺人事件の捜査に当たらせました。ホワイトは、それぞれの殺人事件の証拠や証言を丹念に見直して行きました。また、実績のある潜入捜査官たちを使って、町のあちこちで聞き込みをさせました。そして浮上して来たのが、町の実力者ヘイルでした。次々と殺されて行った姉妹の一人モリーの夫が、ヘイルの甥でした。ホワイトは様々な妨害工作や腐敗した裁判所などに負けずにヘイルを追い詰めて行きます。

いやはや、とんでもない実話でした。作者は、ヘイルとホワイトの件だけでなく、オセージ族周辺の資料を徹底的に調べて、おそらくはもっとあったであろう多くの殺人事件の可能性を指摘しています。映画がどうなのか気になりますが、アメリカの人たちはこの作品に対してどう思うのか興味があります。





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