日常のあれこれをそこはなとなく

写真、料理、ソフトバンクホークス、JAZZなどを書いていきます。最近ゴールデンレトリバーの女の子が来ました。

兄弟の血

2018-10-17 05:05:43 | 読書
アンデシュ・ルースルンド、ステファン・トゥンベリの『兄弟の血』を読みました。



この本は副題に『熊と踊れⅡ』とあるように、話題作であった前作『熊と踊れ』の続編です。前作の事件で逮捕されたレオが刑務所から出所する所から物語は始まります。レオは刑務所で知り合ったサムと共謀し、新たなる犯罪の計画を立てています。連続強盗事件を起こしたレオですが、結局そのうちの2件しか立件されていなかったので、次の機会のための資金も十分に持っています。相棒のサムは、父親の殺人で逮捕されていました。事もあろうにそのサムの弟が、レオを逮捕した刑事のヨンだったのです。



今回の犯罪に弟たちを巻き込みたいレオと、二度と犯罪に手を染めたくない弟たちとの対立に加えて、刑事と犯罪者という立ち位置で確執を見せるサムの兄弟が絡み合って、物語は怒涛の展開を見せて行きます。いつもながらはらはらどきどき読ませてくれる作品でした。女性刑事のエリサがもっと活躍するのではとも思いましたが、面白かったです。
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風をつかまえた少年

2018-10-11 05:54:20 | 読書
ウィリアム・カムクワンバの『風をつかまえた少年』を読みました。



ウィリアム・カムクワンバは、アフリカ南部の最貧国の一つ、マラウイの少年です。彼の一家は、マラウイの田舎町でトウモロコシとタバコなどを作って生活していました。ウィリアムが小学校を卒業した年、マラウイはかつてない異常気象に見舞われます。マラウイはそれまでの農業に手厚い政策を行なっていた大統領が退陣し、新しい大統領に変わって、農家は負担が増加していた年でした。マラウイはひどい飢饉に見舞われます。この辺りの描写は、方丈記を教えている時に説明する情景によく似ています。



ウィリアムの一家も命を繋ぐのがやっとで、彼を中学校に通わせる余裕がありません。マラウイでは学校は有償なのです。向学心はあるのに学校に行けないウィリアムは、図書館に通って独学で勉強を始めます。そして、風力発電の写真に衝撃を受けます。自転車のダイナモでラジオを鳴らすという実験に成功していたウィリアムは、廃品を利用して風力発電を作り上げてしまいます。



大学の先生がウィリアムの村を訪れた事でウィリアムの運命が激変します。先生の紹介でマスコミが取材します。彼の取り組みに感銘を受けた人々が彼を学校に送ってくれます。TEDにも招待され、ウィリアムはアメリカにも招待されます。電気もない家に住んでいた少年が、ホテルに泊まり、パソコンでインターネットに触れ、飛行機でアメリカにも行きます。

この本を読んで、改めて、地球上のまだまだ多くの人々が、日本の平安時代ような生活をしているという事に思い至りました。僕たちは電車が5分遅れても不満に思うような暮らしをしていますが、火を焚いて羽蟻を捕まえて、それがご馳走になる暮らしが一方にあることも知っておく必要があるように思いました。とりあえず、ぜひ読んでほしいと思った本でした。
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ラスト・チャイルド

2018-10-05 05:18:56 | 読書
ジョン・ハートの小説『ラスト・チャイルド』を読みました。



ジョニーはノースカロライナの田舎町に母親と2人で暮らしています。1年前にジョニーの双子の妹アリッサが行方不明になり、そのすぐ後に父も家を出て行ってしまったからです。アリッサは警察の大掛かりな捜査でも見つかりませんでしたが、ジョニーは自分で妹を見つけようと独自の調査を続けています。ある日親友と町外れの河原にいた時に、橋の上から人が降ってくるという事件が起きます。そこから事件は意外な展開を見せます。



いやはやすごい作品でした。下巻に入ってからは止まらなくなって他の事は何もしないで一息に読んでしまいました。サブプロットはいささか強引で、必要なのかなと思わなくもなかったですが、ストーリーのパワーがすごくて思いっきり持って行かれます。飛行機の離陸の時の加速がずっと続くようなものです。恐れ入りました。ジョン・ハートの作品は翻訳されているものであと2作読んでいないので、これから楽しみに読ませてもらおうと思います。
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ペット・サウンズ

2018-10-02 05:10:43 | 読書
ジム・フジーリの『ペット・サウンズ』を読みました。



この本は、アメリカの作家で音楽雑誌編集者だったジム・フジーリが、ビーチ・ボーイズの『ペット・サウンズ』について、このアルバムを作り上げたブライアン・ウイルソンを中心にとことん掘り下げて書いた本です。ペット・サウンズというアルバムは、それまでのビーチ・ボーイズのアルバムとは一線を画した画期的なアルバムでした。僕は、この夏ビートルズを初期のアルバムからしっかり聞いていて、その伝記なども読んだのですが、このペット・サウンズが出てきていて、あの名盤『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に影響を与えたという事を読んでいたので、書店でこの本を見つけた時に一も二もなく手に取っていました。

ブライアン・ウイルソンは、自身の恋愛や、父親との関係で大きな悩みを抱えていました。その内面がこのアルバムには反映しています。自分たちの音楽を見つめ直して、より深い所まで曲やサウンドを追求して行きました。その結果、それまでのアルバムとは全然違ったテイストの音楽になりました。当初商業的にはヒットしなかったそうですが、その後このアルバムの音楽的価値が再評価されて現在まで、売れ続ける名盤になりました。翻訳した村上春樹もぜひ聞いてくださいと言っています。



というわけで、僕もAmazonで購入して聞いてみました。ビーチボーイズは、村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』にも、カリフォルニア・ガールズが出てきて、当時聞いてみましたが、ピンと来なかったのを覚えています。で、このペット・サウンズですが、他のビーチボーイズの音楽とどう違うのかよくわかりませんでした。ちょっと悲しい曲調の歌は多いように思いましたが、いかにもビーチボーイズっぽい曲にしか聞こえないのです。この本で絶賛されているような圧倒的なサウンドには思えませんでした。もうちょっと聞いてみますけど。
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キングの死

2018-09-26 05:34:36 | 読書
ジョン・ハートの『キングの死』を読みました。



ノースカロライナ州ローワン郡の田舎町で弁護士をしているワークの父は、敏腕弁護士で巨万の富を築いていました。その父は母が事故死した夜に失踪していましたが、1年後その死体が廃墟となったショッピングモールで見つかりました。その遺産を相続することになったワークに警察から疑惑が向けられます。ワークの妹は、精神を病んでおり、自殺未遂を繰り返したあげく、兄とは距離をおいて暮らしています。貧乏な育ちから成り上がった父は、全てを支配していないと気のすまない性格で、家族を抑圧し、仕事上の敵も多かったのですが……。



『終わりなき道』がとっても面白かったので、ジョン・ハートのこの作品も読んでみました。これがデビュー作だそうですが、あまりの出来の良さに出版社が争奪戦をしたそうです。なるほどと思う作品でした。全体的にトーンが暗いのは、北欧ミステリーに似ているところがあります。田舎町が舞台だと、人間関係がベタになる上に、世界中田舎は経済的に厳しいことが反映しているのかも知れません。ミステリーの王道を行く傑作です。
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