自動車雑誌カーグラフィックの創立者で、初代編集長の小林彰太郎氏が亡くなりました。
僕は、中学・高校時代自動車大好き少年で、自動車雑誌を読みあさり、話題の車があると聞けば友人と自転車に乗って見に行ってました。でも、当時買えたのはモーターマガジンやモーターファンで、CGは値段も高く難しくてあこがれの雑誌でした。
高校3年くらいになってCGの圧倒的な写真の美しさや、記事のレベルの高さに感動して買うようになりました。バックナンバーも通販で買えたのでそろえはじめました。東京に出てきてからは神田の古書店で持っていない号を見つけると買うようになり、いつの間にか一大コレクションになっていました。何しろ1冊が厚くて重いのです。引っ越しのたびに大変な思いをしました。
CGの記事ですごかったのは、新車が出るとこの第5輪をつけた車をサーキットに持ち込み徹底的にテストした所です。メーカー発表の大本営の数値ではなく、自分たちでデータを取って公表していたのです。記事に署名が入っているのもすごいと思いました。また、長期テストでは、CGが話題の車を所有して1年間あれこれテストを繰り返すのです。メーカーよいしょの記事しか読んだことのなかった僕には、このCGの姿勢は新鮮でしたし、信頼のいくものでした。自動車版「暮らしの手帖」なのです。
そんなCGですが、日本の自動車がつまらなくなったことと、何しろ置き場所がなくなって買わなくなりました。これが数年ぶりに買ったCGです。アルピーヌA110という僕の大好きな車の特集だったので思わず手にしました。最近は、WebCGのページをほぼ毎日見ています。雑誌は確実にWebに席を譲りつつあると思います。
小林彰太郎氏は、編集長として文字通り陣頭指揮を取られ、CGを育ててこられました。海外の自動車関係の著名人達との交流も深く、世界的なモータージャーナリストでした。ぼく自身、多感な時期に彼の作ったクオリティの高い雑誌を読みあさって、かなり影響を受けていると思います。小林彰太郎氏のご冥福をお祈りいたします。