ネレ・ノイハウスのピア&オリヴァーシリーズ『生者と死者に告ぐ』を読みました。
このシリーズはドイツフランクフルト郊外の町を舞台にした警察小説です。毎回社会で問題となっているテーマが下敷きになって構成されています。今回は臓器移植の問題が根底にありました。
クリスマスをもうすぐ迎える時期に犬を散歩させていた老婦人が射殺されるという事件が起きました。その直後に孫娘と一緒にクリスマス料理を作っていた女性が窓越しに射殺されました。いずれもライフル銃で遠距離から狙われたものでした。クリスマスから年末を海外のバカンスで過ごそうと準備していたピアは呼び出されて現場に駆けつけました。オリヴァーのチームは病欠や休暇を取るスタッフがいて手薄だったのです。
バカンスを諦めたピアとオリヴァーは捜査にあたりますが、犯人は周到に準備していて手がかりが掴めません。被害者たちをつなぐ手がかりも見つかりません。そんな時、犯人から死亡告知書が送られて来ます。さらに、犯人は次々と狙撃によって殺人を続けて行きます。オリヴァーたちは10年前の臓器移植をめぐる問題にヒントがあることを突き止めました。
例によって登場人物が大変多くて、関係も複雑で読むのが大変な小説でした。ただ、ピアもオリヴァーも等身大の人物として描かれていて、共感できる部分が多いです。しっかり貼られた伏線とそれを解きほぐしていくストーリーテーリングは見事です。このシリーズ読み終わってしまいました。新刊が出るまでしばらく待つことになりそうです。