ジャレド・ダイアモンドさんの「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」を読みました。
以前、「銃・病原菌・鉄」を紹介しましたが、その著者ジャレド・ダイアモンドさんの別の本を読んでみようと思って、これを選びました。多くの生物にとって生殖のための行動である性交を、人間とごく一部の類人猿だけが本書の表現を借りると「楽しみのために」しているのですが、その謎に迫った著書です。
人間の性生活がいかに奇妙なものであるか、男女の利害の対立、男は何の役に立つのかなど、人間固有の性の問題を他の動物と比較したり、狩猟生活をしている民族の研究などから解き明かしていきます。純粋に学術的な著作ですが、セックスについての記述が結構出てきますので、人前で読むのははばかられました。
多くの動物が異性にアピールして子孫を残そうとするあまり、動的な機能を制限してまで目立つように進化したわけです。クジャクの雄の羽は、ジャングルで生活するにはあまりにも不便ですし、キリンの首もあそこまで長くなると不便だと思います。でも、立派な羽や長い首を持った個体が勝ち抜いて今日に至っているわけです。
人間の場合も、異性にもてることを意識して進化してきているはずで、最近の草食男子などの存在はどうなるのか、考えてしまいました。
ジャレド・ダイアモンドさんは、鳥類の研究から次第に人類史の研究にシフトした方で、パプア・ニューギニアで長く現地の人々を研究されてこられました。学術的ではありますが、文章はとても読みやすいのでおすすめします。次は「文明崩壊」を読もうと思います。