く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<BOOK> 「全国の犬像をめぐる 忠犬物語45話」

2017年08月01日 | BOOK

【青柳健二著、青弓社発行】

 著者青柳氏は1958年山形県生まれの写真家。メコン川、中国雲南省、アジアのコメなどをテーマにアジア各地を飛び回った後、1999年から「日本の棚田百選」の撮影を始め各地の棚田を撮ってきた。主な著書に『棚田を歩けば』『アジアの棚田 日本の棚田―オリザを旅する』『メコン河―アジアの流れをゆく』など。2009年から1年かけ愛犬(ビーグル犬)と一緒に北海道から沖縄まで全都道府県を隈なく回った。その日本一周旅行で数多くの犬の像や墓、塚、碑などに出合ったのが本書出版のきっかけになった。

           

 忠犬で誰もがすぐ思い浮かべるのは東京・JR渋谷駅前の忠犬ハチ公像だろう。ハリウッド映画になったこともあって、その知名度は欧米人の間でも高い。本書では北から南へ45の忠犬物語を銅像の写真などとともに紹介しており、「忠犬ハチ公と上野英三郎博士像」は第24話に登場する。そこでは青山霊園にあるハチ公の墓や上野博士の出身地・三重県津市の近鉄久居駅そばに立つ像、2015年に東京大学農学部にできたばかりの上野博士に飛びつくハチ公の像なども取り上げている。その一つ前の第23話はタロとジロで有名な南極昭和基地に置き去りにされた樺太犬の話だ。

 忠犬像で多いのが主人を助けた犬。越後柴犬のタマは2回にわたって主人を雪崩から救い出し、盲導犬サーブは雪でスリップし突っ込んできた車から主人をかばって重傷を負い片足を失った。サーブの像は名古屋市の久屋大通公園や岐阜県郡上市などに立つ。江戸時代には飼い主に代わって伊勢神宮や金毘羅大権現(現在の金刀比羅宮)を参拝した〝代参犬〟がいたそうだ。福島県須賀川市には「市原家の代参犬シロの犬塚」、三重県伊勢市には「おかげ犬の像」、香川県琴平町には「こんぴら狗の像」がある。飼い主から旅人に託された犬は街道筋の人たちの世話になりながらお参りし、帰路も多くの旅人の世話になりながら飼い主の元に戻ったという。

 愛媛県松山市にある「目の見えないダンの像」の物語も感動的。ダンはダンボール箱で団地横の川に捨てられていた白い子犬。団地では動物は飼えない規約になっていたが、少女2人の熱い訴えから団地で飼うことになり、少女たちは目の見えないダンのことを紙芝居にした。それが紙芝居コンクールで最優秀に選ばれ、さらに小学校全校でダンの犬小屋づくりにも取り組んだ。その心温まる話は道徳の教材にもなったという。ほかに消防車に乗って1000回も〝出動〟した北海道小樽市の「消防犬ぶん公」、怪物から村人を救った長野県駒ケ根市の「光前寺の霊犬早太郎」や静岡県磐田市の「しっぺい太郎」、和歌山県九度山町の「高野山の案内犬ゴン」なども登場する。


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