く~にゃん雑記帳

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<竹内栖鳳展> 京都市美術館で「後期」入り、代表作「班猫」も登場

2013年11月13日 | 美術

【過去最大級の回顧展、12月1日まで】

 京都市美術館で開催中の「竹内栖鳳展」は10日で前期が終了し、一部展示替えを行って12日から後期入りした。京都画壇を代表する近代日本画の巨匠、竹内栖鳳(1864~1942)。その初期から晩年に至るまでの作品約100点と素描などの資料約50点を展示する大回顧展。12日からは代表作の1つで重要文化財指定の「班猫(はんびょう)」=写真㊧=も登場した。12月1日まで。

    

 会場は「画家としての出発(1882~91)」、「京都から世界へ(1892~1908)」、「新たなる試みの時代(1909~26)」、「新天地をもとめて(1927~42)」と、4つの年代に分けて画業を振り返る構成。その間に写生帖や下絵、素描などを織り込んでいる。

 会場入り口のそばに10代半ばに描いた昆虫や鳥類の写生帖が並ぶ。その精密な描写は目を見張るほど。「芙蓉」(上の写真㊨)は四条派の幸野楳嶺の私塾に入って間もない頃の作品とみられ、左側に師匠から最初に贈られた「棲鳳」の号と「十七年九ケ月」という年齢が書かれている。ごく初期の作品だが、すでに枯淡の味わいさえ漂わせる。私塾で頭角を現した栖鳳は1888年、宮内庁の宝物調査のため楳嶺に随行し古画の模写に励む。その後、京都府画学校(現京都市立芸術大学)でも学んだ。

   

 1900年にはパリ万博視察のため訪欧。そこで西洋美術に刺激を受け、ベルギーの動物園に通ってはライオンを写生したという。屏風絵の「金獅」(上の写真㊧)は帰国直後の作品。どっしり座ったライオンの存在感は圧倒的で、息遣いまで伝わってくる。ライオンの作品は他にも「獅子」や「獅子図」が出品されているが、いずれも今にも画面から飛び出してきそうな気配さえ感じさせる。

 動物画を得意としていただけにライオン以外の作品も多い。「班猫」のほかにトラを描いた屏風「雄風」(上の写真㊨=右隻)や「飼われたる猿と兎」(下の写真)、「松虎」「枯野狐」「象図」「熊」「和暖(シカ)」「おぼろ月(キツネ)」など。屏風「喜雀図」は左隻に地上で遊ぶ7羽、右隻に飛ぶ3羽を置く。その愛らしい姿もさることながら、高速シャッターで切り取ったような羽ばたきの繊細な描写にも目を奪われる。軍鶏(しゃも)の空中戦を描いた「蹴合」も、抜け落ちる羽根まで描かれていて臨場感があふれる。

   

 動物画以外では代表作の「絵になる最初」や訪欧後の作品「羅馬(ろーま)古城図」や「和蘭春光・伊太利秋色」なども展示中。開幕直後に展示されていた「アレ夕立に」は後期に入ってその下絵が展示されている。屏風「富士図」は右隻に長く延びた山裾、左隻中央やや左に雪をいただく青い富士を配置することで、その雄大さを強調している。富士を描いた作品には「東海神秀」も。戦時色を反映した作品「雄飛報國の秋」には赤日を背にまさに飛び立とうとするタカが描かれている。


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