く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<フジ(藤)> 高貴な色と香 日本特産ノダフジとヤマフジの2系統

2013年05月03日 | 花の四季

【旺盛な生命力、推定樹齢1200年ものも】

 生命力が旺盛なフジは長寿植物として知られる。埼玉県春日部市の「牛島の藤」は弘法大師お手植えともいわれ、樹齢は推定1200年。藤棚の面積は約700㎡にも及び、フジでは唯一「特別天然記念物」に指定されている。この他にも樹齢数百年の長寿フジが各地に。宮城県川崎町の「滝前不動の藤」、静岡県磐田市の「熊野の長藤」、福岡県八女市の「黒木の藤」……。これらも国の「天然記念物」だ。

 国内に自生するのはノダフジ系とヤマフジ系の2系統。ノダフジは古くからフジの名所だった大阪市福島区野田の地名に由来する。花穂(かすい)が長く、基部から先端にかけて順に咲く。長さが1~2mにもなる「九尺」という品種もある。一方、ヤマフジは花穂が短く、ほぼ同時に開花する。ツルの巻き方も対象的。ノダフジが右巻き(時計回り)に木に絡まって登るのに対しヤマフジは左巻き。国内産フジの近縁種に中国原産のシナフジや北米のアメリカフジなど。中国系の「麝香藤」は香りが一段とかぐわしい。

 フジは古くから愛され庭木として植えられた。万葉集では27種が詠まれている。フジの花が波打つように美しく揺れ動く様が「藤波」と表現されている。藤原氏ゆかりの奈良の興福寺と春日大社の紋は藤紋。京都の西本願寺、東本願寺も藤が寺紋になっている。家紋としても人気が高い。藤原氏傍流の佐藤・武藤・近藤・後藤・斎藤・加藤氏など「藤」姓が藤紋を好んで用いた。そのバリエーションは「下り藤」「上り藤」「藤巴」などを中心に約150種にも上る。清少納言も枕草子で「藤の花は、しなひ長く、色濃く咲きたる、いとめでたし」とフジを称えた。

   

 

(上段左上から時計回りに「九尺①」「岡山一歳②」「麝香藤③」「八重黒龍」①)=品種名の後の数字は①ノダフジ系②ヤマフジ系③中国系

 フジの蔓(つる)といえば、林業関係者にとっては杉や桧に巻き付いて絞め殺すやっかいもの。「山のギャング」と恐れられている。だが、その蔓も古く縄文時代から編んでかごなどに加工され、繊維から糸を紡ぎ織って布にもなった。京都・丹後地方では「丹後藤織り保存会」を中心に「藤布(ふじふ)」づくりが行われている。蔓が見事に姿を変え帯や財布、ハンドバッグなどに。その伝統技術が認められ、2010年には国の重要無形民俗文化財に指定された。

 フジの名所の多くがこのゴールデンウイークを挟んでフジまつりを開いている。静岡県磐田市「熊野(ゆや)の長藤まつり」(5日まで)、岡山県倉敷市「阿知の藤まつり」(同)、東京・亀戸天神(6日まで)、愛知県江南市の曼荼羅寺公園(同)、福岡県八女市「大藤祭り」(同)、群馬県藤岡市・ふじの咲く丘(12日まで)……。約100種と「種類では日本一」という岡山県和気町の「清麻呂の里藤まつり」もちょうど今開催中。京都府の天然記念物に指定されている福知山市の「才ノ神の藤まつり」は12日に開かれる。「藤の花今をさかりと咲きつれど 船いそがれて見返りもせず」(坂本龍馬)※一説には土佐藩出身の志士・吉村虎太郎作とも。

  

 

 

(上段左上から時計回りに「昭和紅②」「黒龍藤①」「緋ちりめん②」「春日砂ずり①」「新紅①」「白甲比丹=しろかぴたん②」)     


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <奈良・氷室神社> 厳かに... | トップ | <平城京天平祭> 華麗な奈... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿