く~にゃん雑記帳

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<奈良・氷室神社> 厳かに「献氷祭」 今夏の順調な天候と氷業界の隆盛を祈願!

2013年05月02日 | 祭り

【古式ゆかしく優美な舞楽を奉納】

 奈良市の氷室神社で1日、恒例の「献氷祭」が行われた。奈良時代、氷室に貯蔵した氷を朝廷に献上する「献氷の勅祭」が行われていたことに由来する。平安遷都後はこの祭りも廃されていたが、100年余り前の1912年(明治45年)に復興した。全国から氷の製造・販売業者らが集まって今年の夏の順調な天候と商売繁盛を祈願し、雅な舞楽が奉納された。

  

 式典は午前11時に始まった。参道両側には氷柱、神前には昇り龍の大きな彫刻。2011年まではタイやコイを封じ込めた氷柱が奉納されていたが、職人の引退で昨年から龍の彫刻に替わったという。その龍の出来映えも見事だが、〝花氷〟が見られないのは少し残念な気もする。舞楽殿(拝殿)の脇には冷凍氷業界物故者を慰霊する祭壇が設けられ、海の幸や山の幸が供えられていた。

 

 雅楽が奏される中、本殿の扉が開かれ神饌をお供えする献餞や献氷の儀、宮司の祝詞奏上などが粛々と行われた。続いて勇壮な神主舞の奉納や物故者慰霊祭、功労者への感謝状贈呈。この後、大宮守人宮司は「このお祭りは氷の出来具合でその年の天候を占うと同時に国家の安泰を願うために始まった」と、挨拶の中で祭りの起こりなどについて話されていた。

 午後2時からは南都晃耀会と南都流舞楽伝承会の会員によって舞楽が奉納された。最初はお祓いの舞「振鉾(えんぶ)」。色鮮やかな装束を身に着けた舞人が鉾を打ち振りながら舞台の邪気を払う。続いて4人舞の「賀殿(かてん)」と「登天楽」、女性2人による童舞(わらわまい)「抜頭(ばとう)」、1人による「納曽利(なそり)」が次々と披露された。

 

 このうち「賀殿」は遣唐使が平安時代に琵琶の楽譜によって習い伝えた曲に舞の振り付けが行われたという。テンポが速くリズミカルな演目で、4人が舞台狭しと舞った。「抜頭」は天平年間に林邑国(今のベトナム方面)の僧によって伝えられ、752年の東大寺大仏開眼供養でも演じられたそうだ。猛獣に親を噛み殺された子どもが、猛獣を探し出して退治し喜び勇んで帰っていく様を表しているという。「納曽利」は本来2人舞だが、この日は龍の仮面を着けた舞人1人で舞われた。

 

 この間、約1時間20分。神様も優雅な舞をご堪能されたに違いない。参拝者にとっても古式ゆかしい舞楽を間近に鑑賞するいい機会になった。この後は「長慶子(ちょうけいし)」という雅楽が奏される中、参拝者ほぼ全員で撤餞(てっせん)のお手伝い。長い列を作って神前に供えられた海の幸・山の幸を1つ1つ手渡しで引き下げ、手伝った人たちには「かち氷」という半生菓子が配られた。参道ではカキ氷なども無料で振る舞われていた。


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