く~にゃん雑記帳

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<沖縄・組踊「銘苅子」> 奈良・斑鳩町で公演 「羽衣伝説」を熱演!

2012年09月11日 | 音楽

【地謡に歌・三線の人間国宝2人も出演】

 国の重要無形文化財に指定されている沖縄の伝統芸能「組踊」の特別鑑賞会がこのほど奈良県斑鳩町の「いかるがホール」で開かれた。組踊は2010年、能楽、文楽、歌舞伎、雅楽に次いでユネスコ無形文化遺産の一覧表に記載された。その組踊をもっと多くの人に見てもらおうと文化庁などが後援、各地で公演しているもので、琉球舞踊に続いて組踊の代表的な演目「銘苅子(メカルシー)」が披露された。

組踊1組踊2 

 組踊はせりふを主とする歌と踊りを組み合わせた沖縄の古典歌舞劇。琉球王朝時代、中国からの「冊封使(さっぷうし)」と呼ばれる使者をもてなすため、〝踊奉行〟の玉城朝薫(1864~1734)が日本の能や歌舞伎も参考に伝統芸能を集大成して創作、約300年前の1719年に初めて上演された。現在約70番の組踊が継承されているが、中でも最初に上演された「銘苅子」「二童敵討」「女物狂」など5つの演目は〝朝薫の五番〟として重んじられている。

 演じられた「銘苅子」は日本全国に約130話あるといわれる「天人女房譚(羽衣伝説)」の一つ。銘苅子が下界に下り髪を洗っていた天女の羽衣を盗み、昇天できない天女と夫婦になって2人の子をもうける。ある日、天女は子どもたちが歌う唄から羽衣の隠し場所を知り、子どもが寝ている間に昇天する。「やあ、母親よ、やあ、母親よ。やあ、おめなりよ、母や居らぬ」。目覚めて気づいた弟が姉に訴える……。

 組踊のせりふは独特のリズムと抑揚を持っており、「琉歌」(沖縄の短歌)の「8・8・8・6」のリズムで唱えられる。この日は姉弟役を「1カ月余り猛特訓を重ねた」という9歳と6歳の女の子が演じたが、2人ともよく通る声で最後まで演じきって満場の拍手を集めた。「立方」(演者)はこの2人を含め総勢8人。組踊は原則として女役も男性が担当し、この日の天女も男性が美しい紅型(びんがた)の打ち掛け姿で高い声でせりふを唱えて〝女形〟を演じた。

 演技を支え場面の状況や登場人物の気持ちを表現するのが「地謡」による音楽。組踊の中で果たす役割は大きく、地元の沖縄では「組踊は見るものではなく聴くもの」とまでいわれるそうだ。この日は歌・三線4人、筝、笛、胡弓、太鼓各1人の計8人が伝統的な衣装を身に着けて演奏を担当した。現在、組踊では5人が重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定されているが、この日はそのうちの2人、照喜名朝一さんと西江喜春さんがそろって歌・三線で熱演を見せてくれた。


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