く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ドウダンツツジ(灯台躑躅)>枝々に無数の可憐な小花 〝満天星〟とも

2013年04月17日 | 花の四季

【秋の燃えるような紅葉も圧巻】

 春たけなわ。この季節になると、スズランのような可憐な小花が印象的なドウダンツツジ(単に「ドウダン」とも)が生垣などで咲き誇る。漢字の「灯台躑躅」の〝灯台〟は分枝の形が油皿を載せる灯明台の脚に似ているところから。「とうだい」が訛っていつの間にか「どうだん」になったらしい。漢名の「満天星」は霊薬を作っているうちに誤ってこぼした霊水が木の枝に降り注ぎ、満天の星のように輝いたという故事に由来する。

 本州静岡以西の紀伊半島や四国、九州などの山地に分布する。明治時代から庭木として注目されてきたが、長く自生地が分からず、外来種ではないかと疑われた時期もあった。牧野富太郎博士らが1910年代になって高知県日高村の錦山で初めて自生種を発見した。ドウダンツツジは山地の岩場、中でも蛇紋岩という岩石が多い場所を好む。錦山も蛇紋岩地帯で、秋になると〝ドウダンモミジ〟で全山が真っ赤に染まるため、その名が付いたという。

 ツツジ科だがツツジ属とは異なるドウダンツツジ属に分類され、日本など東アジアやヒマラヤ地方に約10種ある。ドウダンツツジは花が白く、花の先がつぼまった壷形。これに対しサラサ(更紗)ドウダンやベニドウダンなどは紅色で、先がつぼまらない釣鐘形。サラサドウダンは「フウリンツツジ」という別名を持つ。変種にヒロハドウダンやチチブドウダン、ツクシドウダン、カイナンサラサドウダン、ベニサラサドウダンなどがある。

 静岡県島田市の「どうだん原」には8000本を超えるドウダンツツジが群生し、「市の花」にもなっている。4月21日には春のどうだんまつりが開かれる。岐阜県中津川市は恵那山系に多いサラサドウダンを市の花としている。ドウダンツツジを町花とする鳥取県智頭町は5月17~19日に智頭どうだんまつりを開催、〝どうだん娘〟の写真撮影会などを予定している。長野県小海町の松原湖高原には4600本のサラサドウダンが群生、県の天然記念物になっている。見頃は6月中~下旬。

 ドウダンツツジといえば比較的背の低い生垣を連想しがちだが、大木も少なくない。兵庫県豊岡市但東町の安国寺には高さ・幅ともに10mにも達する樹齢150年の名木がある。とりわけ秋の紅葉が有名で、多くの観光客やカメラマンでにぎわう。金沢市・妙法寺のドウダンツツジは樹齢400年以上ともいわれ、市指定の天然記念物。さいたま市・正圓寺のドウダンツツジも高さが4mほどあり、市の天然記念物に指定されている。「雲ひくし満天星に雨よほそく降れ」(水原秋桜子)。


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