【西洋スイセンの代表格、英国ウェールズの国花】
年末~早春に咲く日本スイセンはとっくに花期が終わっているが、西洋スイセンを代表する遅咲き系統のラッパスイセンは3~4月がちょうど見頃。ラッパスイセンは最初に南欧のピレネー地方で発見され、英国などで改良が重ねられて多くの品種が生み出された。色や形は多種多様だが、1茎1花で「副花冠」と呼ばれる筒状のものがラッパのように突出するという共通の特徴を持つ。
スイセンの原産地は日本スイセンを含め、スペインやポルトガルなどの地中海沿岸地方といわれる。日本にはシルクロードを通って平安時代末期に中国経由で渡ってきたらしい。このため万葉集にも平安文学にもスイセンは登場しない。ただ、日本スイセンの大群落は淡路島や福井の越前海岸、房総半島など各地に点在している。このため、もっと古い時代に黒潮に乗って中国から球根が漂着していたのではないかとの説もある。
英国は4つの地域がそれぞれに国花を持つ。イングランドのバラが有名だが、ウェールズはリーク(ネギの1種)とともにラッパスイセンを国花としている。黄色いラッパスイセンはウェールズに春の訪れを告げる花の1つで、「聖ダビデの日」(3月1日)にはリークかラッパスイセンを身に付ける習慣があるそうだ。
群馬県東吾妻町はラッパスイセンの切り花生産量日本一といわれる。「町の花」はもちろんスイセン。毎春「岩井親水公園」脇の畑を30万本といわれるラッパスイセンが桜並木をバックに咲き誇る。今年は今月14日に「すいせん祭り」が行われ、多くの見物客でにぎわった。長野県上田市では信州国際音楽村で「水仙まつり」(20日まで)を開催中。関西では兵庫県淡路市多賀の「水仙の丘」がラッパスイセンの名所として有名だが、今年は例年より早く見頃は4月5日頃までだったという。
ラッパスイセンは英語で「ダフォディル」。かつて「セブン・ダフォディル(七つの水仙)」というフォークソングが大ヒットしたことがあった。歌ったのは米国の男性4人グループ「ザ・ブラザース・フォア」。メロディーも歌詞も優しかった。「僕には豪邸も土地もお金もない。でも光が降り注ぐ朝を見せてあげられる。そして口づけと7つの水仙をあげよう……」。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます