く~にゃん雑記帳

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<公開セミナー「京都の庭園と森」> 庭師の仕事は「作庭4分、維持管理6分」

2013年06月07日 | メモ

【植彌加藤造園社長の加藤友規氏「庭師も景色の一部」】

 「京都の庭園と森~人と自然の調和」をテーマにした京都伝統文化の森推進協議会の公開セミナーが6日、京都市の京都大学稲盛財団記念館で開かれた。第1部では京都造形芸術大学教授の尼崎博正氏が「日本庭園の自然観」、植彌加藤造園(京都市)社長の加藤友規氏が「自然と調和する庭園を育む」と題して講演、第2部では京都大学こころの未来研究センター教授の鎌田東二氏をコーディネーターにパネルディスカッションを行った。

   

 加藤友規氏(写真)は嘉永元年(1848年)創業の植彌加藤造園の8代目。加藤氏は庭園管理を任されている無粼庵、嵐山の「星のや京都」、けいはんな記念公園を例に、庭師の仕事や庭園管理の留意点などについて述べた。「作庭4分、維持管理6分」。作庭後の庭園管理の大切さを説いたもので、代々引き継いできた言葉という。

 無粼庵は南禅寺のそばにある山県有朋の別荘。7代目小川治兵衛の作庭で、東山を借景に琵琶湖疏水を引き入れた池泉回遊式庭園。国の名勝にもなっている。「山県有朋は京都の伝統的な作風を好まず、野趣に富んだ自然風の庭を望んだ。その感性に敬意を払って作庭当時の意図を反映するとともに、環境の変化・生態の変化も考慮している」。庭園管理の留意点をこう説明する。

 4年前に大改修した「星のや京都」は「宿泊・おもてなしの枯山水の庭」を基本に、ただ見るだけの枯山水ではなく、利用できるラウンジ化した枯山水を目指した。ベンチの石鏡には木々の緑や紅葉が映る。「庭師も景色の一部」もコンセプトの1つ。「鋏の音は小鳥のさえずりや小川のせせらぎと同じ。庭師は景色に溶け込む存在でなくてはならない」。さらに「黒子(裏方)の役割を粛々と果たしながら、必要とあればキャストもこなせる柔軟さも必要」とも話す。宿泊客のリクエストで庭園を案内することもあるそうだ。好きな言葉に「晴好雨奇」。晴天でも雨天でも日本庭園にはそれぞれに味わいがある――。

 尼崎博正氏は日本庭園研究の第一人者で作庭家でもある。昨年2月、評伝「七代目小川治兵衛」を出版した。日本庭園は「自然と人と時間の共同作品」とし、「周辺の自然景観との一体化、京都では三山とどう関わっているかが勝負どころ」などと話した。パネルディスカッションでは、尼崎氏は「庭は庭師と施主が一緒に作り上げるもの。施主の見識、感性が欠かせない」と指摘、加藤氏は「自然の中で暮らし感性を磨いた昔と違って、今は意識して自然と向き合わなくてはならなくなった」と危機感も訴えた。改めて庭師という世界の奥深さを垣間見るセミナーだった。


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