【その“苞”の中から白や黄色の小花が!】
アカネ科の常緑低木で、中南米のコロンビアやコスタリカ、エクアドルなどの熱帯雨林に自生する。唇に真っ赤な口紅を塗ったような妖艶な花姿がひときわ目を引く。ただ、花びらのように見えるのは葉が変形した蕾を包む苞(ほう)。初めは緑色だが、開花時期が近づくと次第に鮮やかな赤に変色していく。
開花期には苞の中央部分の集散花序に白または黄色の筒状花(花冠は5裂)が数輪ずつ開く。大きな苞に比べると花自体は小さくてあまり目立たない。苞や茎には柔毛が密生する。苞は花粉を媒介してくれるハチドリなどの昆虫を引き付けるため、こんな色や形に進化したとみられる。
学名「Psychotria poeppigiana」の属名サイコトリアはギリシャ語の「生命」と「保つ」の合成語で、旺盛な生命力を表す。種小名ペピギアナは19世紀のドイツの生物学者エドゥアルト・フリードリヒ・ペーピッヒ(1798~1868)への献名。この植物は花姿から「ホットリップス(熱い唇)」と呼ばれることも。ただサルビアの仲間で紅白の花弁を持つチェリーセージも「ホットリップス」という園芸品種名で流通している。