【防火樹として生垣や庭木に、横浜・大東・防府・坂出の「市の木」】
レンプクソウ科(旧分類ではスイカズラ科)ガマズミ属の常緑樹。高さは通常3~6mほどだが、大きいものは10mを超える。本州の関東以西と四国、九州、沖縄の海岸近くの山地に自生し、生垣や庭木、公園樹などとしてもよく植えられる。海外では朝鮮半島南部や台湾にも分布する。
7~8月頃、枝先に円錐状の花序を伸ばし、上向きに白い小花を密に付ける。9月頃から赤い楕円形の実(径7~8ミリ)をたわわに結び始める。和名はその姿を美しいベニサンゴ(紅珊瑚)にたとえた。晩秋になると、実は次第に青黒くなっていく。葉は厚く光沢があり、水分を多く含んで燃えにくい。このため火除けの〝防火樹〟としても人気を集めてきた。成長が早いうえ、排ガスなど公害や潮害にも強い。
サンゴジュを「市の木」と定めているところも。大阪府大東市や香川県坂出市、山口県防府市などで、横浜市でも6種類ある市の木の一つに、イチョウやツバキなどとともに名を連ねている。サンゴジュの葉は「サンゴジュハムシ」というハムシ科の昆虫の大好物。幼虫も成虫も食べるが、特に成虫の活動が活発な夏場以降まさに虫食い状態になった葉を見かけることも少なくない。「朱の深き珊瑚樹の実や鐘撞けば」(加藤知世子)