【東アジア原産のキク科の仲間、環境省は絶滅危惧種に指定】
キク科の常緑性低木で、東アジアの熱帯~亜熱帯地域の海岸の岩場や隆起した珊瑚礁などに自生する。日本では南西諸島のトカラ列島、奄美群島、沖縄諸島や小笠原諸島の南硫黄島などに分布する。沖縄では〝神の島〟といわれる久高島や本島南部のテダ御川(てぃだうっかー)が群生地として知られる。尖閣諸島の魚釣島にも自生する。
草丈は30~80cm。葉はへら形で、まれに先端が2~5裂する。春~夏に緑色だった葉は秋になると灰白色の短毛に覆われ、シロタエギクのように銀色に輝く。その美しいシルバーリーフから寄せ植えに利用されることも多い。冬に径5mmほどの黄色の頭花を付ける。ただ小さいうえ花弁がなく筒状花だけで形成されるため、地味であまり目立たない。花や葉には独特の臭気がある。
モクビャッコウは漢字で「木百香」とも「木百虹」とも表記される。沖縄での方言名は「イシヂク(石菊)」。挿し木で殖やすことができるが、野生種は海岸部の開発や園芸用の採取などで激減している。このため環境省は絶滅の危険が増大しているとして、最新の「レッドリスト2018」の中で絶滅危惧Ⅱ類に指定している。