く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ウイキョウ(茴香)> 南欧原産、薬用として古く中国経由で渡来

2016年07月12日 | 花の四季

【英語名「フェンネル」、スパイスやハーブとしても人気】

 セリ科ウイキョウ属(フォエニクラム属)の多年草。草丈は高いもので2mほどにもなり、6~8月ごろ、傘を広げたように黄色い小花をたくさん付ける。その花姿は一見、同じセリ科のディルや秋の七草のオミナエシにもよく似る。原産地は南ヨーロッパの地中海沿岸地方で、日本には平安時代前期ごろに薬草として中国から渡来したといわれる。和名は漢名「茴香」の音読みから。英語名は「フェンネル」(「干し草」を意味するラテン語に由来)で、国内でも料理関係ではフェンネルで通っている。

 フェンネルは古代エジプトの医学書「エーベルス・パピルス」(紀元前1550年ごろ)にも記載があり、作物としての栽培の歴史は古い。ギリシャ神話の中で、プロメテウスが天上の火を地上の人間界にもたらすために使ったのがフェンネルの茎だった。古代ローマでは戦士たちは胃腸の働きを活性化するフェンネルの種子を携えて戦場に向かい、女性たちは葉や茎をダイエットのために利用したという。

 日本ではウイキョウは初め「懐香」と表記されていた。「茴香」の初出は室町時代の辞書『下学集(かがくしゅう)』といわれる。長く「くれのおも(呉の母)」とも呼ばれた。平安初期の薬物辞典『本草和名(わみょう)』(深江輔仁著)には漢名との対照で「久礼乃於毛」と表記され、江戸時代の本草学者小野嵐山の『本草綱目啓蒙』(1805年)にも「クレノヲモ」と記されている。

 ウイキョウはアネトールなどの芳香性精油成分を多く含み、漢方薬「安中散」や健胃薬の主要成分の一つになっている。去痰や駆風(腸内ガスの排出)などの効用も。また種子や若葉はスパイスやハーブとして魚や肉料理に利用され、リキュールやピクルスなどの香り付けにも用いられる。主な栽培品種には代表的な「スイートフェンネル(甘茴香)」のほか、肥大した鱗茎(フィノッキオ)を食用とする「フローレンスフェンネル」、銅色の葉が美しい観賞向きの「ブロンズフェンネル」などがある。「茴香の花の匂ひや梅雨曇」(嶋田青峰)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする