
なんだか、グアムでは順調にコミュニケーションを取っていたように思われるかもしれませんが、あちらからのブログでも書きましたように、やっぱり言葉が通じなくて座礁する事が当然あるわけです
。
正直、旅行客相手に仕事をしてる人には、いくぶん通じやすいと思います。あちらが、「汲んで」くれますから
。逆に、日本人慣れしていない人との会話ですと、あちらは、汲んでもくれませんし、「こちらが何が分からないか、分からない、想像もつかない」ことがあるわけです
。
日本語でも、例えば、どこか地方の山あいの村に生まれ住んで、一度も外国に足を運んだ事もなければ、そもそもじかに外国人を見たことも無いおばあちゃんがいたとして、そのおばあちゃんとたいして日本語が上手じゃないアメリカ人がいきなり会話するようなものです。「ああん、あんだってぇー?」(←志村○ンさん風(笑))な感じですよね。歩み寄り方が、わからないわけですよ。でもそれは、仕方ないわけで。どちらが良いとか、悪いでもありません。だからこそ、コミュニケーションが成立した時が面白いわけです
。
滞在したホテルには、ジャグジーがありました。海やプールで少し冷えた体を、温めるのにもってこい。ちょっと贅沢気分も味わえますしね。
ある日の夕方、ジャグジーに一人で入っていますと、褐色の肌をしたカップルが、入り口の方からちらっとこちらを伺ったのが見えました。そんなに大きいわけではないですから、混んでしまう事もありますが、せっかくのジャグジー、出来たら自分たちだけでゆっくり入りたい、と思っていたのかもしれません。
でも、僕も入ったばかり。手を広げ「よかったらどうぞ」という意味で微笑みかけますと、ちゃんと伝わったらしく、ちょっと二人で会話したあとキャッキャと入ってきました。「どうする?入る?」「いいんじゃない?大丈夫そうだよ」みたいな感じでしょうか。わかんないですけど(笑)。
「ハイ
!」「ハイ
!」お約束のご挨拶をして、ご一緒することになりました。
ほどなく、女性の方が
「どこから来たの?」
「日本だよ」
「そうなんだ、東京?いつから居るの?いつ帰るの?」
「えっとねー」
みたいな、他愛のない会話をして、ひと和み。楽しいひとときであります。
彼らは地元の人で、恋人同士で、彼氏はスーパーのガードマンをしているとこととか、僕は日本では東京で生まれたけど、今は隣の神奈川ケンっていうところに住んでて、自然が多くていいところだよーとか、そんな感じで、しばし「順調に」会話は進みました。
そして、ココからが問題でした。
やおら、
「Hey, Do you have many スワインフォー in Japan now?」
こんなことを訊かれました。
「あなたは日本に今、沢山のスワインフォーを持っていますか」
直訳すれば、こうですね。
「・・・ス、スワインフォー
?」
「イエース、Hey, Do you have many スワインフォー in Japan now?」」
同じ事を訊いて来ます。
・・・おいおいー、「スワインフォー」ってなんじゃらほいー
。
「ア、アー、ウェール、ソー、えーっとー、What is スワインフォー?」(スワインフォって何?)
それでも彼女は
「スワインフォー!!スワインフォー!!」
と、僕の顔を見て、繰り返します。・・・ほんとにわかんない、聞けば聞くほどわかんない(笑)。
スワインフォー、スワインフォー、スワインフォー
ワイン?違うな。ワイ、ワイ、・・・あ、ワイフか?奥さんがいるかって、訊いてるのか?ちょっとイントネーションが違うんだな、彼らは、現地の人だしな。
・・・思考が、自分勝手になりました(笑)。でも、とりあえず、あてずっぽうでも、当たるかも。で、
「ノーノーノー!I don't have ワイフ in Japan. I am single!」(僕は日本に奥さんいないよ。独身だよ!)
「・・・
(彼女、怪訝な顔(笑))」
そして、「NO、I heard the news you Japanese have many スワインフォー in Japan now !」(違うわよ、私、ニュースで貴方たち日本人には沢山のスワインフォーがいるって訊いたもの)
あ、なにか制度のことかしらん。でも、なんだろ。とにかく、説明してみよう。
「いやー、そんなことないよー、そっかー、それは勘違いだなー。僕たち日本人は一夫一妻制だよ。奥さん、何人も居る人はいないよ。一人に、一人だけね、アフリカとかじゃ一夫多妻制のとこもあるよね。でも、日本は違うんだよ。一人だけ。ジャスト、ワン、ワイフ.」
「ノーノーノー!ノット、ワイフ!スワインフォー!!スワインフォー!!!」
ちなみにですね、欧米人は「ゆっくり喋る」ってことをほとんどしません。特に英語はリズムの言語ですから、「え?ゴメン!わかんない!もう一回言って!」とお願いしても、スピードが変わらないんです。日本人なら、ゆっくり言うでしょ?でも、あちらの人は、スピードは変わらず、「ただ声が大きくなるだけ」なんです(笑)。いや、全員だとは言いませんが(笑)。
とにかく、わかんない。スワインフォー疑惑。
「えっと、ゴメーン、わかんないやー。スワインフォーって何だろう?辞書でもあればいいんだけどさ、今持ってないし・・・。なんに関係する言葉?」
すると物凄いは早口で説明してくれたんですが、その中に「desease」「sickness」という言葉が聞こえてきました。
うーむ、奥さんと病気?いや、まてよ、奥さんからは離れよう(←ちょっと酔ってる(笑))。で、えーと。
すると、
「貴方はスワインフォーのためにグアムに来たの?」
と言います。僕は考えました。何かの病気なのか。
あ、そうだ、昔、ハワイとかに病気の治療のために滞在する人たちがいるって聞いた。気候がいいしね。あれか。うん、きっとそうだ。グアムにもそういう目的で滞在する人がいるんだ。きっと彼女は、僕がそういう目的で来ているんだと思ったんだ。
で、「いやー、僕は健康だよ。あ、そうそう、日本にはね、温泉ってのがあってね、日本人は外国に行かなくても、温泉に病気を治しにいくことがあるよ。湯治って言ってね、日本にはとっても沢山の温泉があってね、あ、分かる?温泉。ホットスプリングね、あ、そう、わかる。良かったー。で、それで病気を治すってのが、とってもポピュラーなんだよ。お年寄りが行くんだよー。でも、僕は大丈夫、健康、イエー

。」
「・・・
(彼女、そして彼氏も怪訝な顔)」
反応が恐ろしく薄い。
・・・なんとなく変だと思ったんです、僕も。彼女たちが、ちょっとよそよそしい(笑)。
なので、「明日は晴れるかな?」とか「LONE STARでステーキ食べたよ」とか、関係の無い話をして、あ、これは成立しました。ちゃんと。「LONE STARはいいよ!美味しかったでしょ!?」とかね。で、「じゃ、またねー。楽しい会話をありがとう
!」と、一足先にジャグジーを後にしました。
「スワインフォー」の疑惑はそのまま残して。
部屋に帰って、思い当たる限りのスペリングで単語を調べても、辞書でもヒットしませんでした。
そして、翌日。
英語と日本語の話せる人に、「スワインフォーって何ですか?」と訊きますと、
「スワインフル?あぁ、豚インフルエンザ、ですよ」
と。
swine influenza スワイン「豚」 インフルエンザ。
略して、
swine flu スワインフォー。

・・・しまったー
(←僕(笑))。
ではー。