
子どものころね、ピアノは習っていたけれど、どうも好きではなかったんです

。
この話は、これまで何度かブログにも書きましたし、緑ちゃんの「あとがき」にも書きました。
でも、子どもですから、帰りにマクドナルドに連れて行ってもらえるのが嬉しいものだからレッスンにも、どうにか行ったりはしてましたが、とにかく全然、積極的じゃなかったんです
。
練習も、ほんといい加減でしたし(←バカだなー、ちゃんとやっておけばなー、って、後々大人になって痛いほど判るのに
)、自分から好んでクラシックの曲を聴いた覚えもないんですよ。
とにかく、ただ親に言われているからやってるんだよね・・・って、本当にそんな感じでした
。
よくあの子が、こんなに音楽が好きになって、よもやプロにまでなったと思いますよ、本当に
(笑)。
挙句、音楽の本を書いたり、仮にも人に音楽を教えてるっていうんですから、当時の僕が知ったら、ビビってどこまでも真っ直ぐ走って逃げますよ、きっと
(笑)。
まだ、小学校低学年の時です。テレビで「西遊記」という番組がやってて、たまたま、家族で食後に、それを見たんです。ほんとたまたまだったので、途中からだったかもしれません
。
そして、本編がおわり、エンディングテーマに差し掛かろうとした時、一緒に見ていた、当時家に下宿していた東大生のKお兄ちゃんが、「この曲が、なかなかしゃれてるんですよ」って言ったんです。
「曲がしゃれてる?・・・ってなんだ?」と、子ども心に不思議に思って、後ろにいたKお兄ちゃんの顔を振り返って見た覚えが、今でもあります。
そして、曲が始まりました。
http://www.youtube.com/watch?v=CRIqYC12liM&feature=related#t=1m53s
そうです、おそらく皆さんもご存知の、ゴダイゴの「ガンダーラ」です。
僕は、曲の途中からボロボロ泣き出しました。涙が勝手で出てきて、止まらなくなったんです。
なんだ、これ・・・
。
これが、僕が音楽に心から感動した、初体験でした。
決して、ご飯が足りなくて泣いたわけではありません
(笑)。
「お母さん、この曲のレコード買って欲しい」
と、お願いして、母も「ほんと、いい曲ね、いいわよ」と、早速翌日、買ってくれました。
次に、こちらもご存知、西遊記のオープニングテーマ、「モンキーマジック」。
http://www.youtube.com/watch?v=CRIqYC12liM&feature=related
このナレーションの後ろで鳴ってる音がカッコいい。なんだろうこれ。ああ、たまらない・・・。
もうアルバム「西遊記」をねだるまで、そんなに日数もかからなかったかもしれません(笑)。アルバムのガンダーラは英語バージョン。
これがまたカッコよかった。アルバムの曲も、全部カッコいい。うわ、うわ。
もっと知りたい!
もっと聴きたい!
この、ゴダイゴって、バンドのこと。
このバンドのリーダーで、キーボーディストで、西遊記の「音楽」のところにも名前があった、ミッキー吉野って人のこと。
その時点で発売されていた「DEAD END」「GODIEGO (新創世紀)」、「CMソング・グラフィティ」と買ってもらい、
ニューアルバムとして聴くことができた「OUR DECADE」も当然すぐに買ってもらって、
・・・聴きまくりました

。
GODIEGOのアルバムは全てが素晴らしいです。ここに挙げたものは、どの一枚もが、全て僕の原点です
。
どれもベストですが、あえてどれか一枚というなら、「DEAD END」を聴いてください。トーンは暗いですが、最高の音楽が詰まっています。
毎日、学校から帰ってくると、親のステレオセットの前に座り、LPを取り出して、針を落として。まだ、カセットに録音とか、やり方を知らなかった時代です。
毎日、あのLPを取り出して、スプレーしてホコリをとって、ターンテーブルに載せては、
「ああっ、すごい、かっこいい。うわ、うわ

」
耳で聴こえてくる、いい加減なメチャメチャ英語で一緒に歌ったり
、感動のあまり、泣きながら眠っちゃったり

。
そして、劇場版「銀河鉄道999」ね。
テーマソングがゴダイゴだってこともあっって、映画にもドンはまり。4回も映画館に見に行っちゃった、という(昔にもちょっと書いてました)。勿論、DVDも持ってます。
とにかくですね、ゴダイゴは、子ドモの頃の僕の音楽観を変えたのです。
「退屈で、つまらなくて、めんどくさいもの」から、「めちゃめちゃかっこよくて、考えるだけでワクワクして、泣けるほど素晴らしいもの!」に。
ご存知でしょうか。ピアノのグリスに続いて始まる、この「銀河鉄道999」のテーマソングのソロは、ミッキーさんによる、ハモンドオルガンのソロなのです。
http://www.youtube.com/watch?v=-KIboDS4w8M#t=1m50s
あの「モンキーマジック」のイントロの音は、シンセサイザーだったんです。
「ガンダーラ」のイントロのあの柔らかい音は、フェンダー・ローズ・エレクトリック・ピアノだったんです。
ゴダイゴの音楽には、かっこいいキーボードが詰まりまくってたんです。
(そうなんです・・・。これが根っことなって、僕の中に宿り、これから数年経って、厚見さんのミニモーグで、ドカンと発芽するんです
)
そして、やがて僕が高校三年生になる年に、ミッキーさんが音楽学校を創立されたんです。
パン・スクール・オブ・ミュージック。
僕は親に、「高校を卒業したらミッキーさんの学校に行きたい」と言いました。
親はしばらく考えて、「様子をみましょう」と。
僕は「あのね、もう、すぐにでも行きたいから、高校に通いながらでも行ける“専科”という週に一回のクラスがあるから、これに行きたい」と申し出ました。
もう、この頃は厚見さんの洗礼とか受けちゃってますからね、一刻も早く、プロになりたい、と(・・・あの子がねぇ(笑))。
親には色々と感謝です。この時も、「じゃあ、やってみたら。」と。
二月、学校説明会に行きました。大雪でした
。
全体の説明会のあと(ここで初めてミッキーさんをお見かけしたのです。「おお、ぉおお。」・・・それくらいしか、記憶が(笑))、
次は、希望によってコース分けされての説明ということだったんですが、
ボーカルとキーボード志望の子にはは、なんとミッキーさん自ら説明をしてくださるというではないですか
。
通された部屋で、じっと待ちました。全部で、30人くらいだったでしょうか。
ほどなく、ミッキーさんが入ってこられて「やあ、やあ」と、あの優しい笑顔で席に着かれて。
「おわおわおわー、本物だよ、本物だよ。すごいよ、すごいよ
。」
と思っておりましたら、「あ、そこのキミは・・・うーん、きっとボーカル志望だね?」と、なんといきなり僕に話しかけられたんです。
「あっ、いえっ、拙者、じゃない、僕は、キーボードです

!」
すると「あっそうなの!?ごめんね。そっか、じゃあ、キーボードでは、何が好きなの?」
「はいっ、ハモンドオルガンが好きです
!」
「あー、そうなんだー。僕もハモンド、好きなんだよー(笑)」
・・・し、知ってます
。
これが、ミッキーさんと交わした会話の全てです。でも、宝物になりました
。ハモンドって、やっぱり最高なんじゃない、って(笑)。
その後、興奮で、なんの説明をされたか、よく覚えていません。というか、“専科”希望の僕みたいのには、まだあまり関係のない・・・というか、羨ましい(笑)、“全科(毎日学校いくコース)”の説明が殆どだったと思います。
その後、講師の方々の演奏会がありました。
ミッキーさんもおられる。ゴダイゴのギターの浅野さんもおられる(あのね、浅野さんのギターって、素晴らしいのは当たり前なんですが、専門家から見ると、ちょっとおいそれとはコピーできない、とんでもないものだそうです。友人のギタリストが言ってました。そうそう、日本で始めてギターシンセサイザーを録音に使われたのも浅野さんなんですよ)。
他にも、知っているミュージシャンの方もいる。なんてこった、今から、この人たちの生演奏が聞けるのか。
「じゃ、やるね。・・・そうだな、何をやろうか。まず、何かブルースでもやっとこうか?」
ミッキーさんがそう言いました。この時点で「えー?何をやるか決めないで、皆で演奏なんて、どうやってやるんだろう
。」
クラシックも、それまでやっていたバンド活動も、家で練習してこなければ、アンサンブルにならないですからね。
「キーは、どうする?僕はなんでもいいよ。え・・・Aね、オッケー。じゃAでブルーズやりますね。」
・・・ガビーン、ですよ。
曲も決まってない上、キーも決まってなかった。今、決めた。しかも適当に決めた。それで、どうや・・・
うわーーーーっ

!
物凄いかっこいい演奏が始まりました。「な、なんだよこれ!どうなってんだよ、ミュージシャンって!冗談じゃないよ(笑)!」ですよ、正直
(笑)。
生まれて初めて聴いた、プロの演奏でした。すごすぎて、瞬きをした覚えもありませんよ。
そして、「じゃ、これは?」ってミッキーさんが弾き始めたのが、あの「ガンダーラ」のイントロでした。ゴダイゴのメンバーの浅野さんがすかさず合わせます。
・・・わー

終了。
その後、高校に通いつつ専科には行きましたが、・・・半期で辞めてしまいました。
理由はね、僕はとにかくミッキーさんに教えてもらいたかったのに、違う先生だったこと(入学してから、担当の先生が別な先生だと判った時、残念すぎて泣きました(笑))。このことも先日伺いましたら、
「あ、そうかー。僕は二年目からだったんだよね、教えたのは」とのことでした
。
時は流れまして
。
今月3日、節分の日に、僕はコルグさんで行われた、新製品の発表会にお邪魔しました。一応、ビデオなんかにも映っちゃってね。
あの日、デモンストレーションとしてクロノスを弾かれたのが、僕が「ついに・・・」と書いた、そう、あの方だったのですよ。
そう、ミッキー吉野さんだったのです

。
あの日、コルグの方のご好意で、楽屋に入れていただいて、ずっと、お話をさせていただいたんです。とっても長く。僕がどれだけゴダイゴが好きだったか。ミッキーさんに影響されたか。
冨田先生とも古いお知りあいで、そしてなんと、厚見さんともお知り会いで。
「ミッキーさんには昔、70年のEXPOでお願いして演奏してもらったことがあるんです。当時、レスリーを使いこなせるのは、日本ではまだ彼しかいなかったんですよ。」とは冨田先生。
「昔、ミッキーさんのスタジオに遊びにいって、ハモンド弾かせてもらったんだよね。あ、そうだ、リングモジュレーター、まだ持ってるかなぁ。会えたら、訊いてきてよ。」とは厚見師匠。
この両方から「ミッキーさんによろしくね


」とのメッセージもお預かりして行ったのです。
もう、すっかり二時間くらいお話させていただいて。
デモの最中には「そうそう、今日はあそこに、川村ケンくんも来てくれているんですが」なんて、ミッキーさんにお名前を呼んでいただいたりもしました。倒れるかとおもいましたが。嬉しかったー
(笑)。

左から、ミッキー吉野さん、ゴダイゴファンの人(笑)、ギタリストの鈴木健治くん(同じ年だった)、ゴダイゴのギタリストの浅野孝巳さん。
CDにサインも頂いてしまいました(トップ写真)。
もうね、夢のような時間でしたよ

。
そして、

こんな夢のようなことまで・・・


。
緑ちゃん、ミッキーさんの所にもいけて、本当によかったねぇ。僕も嬉しいです


。
というわけで、僕の思いの丈を長々とつづりました、ミッキーさんにお会いできたよ&緑ちゃんの発売一周年(・・・一歳の誕生日(笑))記念ブログでした。
どうも、お付き合い、ありがとうございました
。
(文字数制限がなければ、もっと色々書きたいくらいです(笑))
ではー。