役所に、必要な手続きをしに行きました。契約に必要な書類も揃えなきゃでしたし。
何度も何度も書かされる、名前と・・・電話番号。ほらー(笑)。
混んでいたので、番号札を取って、待ち時間を訊きました。「すいません、おそらくお呼びできるまで、20分くらいは掛かるかと思います。」とのことでしたので、役所の中にあるレストランへ。
レストラン、というより食堂って感じのお店。午後も3時を少しまわってましたので、お客さんは一人きり。6年もこの街に住んだのに、ここに入るのは初めてでした。
ちょっと薄暗い店内(←古いお役所ですからね)とはうらはらに、「いらっしゃいませー!」と明るく元気な女性の声が出迎えてくれました。
「ハイハイ、ゴチュウモン、ドウゾー!」と、中から出てきたその人は、褐色の肌をした外国人の方でした。お年の頃は、・・・僕くらいかな。最初の一言が普通に流暢な日本語でしたし、役所で働く外国人の方というのも珍しいなぁ、と、ちょっとびっくりしましたが、「へー、いいなぁ、こういうのって。」と思いつつ、
「えっと、生姜焼き定食の、ご飯、大盛りでお願いします」、と言うと、「ハーイ、ショウガヤキ、オオモリネー」と、やっぱりイントネーションは外国の方。とっても微笑ましい感じ。「オスキナトコロデ、マッテテネー」。
「(そうだなぁ、あと、何か小鉢ものを)」・・・と思ってみたものの、お昼時に全部売切れてしまっていたようで、カウンターにはもう何も残っていませんでした。「ま、いっか」と、席に座って、「この役所に来るのも今日で最後か」。すぐ傍にはよく通ってた図書館もあります。「あー、あそこで本を借りる事も無くなるんだな」と、ちょっとだけ感傷に浸ってみたりしつつ、窓の外の景色を眺めていました。
「ショウガヤキー、オオモリノカター、デキタヨー!」しら
・・・(笑)。なんかね、やたらと和むんですよね。
ここはセルフサービス式。受け取りに行くと、ビックリするくらいの山盛りご飯。丼を二つひっくり返して重ねたような感じだったんですよ。「特盛り」ってのもあったみたいだけど、一体どんななんだか(笑)。生姜焼きもたっぷり三枚のお肉。ワカメのお味噌汁にサラダに、・・・あれ?
彼女はちょっと小さな声で、「シラスオロシ、アッタカラ、サービスシトクネー。ヨカッタラ、タベテネー」。
お盆の脇に、たっぷりの大根おろしに、シラスが乗った小鉢が。「え、いいんですか?」と訊くと、「タマタマネー!タマタマーッ!」と言って彼女は楽しそうに笑いました。まるで、僕がさっき「何か小鉢はないかなぁ・・・」って思ってたのを、優しく見透かしたかのよう。
見せたかったなー。あの山盛りご飯と、真っ白な「シラスオロシ」。役所に行くだけだし、と思ってカメラを持って出なかったのを後悔しました。カメラは、とにかくいつでも持ってなきゃダメですね(笑)。
僕が食べてる間も、彼女はテーブルを拭いてまわったり、お醤油を足してまわったり。こまごまとよく働くこと。
食べ終わって食器を返しに行くと、こんどは彼女は洗い物をしていました。「ごちそうさまでした」って言うと、「アー、オイシカッター?」って訊くんですよね。
「えぇ、とってもおいしかったですよ」と答えると、すっごい笑顔で「ヨカッタネー、マタキテネー!」って。
・・・うん。ありがと。
でもたぶん、僕はもうここへは来ないんだよな、って思ったら、ちょっと切なくなりました。
生姜焼き、大好きですから、今まで沢山食べました。とびきり美味しいお店も知ってます。でもね、今日の生姜焼きは、お肉はちょっと硬かったけどさ、そんなの全然関係無くって、なんだか今までで一番かも、って思えるくらい美味しかったです。そう感じました。
料理は、やっぱり人が作るもので、その人の愛情も一緒に頂くものなんだなってすっごく思いました。
帰りしな、「どちらからですか?」って訊きました。「タイダヨー。シッテル?キタコトアル?」
「まだ行った事ないんですけど、いつか行きたい国です」と答えると、「キレナトコヨー。ゼッタイキテネー」って。
とっても、行きたい気になりました。こういう時にいつも思うのは・・・本当の外交は、政治家がするものなんかじゃ無いんじゃないかってこと。結局、こういうちょっとした会話や触れ合いが、心からのその国に対する興味とか理解を生むんですよね。この先、タイに何かあったら、僕はシラスオロシと彼女の元気な声を、絶対に思い出しますもの。
手続きカウンターへ戻ると、ちょうど順番が来てました。さっき書いた転出届けを出したら、「えっと、あちらの役所ではもうお手続きは済ませられましたか?証明書が渡されたと思いますが」などと言うので、「え?・・・おかしな事を言うなぁ」と思いつつも、
「いや、あっちにはこれからです。えっと、まずこっちで転出の手続きをしないとです、よね?」
と言いながら、役所の方が見ている、自分で書いた書類を見ると、
新住所と旧住所、逆じゃーん。またここに越してくるつもりかーい。
って、最近おっちょこ話ばっかりよく書いてるんで、おそらく皆さんとしても、・・・笑えるような、もう笑えないような・・・感じだったりして(笑)。疲れてる、って事にして置いてください。・・・え?無理?もー(笑)。
今日は、助っ人が来てくれました。かつて一緒に俊くんのツアーを回ったことのあるスタッフの一人が「ケン坊さん、引っ越しするんですって?荷物まとめてます?まぁとにかく今から行きまーす」ってメールをくれて、本当に(勝手に(笑))来てくれました。いやー、ものすごーく助かったー。二人だと、倍ですもんね。いや、エネルギーは倍以上ですね。「じゃ、明日も来まーす」って、ニコやかにさっき帰っていきました。お礼にひとまず、ラーメン(チャーハン付)、ご馳走しましたよ。
ありがたいですねぇ。
しかし、段ボールが今の時点で、既に18個になっているのは、何故だ(笑)。今のところ、あとDVDや資料類、譜面類、それと本を詰めただけなのに。まだキッチン周りなんかまるで全然手を付けていないというのに!しかしね、・・・CDが2千枚近くあったのにはビックリしましたよ。最初は、・・・1枚だったのに。
ではー。