ケン坊のこんな感じ。
キーボーディスト、川村ケンのブログです。




昨日は、学生の、ミニライブ、というか、まぁ授業の一環としての発表会があったんです

学校に入ってから初めて出会った仲間とのバンド。個人個人のスキルもまだまだ未発展なところへ加えて、バンドとしての練習期間も短く、まだまだみんな、こう、ぎこちない事も多かったりして、突っ込みどころ満載なライブとなってはおりましたが

 

でもね

 

やっぱりステージで楽器を弾いたり歌ったりしている彼らは、もう、彼らなりに必死でやっているわけですからね、もう、僕としては、手元ではせんせーとして、一応色々と書き込みなぞをしながらではありましたが、個人的には「いいぞー、よっしゃー、やれやれーひゅーひゅー」な気持ちで楽しく見ておりました。

なにより、本番って面白いです。人が、でるんですね(笑)。普段の練習してる姿からは想像もつかないようなことをする学生の動きとか、表情とかには、時々本当に鳥肌が立ったりもするんです。もうこれは、上手いとか、まだまだ、とか、そういうレベルの話ではなくて。その、音に託した、気持ちがね、グっと聞こえてくるんですよ。・・・たとえ、その音を外しちゃってたとしても、関係なく、気持ちは音に乗ってくる

 

終わった後、「お疲れー!いい感じだったじゃん」って言ったら、「・・・いえ、ダメ、全然ダメです」って悔しそうにしゃがんで涙を浮かべた子がいました。でも、練習から見てるいる限り、その子のレベルからしたら、そんなに酷い演奏ではなかった。むしろ落ち着いてやっているように見えたんです。でもきっと何か、自分で「ここは決める!」って思ってたりしてたところが本人的には上手にクリア出来なかったとか、何かそういうのがあったんでしょう。

普段クールな感じの子だったので、突然見せた涙にはちょっとビックリしましたが、でも、こういう子は、きっと伸びるんだろうな・・・って思いました。

しかし、「ようし、決めるぜ!」→「・・・ダ、ダメだったにょー

そして、たとえ他の箇所が全部良くても、落ち込みがとまらない

・・・わかるんですよね。・・・あるある、今でも、あるあるー(笑)。

 

大きなトラブルもなく、懸念だった短時間での転換に手間取ることもなく、順調にライブは進み、時間が少し余ったので、「じゃあ、何かやりますか」ということになりました。一応、言ってはあったんです。「みんなが順調に進めることができたら、せんせー達で、何かやるよ」って。

学生達も組んで短いバンドではありましたが、せんせーたちに至っては、なにせここへきて初めて一緒に演奏するメンバーでして、お互いがどんなプレイをするのか、全然わかりません(笑)。でも、プロでしょ。できるでしょ、って感じで、「ま、やってみましょ、よろしくー」ということになって、キーを確認して、せーの、どん。

下準備もリハーサルも一切無し。学生達の楽器を借りての演奏。お客さんは、普段「せんせー」と色々と聞いてくる学生たちであり、「おまえらなー」って接している学生たち。「いつもえらそうにしてるけど(してないけどね(笑))、プロってどんなもんだろう」って思って見てるに違いありません。普通のお客さんとは、また違って、一種独特な、ね(笑)。

 

おらおらおらー

 

・・・結果、大盛況。

 

そして、アンコールの拍手。

 

僕らも大盛り上がりで、「じゃあ、もう一曲やっちゃう?」って(笑)。

 

終わってね、学生たちの顔を見ると、勿論いつの間にか他のクラスからのギャラリーも集まって来ていて満員になってしまった部屋の気温が上がっていたせいもあるとは思いますが、・・・みんな何だか少し上気した、興奮したような顔つきに見えました。そして、ざわざわした中から、「なんだよこれ、俺達と全然違うじゃんかよ」。そんな声が聞こえてきました。

帰りに「お疲れ様でしたー」と挨拶してくる学生たちの顔も、なんか今までとは少し違ってるように感じました。僕達も今日、初めてみんなが本番で演奏してる姿を見た。音を聴いた。そして、彼らも、初めて僕達の演奏を見て、音を聴いた。

これって、距離を・・・縮めるんですよね。心の距離を、確実に。音楽の素晴らしいところです。

 

ましてや・・・一緒に演奏しちゃったらね、

 

・・・というわけで、その後は、せんせー同士のお疲れ様打ち上げだったわけですが(ほとんどの学生は、まだお酒を飲んじゃいけない年齢ですー)、こちらも大盛り上がりだった、というわけです。本当に、何本、焼酎のボトルが空いたことか。勿論、ちょっと今朝は、残ってました。でも、とっても楽しかったです(笑)。

 

 

 

僕が始めて眼前でプロの演奏を見たのは、忘れもしない、高校二年生の冬でした。卒業後の進路を考えていた時に、その選択肢として、大学のほかに音楽を専門的に勉強したいっていうのがあって、とある音楽学校の学校説明会に見学に行ったんです。そして、説明会の後に、部屋の中で、短いセッションが行われたのです。キーボードは、あのゴダイゴのミッキー吉野さんでした。出来たばかりのその学校の学長さんで、僕はずっとファンだったゴダイゴのリーダーでもあるミッキーさんに憧れて、直接教われることに興奮して、この説明会に行ったのでした。

 

「キーはなにでやる?」「え?その曲やったことないな」「ま、いいや。じゃあ適当に乗るわ」

初めて聞くプロのミュージシャン同士の会話。これだけでドキドキです。今でも、その時の光景は忘れられません。

そして、始まった演奏の、なんとタイトで、素晴らしかったこと。あちらからしたら、肩慣らし程度の軽いセッション。

でも、ただのいちアマチュアの高校生の僕にとっては・・・

 

「なんだこれ」

 

でした。顔は完全に真顔で・・・いや、これは要するに、見たものが凄すぎて固まっていたのですけれど(笑)。でも内心はね「よっしゃ、これ、やろう。なろう、プロに」って、それまでも持ってはいた、でもどこか不安を伴った気持ちに、さらにグワーンって拍車がかかったのを覚えています。不安でもなんでも関係ないや、やろう、なろう、って。

17歳のあの日。東京にかなりの大雪が降った日でした。建物を出ると、30cmほども積もった雪。

ギューッ、ギューッ、とスニーカーで雪を踏みしめながら、頭の中では、今聴いた演奏が、なんとなく音というより感触として、ずーっとリフレインされていました。勿論、今でも、覚えていますよ

駅に着いた時には、足はビショビショになってました。雪はざんざんと降っていて。でも、なんかとっても、熱かった日でした。

 

 

写真は、「これ、いつ?誰の仕事で?」とか、あまり突っ込んだりしないで下さい(笑)。まぁ、イメージ映像って感じで。

 

ただ、この一番上のminimoog。

 

あの雪の日から3年ほどして、その頃どっぷりと厚見さんに憧れてた僕が、夢にまで見て、アルバイトをしてようやく手に入れたものです。大学時代です。当時は、勿論アマチュア。キャパ100人ほどのライブハウスで、30人とかくらいのお客さん(しかも友達とかがほとんどで)を前に演奏していたころから、ずっとこうして持って歩いているんです。

そして、こうしてセッティングしては、「ほぅら、見てごらん。ひろいね、いい眺めだねー。大きな音が出せるねー。じゃ、今日もよろしくね」とかって言ったりして。

 

いや、言わないですよ、そこまではさすがに。なんかちょっと変でしょ、そんな人(笑)。

もちろん、似たような事は、ちょっと心で思ったりはしますけど。いえ、ほんと、・・・たまにね(笑)。

 

ではー。



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