映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

本日も映画の感想2本立 「キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け」      &「らくごえいが」

2013年04月24日 | 日記

   

     「キング・オブ・マンハッタン」の脚本・監督ニコラス・ジャレッキーは劇映画初
     監督で、この人の俊英ぶりは前から喧伝されており、楽しみにしていて見ま
     した。

     マネービジネスの成功者として全米に広く知られる投資家ロバート・ミラー(リ
     チャード・ギア)は、投資で失敗して巨額の損失を出してしまいます。
     会計監査の内容を隠すために借りた4億ドルの返済期限が迫り、内容を隠し
     たまま会社を売却して資金を作ろうとしますが、思うように進みません。

     そんな時、ロバートは不注意で交通事故を起こし、同乗していた愛人ジュリー
     (レティシア・カスタ)が即死。この事件を自分が起こしたことが妻(スーザン・サ
     ランドン)や世間が知ると全てに行き詰ることを恐れたロバートは事故現場から
     逃げ去りますが、その姿は目撃されていたのです。無理で強引なアリバイ工作
     を、以前世話をした黒人青年に依頼して無関係を装いますが、曲者刑事(ティム
     ・ロス)が急追して来ます・・・。

     この新人監督は中々の曲者(褒め言葉)です。インディペンデント映画ですが内
     容も奥深く、物語の進展を面白く見せてくれます。
     この事件には通常作品よりも多くの関係者がからみますが、それらがとても上
     手く整理されて物語を進めて行きます。
     結末が少し甘いかなとは思うものの、上記のように展開が上手いし面白いし、
     映像も優れていて佳作と言えましょう。


   

     「らくごえいが」は、古典落語「ねずみ」「死神」「猿後家」を原作・原案とし、これを
     現代に置き換えたらどんなお話になるかを、オリジナルの三つの短編にしたオム
     ニバス映画です。
     ベテランから若手にいたる落語家へのインタビューも含まれていて、製作は東京
     芸術大学大学院映像研究科所属の学生スタッフによる作品です。

     第一話「ねずみ」は映画のロケ地探しに奔走する映画製作会社スタッフの林田か
     るほ(田島ゆみか)は、上司の左甚六(音尾琢真)を実家に招待して戸惑うお話。
     第二話「死神」は不思議な男(安田顕)とある約束を交わしたことで、死の一歩手
     前だった男(山田孝之)は不思議な力を与えられるが、途中で約束を反故にして
     しまうというお話。
     第三話「猿後家」は、映画の撮影現場に主役がなかなか登場せず、困惑する監
     督(戸次重幸)とプロデュサー(加藤貴子)のお話。

     若きクリエイターたちが将来を目指してどれだけユニークにアレンジするのか楽
     しみにしていたし、ご贔屓の一人・山田孝之もこの作品に出演している期待もあ
     りました。
     でも結論から言いますが、まるでちゃちな素人映画です。よくもこなな映画を作っ
     たものだと呆れています。
     何が古典落語の発展的オムニバス映画かと腹が立つくらいの出来です。
     山田孝之が色々な異色作品に出る意欲は買いますが、これではもう少し選別を
     すべきだったと言いたいです。

コメント (8)
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映画の感想2本立 「君と歩く世界」 と 「桜、ふたたびの加奈子」

2013年04月23日 | 日記

   

     見終わった作品の感想アップが遅れて溜まっています。追いつくまで2本立
     で行きますので宜しくお願いします。

     まず「君と歩く世界」は、監督が「真夜中のピアニスト」や「預言者」のジャック
     ・オーディアールであるし、主演も「エディット・ピアフ 愛の讃歌」のオスカー女
     優マリオン・コティヤールなので一寸期待して見ました。

     南仏アンティーブの観光名所マリンランドでシャチの調教師としているステファ
     ニー(マリオン・コティヤール)は、ショーの最中の事故で両脚の膝から下を失っ
     てしまい、失意のどん底に沈みます。
     そんなある時、5歳の息子を一人で育てているシングルファーザーのアリ(マテ
     ィアス・スーナーツ)と出会い、粗野で不器用ですが真っ直ぐなアリの優しさに
     触れたステファニーは、いつしか生きる喜びを取り戻して行くのですが・・・。

     題名からの印象とは違いセックス場面などドロドロしたところが結構あります
     し、もう少し男を前向きな人物に仕立てても良かったのではと思いますが、そ
     れでも素直に好感が持てる作品になっていて、さすがこのスタッフ・キャスト
     だと感心します。
     シャチのショーなど優れた映像も楽しませてくれますので、お時間があったら
     見てください・・・の作品です。


   

     「桜、ふたたびの加奈子」は交通事故で娘の加奈子を亡くした容子(広末涼子)
     は、自分を責め続け、もう存在しない容子が見えると言って世話を焼くように
     なります。
     夫の信樹(稲垣吾郎)は、そんな妻を立ち直らせたいと願うのですが、前向き
     になろうとしない容子にいら立ちを募らせて妻との間には溝が深まって行き
     ます。

     そんなある日、容子は偶然に出会った女子高生が妊娠していて、シングル
     マザーとして子どもを産む決意をしていることを知り、その子どもが死んだ娘
     の生まれ変わりに違いないと確信するのでした・・・。

     監督はデビュー作「飯と乙女」がモスクワ国際映画祭最優秀アジア賞を受賞
     した栗村実の第2作であること、音楽は音楽界で話題になっている佐村河内
     を起用、この作品のために作られた組曲は中々聞きものです。

     ですが日本的な死生観というか、転生については文字で読むのと違い、映像
     での表現は成功しないことが多いし、妖怪が転生するのではないのですから
     この作品も然りです。
     従って監督の一人よがりで終わっているのが残念です。俳優さんの中でいい
     なと思うのは江波杏子だけという寂しさも困ったものです。

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大映宣伝部・番外編 / 古い写真の思い出 ( 17 )

2013年04月22日 | 日記

 

  ↑ 当時売出し中の女優さん。左から4番目・渚まゆみ、5番目・江波杏子、7番目・姿美千子、8番目・
    三条江梨子、9番目・宮川和子、10番目・渋沢詩子、11番目・加茂良子、12番目・紺野ユカ。あと
    名前失念、ごめんなさい。


     前回は横浜で開かれた「本郷功次郎を偲ぶ会」に出席した事を書きました。
     そのため"古い写真の思い出"は1週間空きましたが、今回は偲ぶ会で懐
     かしい俳優さんたちと会いましたので、その中から書きたいと思います。

     藤巻潤さんは何十年ぶりでしたが、会ってすぐ双方とも判りました。昔と同
     じで実直な人柄そのもの・・・が久し振りの印象です。
     一番驚いたのが前のブログでも書いたように若松和子さん。昔は彼女の家
     が四谷にあって、そこへ遊びに行ったこともあるくらいなのに、年月が経つと
     いうのは恐ろしいもので、偲ぶ会で同じテーブルで鉢合わせしながら、彼女
     も私もお互いが判らなかった有様です。

     彼女は星(本名)の美人四姉妹として有名で、一番上のお姉ちゃんが和子で
     末の妹が紺野ユカです。
     彼女は会津若松の出身で芸名に若松を付けていたのですが、私も同じ会津
     若松なので、なんとなく親近感を持っていて仲良くしていたのです。
     彼女も私も司会者に呼ばれて本郷ちゃんの昔話をすることになり、その時点
     で気づいてびっくり仰天、そして大笑いでした。しかも紺野ユカはいま福岡に
     住んでいると言うので、更に驚きましたが、今度は福岡でゆっくり昔話をしよ
     うと約束しています。

     前々にも書きましたが、私のポン友で撮影監督・上原明氏のお父さん(故人)
     が鹿児島で事業を展開していて、私たちは何かにつけて鹿児島に呼んでも
     らっていました。
     もちろん舞台挨拶などの仕事をやりながら気分転換をさせて貰っていて、
     若松和子も一緒に鹿児島に行っています。

     今回の写真はその中の一つで、同行は永田秀雅副社長(当時は東京撮影
     所長)、勝新太郎、若松和子、川上康子、そのに私というメンバーです。
     暑い夏の盛りだったので上原社長の発案で海水浴へ行くことになり、皆で
     大はしゃぎした思い出があります。

     鹿児島に行った回数が多いのはまだ人気が爆発しない前の勝ちゃんで、今
     回の前にも後にも鹿児島に出向いているし、ある時は珍しく日本舞踊を披露
     したり・・・。
     他には北原義郎、中条静夫、藤田佳子、矢島裕子のみなさんもいますし、珍
     しい写真も残っていますので、また別の機会にご披露したいと思います。

     
 ↑上原社長に引きつられて、左から勝、私、一人おいて上原社長、秀雅氏。↑若松と勝ちゃん。
          
           ↑ 左から勝、川上康子、若松、秀雅大映副社長、私。
  
 ↑ 波の中で右から私、勝ちゃん。 ↑ 右の写真は泳ぐ私を見ている勝・川上・秀雅氏・若松。
  
  ↑ 川上康子と永田秀雅大映副社長。    ↑ 車中の私と一人おいて若松和子。
   
  ↑ その当時の若松和子と私。          ↑ 現在の若松、紺野、私。
                  ↑ 船で東京に戻りたいという若松を見送りました。中央より少し左が若松。

     
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熱い映画仲間をご紹介します。

2013年04月20日 | 日記

    

     宮崎市にお住みの私の"映画の友"笹原敬生さんが主宰されている「シネマ1987」
     の会から、2012年ベストテン号をお贈りいただきました。
     会の名前のように1987年から宮崎市の映画好きの方々が集まり、熱く映画を語り
     合ってこられたサークルです。
     こんなに長続きされていること、毎月のように皆さんが集まって映画談義をされて
     いること、などなど羨ましくなるぐらい素敵です。
     ここに載っている邦洋画のベストテンは、下記のようになっていますのでご紹介し
     ます。

      邦画
       1 桐島、部活やめるってよ
       2 鍵泥棒のメソッド
       3 ヒミズ
       4 夢売るふたり
       5 わが母の記
       6 終の信託
       7 僕達急行 A列車で行こう
       8 おおかみこどもの雨と雪
       9 アウトレイジ ビヨンド
      10 エンディング
      10 キツツキと雨
      10 恋と罪

      洋画
       1 別離
       2 灼熱の魂
       3 裏切りのサーカス
       4 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
       5 ダークナイト ライジング
       6 アーティスト
       7 ドライヴ
       8 最強のふたり
       9 ミッドナイト・パリ
      10 宇宙人ポール

     率直に言いますと、私の思いとは少しばかり相違しますが、いつも言うように
     感想は百人百様ですから、これを言っても仕様が無いと思います。
     それでも前述のように、お仲間が集まり長い年月を楽しく過ごされていること
     がとても羨ましい限りです。
     同氏のご好意で、選考過程などが詳しく載っているこの冊子を、希望される方
     にお贈りくださるそうですので、私のアドレス( nakajimamasaru@fcv.ne.jp ) 宛
     にご遠慮なく連絡ください。

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映画 「舟を編む」

2013年04月19日 | 日記

   

     「舟を編む」は、2012年に本屋大賞を受賞した三浦しをん作のベストセラー
     小説の映画化です。
     「辞書は言葉の海を渡る舟、編集者はその海を渡る舟を編んでいく」という
     意味でこの書名が付いているのだそうです。

     物語は1995年から始まります十数年を経過します。
     玄武書房の営業部に勤務する馬締光也(松田龍平)は超がつく真面目人間
     です。
     営業力はサッパリですが、真面目を買われて新しい辞書「大渡海(だいとか
     い)」の編集部に迎えられます。

     監修者の松本(加藤剛)と編集者の荒木(小林薫)は間もなく定年を迎えること
     になっていて、残るのは西岡(オダギリジョー)と佐々木(伊佐山ひろ子)のみ。
     辞書づくりに没頭する馬締ですが、彼が暮らす下宿の女主人・タケ(渡辺美佐
     子)の孫娘・香具矢(宮崎あおい)に出会い、一目惚れします。
     彼女は板前の修業中の身ですが、馬締は言葉を扱う仕事をしているのに、彼
     女に自分の気持ちを伝える言葉が見つからず、うろうろするばかり・・・。

     主人公の真面目さ不器用さ野暮ったさが実に上手く描かれていますが、演出
     もある時には実に野暮ったく見えるところがあるものの、途中からそれは計算
     された演出だと気が付いてくるくらい石井裕也監督の力量を買います。
     それに脚本がいい出来ですね。人と人の出会いや、辞書編纂という特殊な仕
     事場のくだりなど、原作のポイントを上手く掴んでいるし、省略も実によく、人の
     死の場面の省略などを含めて脚本・演出の勝利でしょう。

     二枚目を封印した松田龍平は素晴らしい出来だし、宮崎あおいも久し振り好演
     だし、ほかに出てくる人出てくる人がみんな味があってキャストも大絶賛です。
     あまりごたごた述べませんので、是非ともこの映画をご覧くださいと申し上げた
     いです。

コメント (12)
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