「小さなベニス」とも呼ばれるイタリアの港町キオッジャが物語の舞台です。
この漁師の町キオッジャの酒場で働きながら、いつか中国に残している息
子を呼び寄せようと願っている女性シュン・リーは、スラブ系移民の年配男
性で"詩人"と呼ばれているベーピと知り合います。
2人はお互いの故郷や家族の話などして孤独を分かち合い、少しづつ打ち
解けて行きますが、古くからの人々が住むこの小さな町では、2人交流はた
ちまち良くない噂として広まって行くのでした・・・。
監督は、多くのドキュメンタリー作品を撮ってきたアンドレア・セグレで、もっ
とハッタリがあってもいいと思うくらいの演出ですが、この作品にはマッチし
ています。
主演の女性は、ジャ・ジャンクー作品のミューズとして知られるチャン・タオ
と、相手の男性役に「バットマン ビギンズ」「96時間 リベンジ」などで国際
的にも活躍する旧ユーゴスラビア出身のラデ・シェルベッシアが共演してい
いムードを醸し出しています。
異国の地で出会った年齢も育った環境も違う2人の男女が、考えようによっ
てはまだるっこい感じで交流していく姿を、カメラが実に上手くキャッチしてい
ますし、2人が訪れるヴェニス(ベネチア)のショットが効果的です。
こんなまどろっこしさを好まない人も居ると思いますが、私的に言わせれば
とても情緒があって落ち着いた大人の映画だと思うのですが、皆さんは如
何でしょう・・・。
↑ 私が撮ったヴェニスでのスナップです。↑