kazuフォトローグ

「徒然なる日常」を写真で語ります。

彫刻は倒れてはいけない

2011年03月29日 | アート
いつもなら、通りすがりの公園の一角で後ろ姿を見るだけの、小さな女の子のブロンズ像。
春の暖かさに誘われて、公園に足を踏み入れた。
以前の記憶では、名の知れぬ作家の作品でも「可愛らしい」と思っていた。

誰かが置いた一輪の椿も、ほほえましく見えるはずなのだが、
今日は女の子の表情が悲しんでいるようだ。
ちょっと不安定に傾いている。

3月初め、「人間佐藤忠良とその魅力」と題した映像作品、長年お弟子さんである笹戸千津子さん・元NHKアナの山根基世さんの対談を見聞する機会があった。
笹戸さんは、何度も自分の作品をけなされ「やめてしまえ」と言われ、そして、いつも「彫刻は倒れてはいけない」と言われたそうだ。

この不安定な女の子の立ち姿に、その言葉が思い浮かんだ。
彫刻は、見る人にメッセージを送っているのだ。