kazuフォトローグ

「徒然なる日常」を写真で語ります。

心に染みた 映画「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」

2017年01月28日 | 映画
ひさしぶりに骨太の映画をテアトル新宿で見た。
新藤風監督「島々清しゃ」。
あの実直な新藤兼人監督の娘かなと思ったら孫だった。

テアトル東京株主招待1月末までの有効期限ぎりぎりのチケット。
東京新聞の映画評が、ちょっと頭の片隅にあった。

平日の昼下がり、上映を待つ人々はほとんどシルバー世代である。
こんなにも映画ファンがいるのか改めて知った。
かつての映画青年だった爺にとっては驚きだった。

沖縄は、本島はじめ宮古島、石垣島、西表島、久米島を訪れたことがあるが、
本島に近い慶良間諸島は行っていない。

この映画はその慶良間諸島の1つの島を舞台にしたドラマだ。
ダイビングスポットとして有名だが、そんなシーンはほとんどない。

その島にコンサートのために来島したバイオリニストの女性、音が狂っていると頭が痛くなってしまう絶対音感?を持った女の子、そこに住む人々の暮らしの物語。
ただひたすら淡々と描かれているのに、心が引き込まれていく。
時折挿入される沖縄の歌「島々清しゃ」が耳に残る。

11年ぶりのメガホンだというが、そのブランクは何だったのか。
演じる俳優たちは、三線の名手以外は楽器の素人で、弾き方のスタイルを猛特訓したとパンフレットの解説にあった。
登場する人々が、それぞれに屈折していて、その生きざまが心に迫ってくる。
まるでセミドキュメンタリーを見るような映画だった。

「人間生きているだけで80点よ」島に戻った元サックス奏者の漁師の言葉が心に染みた。