読書三昧(28年12月)
明けましておめでとうございます。
初詣はドラマ「逃げ恥」の撮影場所となった新横浜近くの「篠原八幡神社」へ。
結構混んでいてお参りまで一時間近くかかりましたが、舞台でお神楽が演じられていて、退屈しませんでした。
天気も良く気持ちのいい新年を迎えることが出来ました。
12月に読んだ本
村田沙耶香『コンビニ人間』
逸木裕『虹を待つ彼女』
辻村深月『東京會舘とわたし』(上)旧館・(下)新館
桐野夏生『猿の見る夢』
白倉敬彦監修・編『浮世絵を知りたい』
栗原公子句集『銀の笛』
☆村田沙耶香『コンビニ人間』
第155回芥川賞受賞作品。
主人公は36歳でコンビニに勤める独身女性の古倉恵子。世間からはちょっと変わっていると思われている。そんな時こちらも世間に同化できない男性白羽と同居することになる。
世間はそれの方が普通だとし仲間として認めてくれるようになるのだが、彼女の最後の選択は・・・。
ともかく面白い。持って回ったところがなく、文章は読みやすく軽やか。
変にべたべたしていなくて、爽快な読後感もある。芥川賞にも納得。文句なくおすすめ。
☆逸木裕『虹を待つ彼女』
第36回横溝正史ミステリー大賞受賞作
横溝正史の賞と言うと、どんなおどろおどろしい小説かと思うが、全くちがうIT社会の小説。
人工知能を研究するオタク青年が主人公。過去にドローンを使って自殺した美貌の女性を人工知能化で復活させようとするのだが・・・。
主人公の人物像が上手く浮かばないし、感情移入しにくい難点はあるが、発想がユニークで一気読み出来る面白い小説である。これもおすすめ。
☆辻村深月『東京會舘とわたし』
東京會舘の紆余曲折の歴史が時代を追って書かれた小説。それぞれの時代に東京會舘で働いていた人物や会館の顧客に焦点を当て感動的な物語がつづられる。主人公はバーテンダーであったり、ボーイであったり、挙式する花嫁だったりする。ただ話があまりに感動的で上手く出来すぎていて、読んでいるものがくすぐったく感じてしまうほど。東京會舘讃歌と言ってもいい。
☆桐野夏生『猿の見る夢』
面白いというより、なんか変な小説である。小心者で会社役員の主人公がいろいろ策を弄して世渡りしようとするのだが、結局はまわりの女性に翻弄されてしまう話。登場人物はほとんど中高年で、下世話な話がいろいろ巻き起こる。夢で占う高齢女性の長峰という謎の人物が登場して俄然面白くなる。
どうも全体的に男は馬鹿にされている感じで、男性より女性が読んだ方が爽快感を得られるかも。
☆白倉敬彦監修・編『浮世絵を知りたい』
小冊子であるが、カラーの浮世絵がふんだんにでて来るのがうれしい。それも「お江戸のアイドル」「旅への憧れ」「江戸っ子のヒーロー」など上手く分類されていて、楽しく読める。少し古い本(2012年刊)だが、浮世絵入門書としておすすめ!
☆栗原公子句集『銀の笛』
てふてふはひらひらみどりごよちよちと
本気とは他見えぬこと潮干狩
あぢさゐが好き音たてぬ雨が好き
小春日やけふは大人をひと休み
冬うらら色鉛筆を背の順に
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